農学部の総合型選抜とは、書類や面接を通して、食や生命への関心と課題解決に向かう適性を評価する入試です。

学力試験が中心の一般選抜と異なり、身近な食への疑問をどこまで科学の学びに結びつけられるかが問われます。

本記事では、農学部の選考で問われる内容と志望理由書のコツを、例文つきで解説します。

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農学部の総合型選抜で問われる内容

農学部の総合型選抜で問われる内容

農学部の総合型選抜では、志望理由書・小論文・面接それぞれ違う角度から受験生の適性を確かめています。

書類で示した関心の中身を小論文で論理的に展開し、面接でその根拠を語れるかどうか、というつながりで見られていると考えてください。

まずは選考ごとに問われている力を整理していきましょう。

志望理由書

農学部の志望理由書は、同じ内容が理学部にも出せる文章になっていないかを確かめながら書きましょう。

生き物への興味という出発点は重なっていても、農学部が向き合うのは食料生産や環境保全という人の暮らしの課題だからです。

書き分けの決め手になるのは、興味の先にどんな課題を置いているかという一点です。

例えば土壌の性質を調べた経験があるなら、「作物が育ちにくい畑をどう改善するか」という問いまで書き進めます。

体験・関心・大学で学びたいこと・将来像を一本のストーリーでつなぎ、800〜1,200字程度にまとめる構成が一般的です。

小論文・課題レポート

農学部の小論文で試されるのは、食と環境の課題を、科学の根拠と社会への影響の両面から考察する力です。

頻出テーマとしては、食料自給率や食品ロス、持続可能な農業、ゲノム編集などの育種技術、地域農業と6次産業化が挙げられます。

例えば食品ロスを論じるなら、「もったいない」という感想で終わらせず、生産・流通・家庭のどの段階で、どんな理由からロスが生じるのかを切り分けましょう。

農林水産省の統計や食品や農業に関わるニュースを日頃から目を通す習慣を身につけておくのをおすすめします。

面接・プレゼンテーション

農学部の面接で答えに詰まりやすいのは、志望理由書に書いた体験の理由を問い直される場面です。

例えば食品ロスをテーマに探究活動をした場合、「なぜそのテーマを選んだのですか」「調べてわかったことは何ですか」と、関心の出発点と成果を続けて聞かれます。

「なぜ理学部ではなく農学部なのですか」も定番の質問といえます。

この問いには、知りたい気持ちの先に解決したい食や環境の課題がある、という軸を答えの中心に据えると迷いません。

自分の体験を「なぜ・どうやって・何を学んだか」の順で語り直す練習を重ねておきましょう。

大学が評価する農学部の志望理由書を作るコツ

農学部の志望理由書で評価が分かれるのは、書かれた関心が受験生自身の経験から出ているかどうかという点です。

農学は理学部や環境学部と関心が重なりやすく、「自然が好き」「食に興味がある」だけでは、どの学部にも出せる文章になってしまいます。

自分の経験を志望理由に変えるには、分野の絞り込み・大学研究・将来像の描き方という作業が欠かせません。

ここからは、その手順を順に見ていきます。

関心のある分野を絞り込む

作物・畜産・食品・環境と幅広い農学のなかで、志望理由の中心に置くテーマを一つに絞りましょう。

分野が定まると、大学側は入学後にどの研究室で学ぶ受験生なのかを想像できるようになります。

絞り込むときに見直したいのは、立派な成果ではなく、自分が実際に手と時間を使った過程です。

作物・畜産・食品・環境という区分で扱う対象も研究の方法も異なります。

大学のカリキュラムや研究室紹介を読み比べ、自分が知りたいことに近い分野はどれかを見極めてから書き始めましょう。

大学独自のフィールドや研究に触れて志望度を示す

農学部は実習設備や研究分野の中身が大学ごとに異なるため、志望校の農場や研究に触れた一文を入れると、どこまで調べたかが伝わりやすくなります。

「貴学の附属農場では1年次から水田実習に参加でき、栽培を体験しながら土壌を学べる点に魅力を感じました」のように、調べなければ書けない内容を一文入れましょう。

公式サイトの研究室紹介やシラバス、オープンキャンパスでの見学などで積極的に情報収集しましょう。

農学部の学びと将来のキャリアを結びつける

将来像から逆算して学びを語ると、志望理由に一貫性が生まれます。

農学部の卒業生は、食品メーカーや農業法人、研究機関、農政に携わる公務員など幅広い進路に進みます。

ただし進路の名前を挙げるだけでは、志望理由の説得力にはつながりません。

「食品メーカーに就職したい」ではなく、「発酵食品の開発に携わりたいので、微生物学と食品化学を深く学びたい」のように、将来から必要な学びを引き出して書きます。

進路が固まっていなくても、深めたい研究テーマとその理由を語れれば十分に伝わります。

農学部の志望理由書の例文

ここまで紹介したコツが実際の文章でどう表れるかを、例文で確認しましょう。

私は自宅の庭で家庭菜園に取り組むなかで、同じ品種のトマトでも育て方によって収穫量や甘みが大きく変わることに気づき、その違いがどこから生まれるのかに強い関心を抱きました。土や水やりの量を変えながら記録を続けるうちに、植物の生育を支える仕組みを科学的に知りたいと考えるようになりました。この経験から、食料の生産を生命科学の視点から学べる農学に引かれるようになりました。貴学の農学部を志望する理由は、附属農場での実習が充実し、作物の栽培技術を研究する分野が整っている点に魅力を感じたからです。入学後は植物科学や土壌学を基礎から学び、将来は安定した食料生産を支える技術者として、食を通じて人々の暮らしに貢献したいと考えています。

まとめ

農学部の志望理由書は、生き物への好奇心を食料や環境の課題と結びつけられたときに、はじめて農学部向けの内容になります。

そのために必要なのは、関心のある分野を一つに絞り、志望校の農場や研究の特色を調べ、将来像から学びを逆算することです。

素材になるのは大きな実績ではなく、自分が手を動かして悩んだ時間です。

例文を型として使いながら、自分の経験を当てはめて書き進めてみてください。

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