社会人から教員への転職を考えている方で

「社会人だけど、今からでも教員になれるの?」

「教員免許がないけれど、これから教員採用試験って受けられるの?」

など、不安や疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。

本コラムでは、社会人経験を活かして、教師を目指す方のために「教員採用試験の社会人枠」について詳しく解説します。

また、社会人から教員になる方法、受験資格や倍率、採用試験の流れも整理して紹介。

教員免許がない場合の対応や社会人枠の対策ポイントも具体的にお伝えします。

社会人経験を活かして教職に就きたい方はぜひ参考にしてください。

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教員採用試験の社会人枠とは?

教員採用試験には、社会人経験をもつ人が教員を目指すための制度として「社会人枠」または「社会人特別選考」があります。

一般枠との違いとして、一部試験免除や特別免許状の活用などがあげられます。

この制度の目的は「多様なスキルや価値観を学校教育に取り入れること」です。

例えば東京都では、従来40歳以上だった「社会人特例選考」の対象年齢が、令和5年度実施選考から 25歳以上に引き下げられています。

社会人経験者が教員になる方法

社会人経験者が教員になるルートを「教員免許をもっている場合」と「教員免許をもっていない場合」に分けて解説します。

教員免許を持っている場合

すでに「普通免許状」を取得している場合、その免許は基本的に全国で有効です。

公立校の教員を目指す場合は、各自治体の教育委員会が実施する教員採用試験に合格する必要があります。

一方、私立校の教員を目指す場合は、各学校が実施する採用選考に合格しなくてはなりません。

また、「講師」として教育現場に入る道もあります。

各都道府県の教育委員会に「講師登録」を行うことで、欠員が出た際に連絡が来て、非常勤や常勤講師として勤務可能です。

教員免許を持っていない場合

「教員免許をもっていない場合」の教員になる方法は以下の3つです。

  • 教員免許を取得する方法(通信・大学・免許状認定講習など)
  • 特別免許状・臨時免許状という選択肢
  • 各都道府県での対応の違いに注意

それぞれの方法を解説します。

教員免許を取得する方法(通信・大学・免許状認定講習など)

社会人が教員免許を取得する場合、通信制大学の利用が現実的です。

スマホやパソコンで講義が受けられる利便性は、忙しい社会人にとって大きなメリット。

ただ、スクーリング(対面授業)の有無や頻度は大学によって異なるため、通いやすいカリキュラムの大学を選びましょう。

また、大学選びでは、取得できる免許の種類(小・中・高の校種や教科)やカリキュラムの内容をよく確認しましょう。

なお、既に大学で取得した単位がある人は「科目等履修生制度」を利用して、必要な科目だけを履修することも可能です。

このほか、学士入学や社会人編入学を活用することで、履修期間や学費を節約することもできます。

さらに、年1回実施されている「教員資格認定試験」を受けて合格するというルートもあります。

これは「教職課程を履修していなくても所定の教員免許を取得できる制度」で、幼稚園・小学校教諭の二種免許状と高等学校教諭一種免許状(情報)の取得が可能です。

試験内容は、筆記・論述・面接で構成され、合格率は20〜30%。

過去問題は独立行政法人教職員支援機構(NITS)ウェブサイトで公開されています。

教員採用試験との併用学習が効率的です。

特別免許状・臨時免許状という選択肢

通常の教員免許とは異なるルートとして「特別免許状」と「臨時免許状」があります。

特別免許状は、学校や教育委員会が「この人に教壇に立ってほしい」と推薦した社会人に対して発行される免許で、専門スキルや実績が評価される制度です。

特別免許状取得には、教育職員検定(書類選考や面接など)に合格する必要があります。

この免許は有効期限がありませんが、発行された自治体や学校でしか使えません。

一方、臨時免許状は、通常の教員免許保持者を採用できない場合の代替手段で、同じく教育職員検定に合格する必要があります。

文部科学省が2024年に公表した『各自治体における社会人の教師への入職促進策について』によると、特別免許状の発行件数は増加傾向にあり、社会人の教員登用が積極的に進められていることがわかります。

各都道府県での対応の違いに注意

教員免許の取得や社会人枠の選考制度は、自治体ごとに異なるためご注意ください。

例えば、通信制大学を選ぶ際でも、大学によって取得できる免許の種類やカリキュラムが異なるように、各都道府県で条件や方針が大きく異なります。

教員採用試験の倍率や実施内容は地域差があり、一般的に都市部のほうが倍率は低めで、地方や副教科系は高倍率です。

社会人枠の受験資格も異なります。

東京都では25歳以上かつ社会人経験2年以上が条件ですが、ほかの自治体では直近5年の勤務経験や特定分野(農学・理学・工学など)出身者のみ対象とするケースも。

また、先述した通り、特別免許状は取得した都道府県内でしか使えないため、希望勤務地を明確にしてから制度を選びましょう。

こうした自治体ごとの違いを踏まえ、自分が志望する自治体の「公式募集要項を確認すること」が最重要ポイントです。

教員採用試験社会人枠の受験資格

教員採用試験における社会人枠の受験資格は自治体ごとに異なるため、自分の経歴で応募可能かどうかを不安に感じる方も多いでしょう。

ここでは、教員採用試験社会人枠の受験資格を以下の4つの観点に分けて解説します。

  • 年齢
  • 必要な社会人経験年数
  • 専門分野・職種の経験
  • 教員免許状の取得見込みと猶予制度

年齢

かつて、社会人枠の受験には「40歳以上」などの年齢制限を設けている自治体も多く存在していました。

しかし、近年では、より多様な人材を受け入れる動きが広がり、年齢制限が緩和または撤廃される傾向にあります。

先述のとおり、東京都では、令和5年度の選考から、それまでの40歳以上という年齢要件を見直し、25歳以上であれば受験可能とする制度変更を実施しました。

これは、社会経験のある若手人材にも門戸を開くための措置です。

以前よりも教員採用試験の社会人枠の年齢面のハードルは下がりつつあります。

年齢を理由に教職への転職を諦めていた方、年齢面で不安を感じていた方も、積極的にチャレンジできる時代が到来しているといえるでしょう。

必要な社会人経験年数

社会人枠では、応募資格として一定の社会人経験年数が求められますが、年数は自治体によって異なります。

例えば「直近で通算5年以上の勤務経験があること」や「継続して5年間の勤務実績があること」といった条件の自治体もあり、この場合、若年層の方には厳しい条件といえるでしょう。

一方、東京都の社会人特例選考では「選考年度の前年度末までに2年以上の社会人経験があれば受験できる」とされています。

つまり自治体によっては「受験条件のハードルは必ずしも高いわけではない」ということです。

また、社会人経験の対象となる職種や業種は幅広く、教職と無関係な一般企業での経験も含まれます。

異業種出身者でも積み上げてきた社会経験があれば問題ありません。

安心して挑戦しましょう。

専門分野・職種の経験

一部の自治体では、特定の分野や職種での経験をもつ社会人に限定した選考枠を設けています。

例えば、農業や理学、工学などといった専門分野で実務経験を積んだ人材を対象とした枠があります。

これは、特定教科の指導において、実務スキルや専門性が重視されるためです。

対象となる分野で実績を積んできた方にとっては有利な制度となり得ます。

一方で、専門職ではない一般企業の会社員も受け入れの対象とする自治体は、徐々に増えてきてはいるものの、まだまだ限定的です。

自分の経歴が募集要件と合致しているか募集要項をよく確認しましょう。

教員免許状の取得見込みと猶予制度

現時点で教員免許を持っていない場合でも、一部の自治体では受験できるケースがあります。

例えば、東京都の社会人特例選考では「合格後2年以内に教員免許を取得できる見込みがあれば、現時点で免許を所持していなくても受験が可能」とされています。

これは、採用候補者名簿の登載期間を延長することで、合格後に計画的に免許を取得できるよう配慮された制度です。

働きながら免許取得を目指す社会人にとって、非常に現実的な選択肢といえます。

ただし、注意点があります。

臨時的任用教員や時間講師としてすぐに任用されるためには、任用時点で免許を取得済みであることが条件です。

制度を活用する際は、免許取得までのスケジュールや条件を事前にしっかり確認しましょう。

教員採用試験社会人枠の倍率

社会人枠は一般枠と比べて倍率が高くなる傾向が見られます。

東京都・神奈川県・埼玉県の令和6年度公立学校教員採用試験の結果をもとに、実際の倍率を比較しましょう。

東京都の全体(すべての校種・採用枠を含む)の受験者数は8,570名で、合格者(名簿登載者数)は4,999名で、倍率は1.7倍でした。

対して「 社会人経験者特例選考(免許取得期間猶予希望者)」では、受験者数173名、名簿登載者数122名で倍率は1.4倍。

神奈川県は小学校のデータ(すべての採用枠)となりますが、一次試験の受験者数272名に対して合格者数133名で倍率は2.0倍でした。

このうち、一般枠は受験者数106名、合格者数36名で倍率は2.8倍、社会人枠(社会人経験者)は受験者数30名、合格者数16名で倍率1.8倍となりました。

なお、2次試験は受験者数123名、合格者数 55名で倍率は2.2倍。

うち一般枠は受験者数33名、合格者数17名で倍率1.9倍、社会人枠は受験者数13名、合格者数6名で倍率2.1倍でした。

埼玉県の全体(すべての校種・採用枠を含む)の一次試験の受験者数は5,058名、合格者は1,736名で、倍率が2.9倍。

また、社会人枠に該当する「セカンドキャリア特別選考」は、受験者数は187名、合格者は57名で、倍率が3.2倍となりました。

このように、東京都と神奈川県の一次試験を除き、社会人枠は募集人数が少ない分、相対的に倍率が高くなりがちです。

しかし、倍率が高いからといって、合格が難しいとは限りません。

社会人枠にはさまざまな動機で受験する人が集まるため、評価も人物重視となりやすい傾向があります。

面接、模擬授業などの各選考は現場で培ったスキルや実務が問われる「実力勝負」。

倍率の数字に振り回されずに、自身の経験や志望動機を教育に結び付けてしっかりアピールすることがカギとなります。

【社会人枠】教員採用試験の流れ

次に、以下の流れに沿って、社会人枠で教員を目指す際の流れをわかりやすく解説します。

  • 出願・エントリー
  • 一次試験(筆記試験)
  • 二次試験(面接・模擬授業など)
  • 最終合格・採用通知
  • 任用前研修・講座(自治体によって実施)

出願・エントリー

必要書類は自治体・学校によって異なりますが、一般的には履歴書・職務経歴書・志望動機書などが求められます。

特に、社会人枠では「民間経験の内容」や「教育への応用可能性」が重視されるため、自己PRや志望動機には実務経験と教育の接点を意識して記載するとよいでしょう。

応募条件(年齢や経験年数)や出願受付期間も自治体ごとに異なるため、必ず各自治体の教育委員会の公式サイトを確認しましょう。

なお、近年ではオンライン出願が主流となっており、マイページ登録後にWEBエントリーで出願を完了できる自治体も多いです。

一次試験(筆記試験)

一般的な教員採用試験では、教職教養・一般教養・専門教養などの筆記試験が行われますが、社会人枠では一部科目(特に一般教養・教職教養)が免除されることが多いです。

免除の理由としては「社会人としての基礎教養が既にあると判断される」「準備期間の短さへの配慮」などがあげられます。

ただし、免除がない場合や一部のみの免除に備えて、過去問対策や論作文練習は十分に行っておきましょう。

二次試験(面接・模擬授業など)

社会人枠でも二次試験の内容は基本的に一般枠と同じです。

選考項目には、個人面接・集団面接・模擬授業・論述などが含まれます。

面接では、社会人としての経験や教育への思いが問われるほか、「教員としての適性」「対人スキル」「教育現場での対応力」なども評価されるでしょう。

また、質問内容はある程度マニュアル化されており、質問内容はだいたい決まっているため、過去の出題例に基づいて対策が可能です。

ただ、評価基準には年齢や経験年数などが影響する可能性があり、一般枠とは異なる視点での質問がされることもあります。

大切なことは「社会人としての経験をどう教育現場に活かすか」を自分の言葉で説明し、「未来の貢献度」を意識してアピールする姿勢です。

最終合格・採用通知

二次試験を終えると、最終合格の発表が行われます。

合格者には、健康診断の案内や各種必要書類の提出依頼が届き、その後正式な採用通知が出されます。

なお、教員免許未取得者でも、先述のとおり、採用後に「2年間の免許取得猶予制度」(例:東京都)を活用できるケースがあります。

これは採用候補者名簿の有効期限を延長し、その間に教員免許を取得できれば任用されるという制度です。

そのため採用が決まったら、免許取得に向けた計画的な学習が必要となります。

任用前研修・講座(自治体によって実施)

一部の自治体では、ペーパーティーチャーや教育現場から離れていた人を対象に「任用前講座」や「学び直し研修」が実施されます。

これは、教員経験のない人や教職から離れていた人が、安心して現場に立てるように配慮された制度です。

採用前に基本的な指導法や教育制度の知識を再確認できる機会であり、安心して現場に立てるように設計されています。

例えば、東京都では「任用前講座」が用意されており、模擬授業の実践や、受講者同士による交流などを行っています。

これらの研修・講座は、教育現場で即戦力として活躍するための基盤となるだけでなく、ペーパーティーチャーや免許取得見込み者にとっても非常に有益です。

任用前のこうした制度があることは、社会人にとって大きなメリットといえるでしょう。

教員採用試験社会人枠の対策ポイント

教員採用試験社会人枠で合格を目指すには、限られた時間の中でも戦略的な準備が求められます。

教員採用試験社会人枠の対策ポイントは以下の5つです。

  • 自治体ごとの選考内容を調査
  • 志望動機の整理と明文化
  • 面接対策
  • 論作文・小論文の練習
  • 教職教養・一般教養の基礎固め(筆記試験が課される場合)

自治体ごとの選考内容を調査

教員採用試験は自治体(学校)によって選考方法や求める人物像が異なります。

まずは希望する自治体の教育委員会、学校の公式サイトで、募集要項や選考スケジュール、試験科目、免除科目の有無などを確認しましょう。

教育理念や特色、求める教員像に自分が合致しているかも大切なポイント。

実際に説明会や交流会に参加して、現場の雰囲気を知ることもおすすめです。

志望動機の整理と明文化

志望動機はエントリーシートや面接、論作文などのベースとなる重要な項目です。

社会人枠では、なぜ今教員を目指すのか、これまでの経験を教育現場にどう活かせるかを論理的に伝える必要があります。

そのためには自己分析が不可欠です。

仕事を通じて得たスキルや強み、課題解決をした経験など、生徒への指導に活かせる要素を言語化して、納得感のあるストーリーにまとめましょう。

面接対策

人物評価が重要視される教員採用試験において、面接は社会人枠の合否を分ける最重要ポイントといえます。

これまでの社会経験をどのように教育現場で活かすかを具体的に語れるよう、準備が必要です。

「現職を辞めて教員を目指す理由」「どんな教員になりたいか」「チームワークや保護者対応の経験」など、頻出質問に対する答えをエピソード付きで整理しましょう。

また、学校側が求める人物像にマッチするよう、志望先の特色に即した自己PRを意識することも大切です。

論作文・小論文の練習

論作文や小論文では教育観や問題意識、論理的思考力が測られます。

頻出テーマは「理想の教員像」「子どもとのかかわり」「教育現場の課題(いじめ、学力格差、ICT活用など)」などです。

日頃から教育・時事問題のニュースに触れておきましょう。

また、ボランティアやインターンシップでの実体験を交えて書くことで、説得力のある文章になります。

なお、書いた文章は第三者に添削してもらうことをおすすめします。

通信講座や予備校を利用し、客観的に改善点を知ることも有効です。

教職教養・一般教養の基礎固め(筆記試験が課される場合)

社会人枠では筆記試験が一部免除される場合もありますが、教職教養や一般教養が課される自治体(学校)もあります。

一般枠と同様、教職教養は、教育法規・教育心理・教育原理など教育に関する基礎知識が問われます。

同じく、一般教養も高校まで学んできた国語・社会・数学・理科・英語を中心に基礎問題が出題。

自治体、学校によっては時事問題や地域に関する問題が出題されることもあるため、新聞や教育関連のニュースをこまめにチェックしましょう。

なお過去問は3年分以上を解き、出題傾向を把握しておくことをおすすめします。

まとめ

以上、教員採用試験の社会人枠について「制度の概要」「受験資格」「免許取得ルート」「一般枠との倍率の違い」「試験の流れ」「具体的な対策ポイント」について解説しました。

近年、教育現場では社会人経験をもつ人材の需要が高まっています。

年齢要件の緩和や免許取得猶予制度などが導入されたことで、年齢や職歴にとらわれず挑戦しやすくなりました。

まずは志望先の情報収集から始め、自分の経験をどう教育に活かせるかを整理していきましょう。

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