教員採用試験の面接で使用される「面接カード」の書き方に悩んでいませんか?
「何を書けばいいのかわからない」「自己PRや志望動機に自信がない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

面接カードは、面接官に自分の人物像や意欲を伝える大切な資料です。

内容次第で面接の印象が大きく変わるため、ただの形式的な記入用紙と侮ってはいけません。

このコラムでは、面接カードに何を書けばよいかを項目別にわかりやすく解説します。

さらに、面接官が「実は注目しているポイント」や、避けるべきNG表現まで詳しく紹介。

読み終える頃には、「この人に教員になってほしい」と思ってもらえるような、説得力のある面接カードが作れるようになります。

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教採の面接カード(シート)とは?

教員採用試験における面接カードは、面接の土台となる非常に重要な書類です。

面接カードには、氏名・学歴などの基本情報のほかに、自己PRや志望動機、趣味・特技などの記述欄が設けられており、面接官が受験者の人物像や価値観を深く理解するための手がかりとなります。

名称は自治体によって異なり、「志願書」「面接個票」「自己アピールシート」などと呼ばれることもありますが、求められる内容や評価のポイントはほとんど共通しています。

このカードに書かれた内容をもとに面接が進められるため、曖昧だったり説得力に欠ける記述があると、面接で十分にアピールできない原因になる可能性も。

重要なのは、面接官に「この人に教員として働いてほしい」と思わせるだけの魅力と誠実さが伝わる内容にすることです。

【項目別】教採面接カードの正しい書き方

面接カードの記述では、各項目に対して「具体的な経験」と「教育現場での活用」を意識することが重要です。

以下で主要な3項目について、効果的な書き方と注意点を解説します。

自己PR:強みと実績をアピールする

自己PR欄では、あなたの強み・実績・成長意欲を、簡潔かつ説得力のある形で伝えることが求められます。

まず書き始めに、「私の強みは〇〇です」と結論を明示しましょう。

次に、その強みを裏付ける具体的な経験を提示します。

最後に、その強みを教員としてどう活かしていきたいかを述べることで、面接官に活躍する未来像を想像させる構成が完成します。

書き方の例

私の強みは、生徒一人ひとりの特性を見極めた個別対応力です。
教育実習では、学習に困難を抱える生徒に対し、放課後に補習プログラムを作成し、1ヶ月で平均点を10点向上させる成果を上げました。
今後も、生徒の理解度に応じたきめ細やかな支援を行い、すべての子どもが安心して学べる教室作りに貢献したいと考えています。

強みの裏付けには、数字や実績を用いると説得力が増します。また、成長意欲もアピールしましょう。

例:教育心理学への関心から、自主的に関連書籍を読み、授業外でも子どもの心理的サポートについて学んでいます。

「何ができるか」だけでなく、「なぜできるのか」「今後どう活かすのか」を意識した記述が、面接官の印象に残る自己PRを作ります。

志望動機:学校への貢献と理解を伝える

志望動機では、なぜこの自治体・学校種・教科を選んだのかを個人的な経験と結びつけながら具体的に伝えることが大切です。

漠然とした憧れや感情的な表現ではなく、「どのような課題にどのように貢献したいのか」を明確にしましょう。

書き方の例

大学の教育実習で○○市の中学校に赴き、学力格差に直面する生徒への支援の重要性を実感しました。
特に放課後学習支援の現場では、学び直しの仕組みが整っておらず、本人の努力だけでは限界があると感じました。
私は、すべての生徒に応じた学習支援体制の強化に取り組み、地域全体の教育力向上に貢献したいと考えています。

このように、地域の課題や教育方針に対する理解と、それにどう関わっていきたいのかを言語化することがポイントです。

さらに、自分のスキルや経験がどう役立つのかを明示すると効果的です。

例:大学時代に地域学習支援ボランティアとして活動した経験から、多様な生徒に応じた指導法を身につけてきました。今後はこの経験を活かし、授業だけでなく生活指導や保護者対応でも信頼される教員を目指します。

なお、「〇〇に共感した」「魅力を感じた」などの抽象的な表現は避け、事実と行動に基づいた動機づけを心がけましょう。

趣味・特技:人間性と多面的なスキルを具体的に伝える

趣味や特技の欄は、あなたの人柄を伝える貴重なスペースです。

単なる余白埋めではなく、教育現場における活用可能性を意識して記述しましょう。

書き方の例

趣味はバスケットボールで、10年以上継続しています。

大学ではキャプテンを務め、練習計画の立案やチームビルディングを担いました。
教員としても、チーム運営や行事でのリーダーシップを発揮し、生徒が安心して活動できる環境づくりに貢献したいと考えています。

このように、趣味=個性の発露+教育的活用の可能性をセットで伝えると効果的です。

例2:特技は料理で、ストレス管理や栄養バランスへの関心から調理を日常的に行っています。
生徒の生活面にも関心を持ち、家庭科や保健指導の視点でもサポートできる教員を目指しています。

加えて、継続力・努力・興味の深さなどもさりげなくアピールしましょう。

「小学生の頃から書道を続け、現在は師範代。集中力と粘り強さを培いました。」

「読書」や「音楽鑑賞」など、抽象的な表現で終わらず、具体的にどんな活動か、どんなスキルと関係があるかを掘り下げることが鍵です。

このように、どの項目も「結論→経験→応用」または「経験→考察→教育現場での活用」という構成を意識すると、読みやすく、評価されやすい内容になります。

面接官(人事)が面接カードで「実は見ている」合格ポイント

面接カードは、ただの情報記入用紙ではありません。

面接官にとっては、応募者の資質や将来性、学校との相性を見極めるための「観察ツール」でもあります。

記載された言葉の一つひとつから、「この人は現場で活躍できるか」「長く働いてくれそうか」「子どもや保護者とうまく関われるか」といった点を読み取ろうとしているのです。

ここでは、面接官が重視している5つの視点を紹介します。

採用後に学校で活躍してくれそうか

面接官は、あなたが現場に出たあと、どのように学校で貢献できるかを見極めようとしています。

このため、自己PRや志望動機には、具体的な経験を通して得た力や姿勢が、学校現場でどう活かされるのかを明確に記す必要があります。

たとえば、教育実習での成功体験や、学習支援ボランティアで得た指導経験などは、非常に説得力を持ちます。

ただ単に「生徒と関わりました」という表現ではなく、「授業外で補習を行い、理解が難しかった生徒が自信を持てるようになった」といった成果の変化や自分の関わり方の工夫まで書けているかが大切です。

このように、面接官に「この人は採用後すぐに学校の一員として活躍できそうだ」と思わせるには、単なるエピソード紹介ではなく、それが教育現場とどうつながるのかを言語化する力が問われます。

すぐに辞めてしまわないか

教員の離職率が課題となっている今、「この人は継続して働いてくれるだろうか」という視点は、面接官にとって非常に重要です。

ここで見られているのは、単なる精神論ではありません。

ポイントは、あなたが「教育に対してどれだけ本気で向き合ってきたか」「どれだけ準備をしてきたか」といった、積み重ねの中から見える職業意識です。

たとえば、教育に関する自主的な学びや、地域活動への参加経験などは、長期的に教員として成長していきたいという意志の裏付けになります。

また、趣味や特技の欄でも、長期間にわたって続けてきたことや、役割を担った経験があれば、それがあなたの継続力・責任感を示す根拠となります。

何より大切なのは、「この地域で、子どもたちと共に成長していきたい」という思いが、カード全体から自然に伝わることです。

応募者の人柄と対応力

面接カードには、あなたの人柄や基本的な社会性も滲み出ます。

文章の丁寧さや言葉選び、文体の一貫性、空欄の埋め方、そして文字の書き方に至るまで、面接官は細かく見ています。

達筆である必要はありませんが、「読み手への配慮があるか」「読みやすく整っているか」といった観点から、基本的なコミュニケーション能力を判断されているのです。

また、内容面では、相手の立場を意識した表現ができているか、自分の経験を一方的に語るのではなく、どう学校や生徒に貢献できるかを視野に入れた記述になっているかなど、人との関わりにおける柔軟さや共感性も見られています。

つまり、形式を守りながら、誠実かつ謙虚な姿勢で書かれた面接カードは、それ自体が「教員として信頼できる人柄」を証明する材料になるのです。

長期的なキャリアビジョンと学校との適合性

「どんな教員になりたいか」「そのビジョンはこの学校・地域に合っているか」も、評価の大きなポイントです。

志望動機の欄で、地域の教育方針や学校の特色を理解し、自分の考えとどう合致しているかを明確に書けている人は、面接官から見ても「この人は調べているし、理念に共感している」と評価されます。

たとえば、「将来は特別支援教育の分野で専門性を高めたい」「地域の文化資源を活かした教育活動を展開したい」といったキャリアビジョンがあれば、それが学校の方向性と一致しているかどうかが問われます。

また、「継続的に学びたい」「保護者とも連携を図っていきたい」といった視点が盛り込まれていれば、教員としての成長意欲と社会性の両面をアピールすることができるでしょう。

学校への意欲と理解

最終的に面接官が重視するのは、あなたが「本気でこの学校で働きたいと思っているかどうか」です。

志望動機の中に、その学校や地域への思い入れや、実際に足を運んだ経験、地域の課題に対する理解などが含まれていれば、単なる憧れではなく、具体的な関心と行動があることが伝わります。

また、「学校の教育方針の〇〇に共感した」というだけで終わるのではなく、「自分のこの経験と結びついているから共感した」「自分はこういう形で実現に貢献したい」とまで掘り下げることで、説得力が一気に高まります。

つまり、学校のことをどれだけ深く理解し、自分の経験や強みとどう結びつけているか。

その本気度と準備の深さが、面接官の心を動かす鍵となるのです。

【注意】教採面接カードのNGな書き方と避けるべき表現

面接カードで大切なのは、「何を書くか」だけでなく「どう書くか」です

どれほど素晴らしい経験や意欲があっても、表現方法に問題があると、面接官に誤解を与えたり、不誠実な印象を与えたりする可能性があります。
ここでは、実際によくあるNGな書き方と、避けるべき表現を紹介します。

曖昧な表現や誰でも書ける安易な言葉は避ける

「地域の教育に貢献したいと思いました」「子どもが好きです」など、一見もっともらしく見えるフレーズでも、実は多くの受験者が同じような表現を使っています。

こうした誰でも書ける抽象的な言葉では、あなたの本当の魅力や考えは伝わりません。

たとえば「子どもが好きだから教師になりたい」という動機では、なぜそう思ったのか、どんな場面でそう感じたのかが不明瞭です。
本当に伝えるべきなのは、「子どもとの関わりを通じて、どんな気づきを得たのか」「どのような支援をしたいと考えるようになったのか」というあなた自身の経験に基づいた理由です。

また、文体面でも「これ」「それ」「あれ」などの指示語や、「〇〇することができた」といった回りくどい言い回しは、文章の説得力を弱める原因になります。

一文はできるだけ簡潔にし、主語と述語を明確に。

固有名詞や具体的な数字・事実を入れることで、文章の信頼性と印象度がぐっと上がります。

否定的な内容や自己中心的な内容

面接カードにネガティブな感情や過去の失敗ばかりを書いてしまうと、「この人は前向きに行動するタイプではないのでは?」という誤解を招く恐れがあります。

たとえば、「私は人前で話すのが苦手でした」「失敗が多く、自信がありませんでした」などの表現は、共感を得るどころか、採用後の姿を不安視させる要因にもなりかねません。

もちろん、弱みを認めること自体は悪いことではありません。

しかし、記述する際には「課題にどう向き合ってきたか」「どのように改善してきたか」をセットで示すことが大前提です。

さらに、「私はこのようなスキルを持っているから、教員に向いていると思います」「教育現場で自分の力を発揮したいです」といった、自己主張が強すぎる記述にも注意が必要です。

教員は「個人の活躍」ではなく、「組織や子どものために動ける力」が求められる職業。

相手の立場や学校の方針に目を向けた、協調性と貢献意識のある表現を心がけましょう。

自己評価が高すぎる/完璧すぎる記述は避ける

「私には欠点がない」「どんなことでもこなせます」といった過度な自己評価は、面接官にとってはむしろマイナスの印象を与えることがあります。

採用担当者が求めるのは、「自分の強みと弱みを客観的に把握し、成長のために努力できる人物」です。

たとえば、「私はすべての人と円滑なコミュニケーションが取れます」と断言するよりも、「時には意見が食い違うこともあるが、相手の立場に立って話を聞き、誤解を防ぐ努力をしてきた」といった表現の方が、現実味と信頼感を与えます。

完璧な人物像を作ろうとするよりも、「等身大の自分」と「課題に対する前向きな取り組み」を示す方が、面接官の印象に残ります。

カジュアルな表現や感嘆符・疑問符などの記号の使用

教員採用試験の面接カードは、いわば公的な書類に準ずるものです。
そのため、表現は常に丁寧で、節度のある言葉遣いを心がける必要があります。

「〜ですよね」「〜なんです!」といったフランクな口調や、「!」「?」などの感情を強調する記号の使用は、読み手に軽い印象を与えてしまいます。

特に感嘆符や三点リーダー「…」は、主観的・感情的な表現になりやすく、評価されづらい傾向があります。

日本語の文章では、語尾や文末の言い回しによって感情を丁寧に表現する方法が多く存在します。

無理に記号で補う必要はありません。

迷ったときは、「より硬い表現・より丁寧な語彙」を選ぶ方が無難です。

特に、初めて面接カードを書く方は、ビジネス文書や公務員試験の記述例を参考にすると、適切な文体の感覚が身につきやすくなります。

NGな書き方は、単なるミスではなく、「準備不足」「理解不足」として受け取られることもあります。
だからこそ、面接カードを仕上げる前には「読み手の立場」からチェックする視点を忘れないようにしましょう。

まとめ

教員採用試験の面接カードは、単なる履歴書の延長ではありません。
あなたの教育観、価値観、人柄、そして未来の可能性を、限られたスペースで伝える重要なコミュニケーション手段です。

自己PRでは、具体的な経験とそこから得た強みを簡潔に示すこと。
志望動機では、地域や学校への理解と貢献意欲を明確に伝えること。
そして趣味・特技ですら、教育現場でどう活かせるかを意識した記述にすることが、評価を大きく左右します。

また、面接官が「実は見ている」視点として、将来的な活躍、継続的な勤務意欲、人柄や対応力、そして学校との相性を意識することで、より伝わる面接カードに仕上がります。

とはいえ、初めての受験では「どこまで書けばいいのか」「どう表現すればいいのか」に悩むのも当然です。

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教員としての第一歩を、自信を持って踏み出すために、「何を伝えるか」だけでなく「どう伝えるか」にこだわった面接カードを、今から準備していきましょう。

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