教員採用試験の専門科目対策、何から始めればいいのか不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

教員採用試験の専門科目は教科ごとの知識だけでなく、指導力や応用力も求められるため十分な対策が必要です。

本コラムでは教養試験の専門科目について、勉強をはじめる前におさえておきたいポイントや教科別の効果的な勉強法などをわかりやすく丁寧に解説します。

何から手をつけるべきかお悩みの方は、ぜひ目を通してみてください。

教員採用試験の専門科目とは？

教員採用試験の専門科目とは、志望する校種や教科ごとに異なる専門的な知識や指導力が問われる試験科目です。

そのため、試験範囲は非常に広く、基礎的な内容から応用的なテーマまで幅広く出題されます。

たとえば、中学校や高校の国語や数学、英語などの教科では、大学相当の高いレベルの知識が求められる場合もあります。

また、同じ教科でも自治体により出題範囲や傾向が異なるため、事前の情報収集が欠かせません。

とくに専門科目は筆記試験の中でも配点比率が高い自治体が多いため、合否に直結する重要な科目でもあります。

専門性だけでなく教育現場での実践力を見極める意図もあるため、単なる暗記ではなく理解や応用力も求められます。

そのため、日々の勉強では教科書や参考書とともに過去問も活用しながら、出題傾向にあった対策が必要です。

さらに学習指導要領や授業展開例などに目を通しておけば、指導力や教育的視点を問われる問題にも柔軟に対応できるでしょう。

専門科目の勉強を始める前に知っておきたいこと

専門科目の勉強を始める前に知っておきたい3つのこと

• 受験自治体の傾向
• 過去問を活用した実力診断
• 学習指導要領の確認

受験自治体の傾向

教員採用試験は全国共通の試験ではなく各自治体ごとに実施されているため、出題内容や難易度には大きな違いがあります。

たとえば、ある自治体では論述問題が多く出題される一方、別の自治体では知識問題が中心となるケースも。

そのため、まずは志望する自治体の過去の出題傾向や配点、問題形式を十分に調べることが何よりも重要です。

傾向を知らずに対策をはじめると、無駄な学習に時間を割いてしまうリスクもあります。

過去問を活用した実力診断

専門科目の学習に入る前には、まず過去問を解いて自分の実力を知りましょう。

過去問に取り組むと、自分の得意分野と苦手分野が明確になるほか、自分の現在の学力や理解度を客観的に把握できます。

とくに「どこから学習を始めるか」「どこを重点的に対策すべきか」を明らかにするためにも、対策に入る前に過去問を活用しましょう。

また、出題傾向や問題のレベル感もつかめるため、今後の学習方針を立てるうえでも過去問は非常に有効な手段です。

間違えた箇所は丁寧に復習し、現時点での理解度を客観的に把握しておきましょう。

学習指導要領の確認

学習指導要領は、教育現場での授業やカリキュラムの土台となる重要な文書であるため、教員採用試験の頻出分野です。

とくに「教科の目標」「内容の取り扱い」などの項目は、受験者の教育観や指導力を見極める際によく出題される傾向があります。

専門教養の問題では学習指導要領をベースに出題されるケースも多いため、学習をはじめる前に一度は必ず目を通しておきましょう。

なお、指導要領を理解しておけば、単なる暗記ではなく教育分野をより深く理解できるため、応用力も身につけられます。

教員採用試験専門科目の勉強法

教員採用試験専門科目の勉強法3選

• 出題傾向の把握（過去問分析）
• 出題頻度の高い科目・分野をインプットする
• 過去問で総復習する
• 隙間時間を有効活用する

出題傾向の把握（過去問分析）

まずは志望する自治体の過去問を最低でも過去5年分は分析しましょう。

教員採用試験は自治体ごとに問題構成や重視される分野が大きく異なります。

そのため、やみくもに勉強を始める前に「何が」「どのように」問われているかをチェックしておく必要があります。

問題の傾向や出題形式（記述式・択一式）、頻出テーマなどを把握しておけば、これから勉強しなければならない方向性が見えてくるでしょう。

たとえば、ある自治体では「教育課程」に関する記述が毎年出題されていたり、別の自治体では「教科教育法」の比重が高かったりなど、出題傾向もさまざまです。

そのため、過去問を分析して出題傾向を把握しておけば、無駄のない効率的な学習を進められます。

また、過去問を分析していく中では単に傾向を知るだけでなく、自分の得意や不得意も見つけておきましょう。

出題頻度の高い科目・分野をインプットする

出題傾向をつかんだら、次は「よく出るところ」から攻めていきましょう。

専門科目の範囲は非常に幅広いのですが、すべてをまんべんなく学習するのは非効率的です。

そのため、まずは出題頻度の高い科目やテーマに絞り、効率的に知識を身につけましょう。

たとえば国語なら文法や文学史、数学なら関数や確率など、志望している自治体で「確実に出る部分」と想定されるところから押さえていくと効果的です。

出題実績が高いテーマから順に知識を固めていけば、短期間でも得点に結びつく学習が可能になるでしょう。

また、ただ暗記するのではなく「それをどう教えるか」までを意識しながら学習すれば、実践的な応用力も自然と身につけられます。

過去問で総復習する

知識の定着と実践力を養うためには、過去問による復習も欠かせません。

志望自治体だけでなく、他の自治体の過去問を積極的に活用して総合的に復習しましょう。

自治体により出題形式は異なりますが、問われている知識には共通する点が多いことも。

そのため、過去問を繰り返し復習すれば内容の理解も深まり、何より知識の定着率が高まります。

その際には問題を解くだけで終わらず、「なぜそうなるのか」「別の出題方法ならどうなるか」なども意識して解説までしっかり読み込むことも大切です。

また、模擬試験を想定して時間を計りながら取り組めば、本番さながらの実践力も養えるでしょう。

アプリを使ったスキマ時間の活用がおすすめ

教員採用試験合格には、日々の「スキマ時間」をいかに有効活用するかが鍵を握ります。

スマホアプリを活用すれば通勤や通学、休み時間などのスキマ時間を使って効率的な勉強が可能です。

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教員採用試験専門科目の科目別の対策ポイントを13教科すべて解説

以下は教員採用試験専門科目の一覧となります。

• 小学校全科
• 国語科
• 社会科
• 数学科
• 理科
• 音楽科
• 美術科
• 保健体育科
• 家庭科
• 英語科
• 特別支援教育
• 養護教諭
• 栄養教諭

各科目について解説していきましょう。

小学校全科

小学校全科は国語や算数、理科などの10教科に加え、学習指導要領までが幅広く出題対象となる科目です。

難易度は高校入試レベル程度ではあるものの、出題範囲が広いため、すべての教科をバランスよく対策しなければなりません。

とくに近年は英語の出題比重が高まっており、リスニングや資格加点を導入する自治体も増加傾向にあります。

そのため、頻出分野を中心に過去問や教科書を活用した効率的な学習が必要です。

時間配分や計画的な学習スケジュールを立てながら、苦手科目を放置せず、基礎から丁寧に見直しましょう。

国語科

教員採用試験の国語科では、文法や文学史、読解などの基礎知識に加え、教材研究や授業展開の力も求められます。

読解問題では出題意図を正確に捉える力が重視されるとともに、論理的思考力も問われます。

とくに頻出分野である文法や漢字問題は確実に点を取るためにも反復学習が必要です。

また、学習指導要領に沿った授業の組み立て方を意識しながら、実践的な指導力も養っておきましょう。

さらに過去問を活用して出題傾向を把握し、自分の弱点を早めに見極めることも大切です。

定期的に学習の進捗状況をチェックしつつ、苦手分野の克服にも力を入れましょう。

社会科

社会科では、歴史や地理、公民の分野からバランスよく出題されますが、自治体により配点には偏りがみられることも。

頻出分野は近現代史や日本の地理、憲法や選挙制度などの時事的な公民課題です。

そのため、地図帳や年表を活用しながら体系的に知識を整理しましょう。

また、記述対策では用語説明だけでなく「なぜそれが重要か」「授業でどう扱うか」といった教育的視点を意識した勉強も必要です。

さらに最新の時事問題にも目を向けておけば、出題傾向が変化した場合にも柔軟に対応できるでしょう。

数学科

数学科では、関数や図形、確率や統計といった幅広い分野から出題されます。

大学入試レベルではなく基本的には中高の内容を中心に構成されていますが、応用問題や指導案を考えさせられる問題もあるため注意が必要です。

苦手分野は早めに対策をはじめ、基本公式の暗記だけでなく生徒への指導を意識しながら解答までの過程を言語化して説明できるようにしましょう。

また、論述問題対策として、誤答の指導法や児童のつまずきの背景を考える力も養っておきましょう。

さらに過去問演習を通じて出題傾向や時間配分に慣れておけば、本番さながらの実践力を高められます。

理科

理科では物理と化学、生物と地学の4分野から出題され、知識の暗記だけでなく実験の原理や考察力も問われます。

たとえば、光や音、電気などの物理分野や、化学変化や生物の分類、気象現象などの実生活に結びつく内容が頻出傾向にあります。

そのため、教科書を使った学習はもちろん、動画教材を併用して実践的な理解に努めておきましょう。

また、実験や観察に関する設問では、目的や手順、結果と考察などの構造を理解し、記述力を鍛えておくことも必要です。

さらに普段から身近な現象と理科知識を意識して結びつけるようにしておけば、授業づくりの視点も鍛えられます。

音楽科

音楽科では、楽典（音楽理論）や音楽史、演奏技能や指導法などが幅広く出題されます。

とくに楽典分野では、音名や調性、拍子や記譜法などの基本知識が頻出傾向にあるため、音楽用語や記号の正確な理解が求められます。

また、生徒の興味を引き出す指導方法をはじめ、合唱や器楽などを想定した指導展開例が記述問題として出題されることも。

そのため、学習指導要領や音楽授業の実践例に目を通しておくと安心です。

また、苦手な分野は音源や楽譜を使った実践的学習で補強しておきましょう。

実際に楽器を演奏したり歌ったりしながら学習すれば、理論と実技の両方を効率的に身につけられます。

美術科

美術科では、美術の歴史や鑑賞の視点、造形指導法などが主に問われます。

とくに「子どもの表現をどう引き出すか」「作品にどう向き合うか」といった教育的視点を交えた問題が多く出題されています。

加えて、色彩理論や構成原理、素材の扱い方などの基礎知識も出題対象です。

絵画や彫刻などの代表的な作品については作者や時代背景を押さえておくと安心です。

また、美術館などを利用して、一つの作品についての知識や構成などを子どもたちにどう伝えるかといった指導力も一緒に伸ばしておきましょう。

保健体育科

保健体育科では、運動理論や発育発達、応急処置や保健教育などから出題されます。

体育分野では、基本運動から球技、武道などの内容に関する知識とともに、どのように指導するかといった部分も問われます。

また保健分野では、疾病予防や健康管理をはじめ、性教育やメンタルヘルスなどのテーマも出題対象です。

実技試験が必要な自治体も多いため、筆記とあわせて体力づくりや技能習得にも取り組んでおきましょう。

最新の健康教育トピックから情報を拾いつつ、実践力を磨くことも大切です。

さらに指導計画の立て方や安全管理の方法に関する理解を深め、生徒が安心して学べる環境づくりを意識しましょう。

家庭科

家庭科では、衣食住に関する知識に加え、子育てや福祉といった幅広い分野から出題されます。

裁縫や調理などに関する知識も出題されやすく、とくに「家庭科を通じてどのような力を育てるか」といった指導観点も問われます。

家族や生活文化を扱う問題では、社会的背景や生徒の発達段階に即した指導方法が求められることも。

学習指導要領と実生活のつながりを意識しながら、理論と実践をバランスよく学びましょう。

実際の授業を想定し、具体的な教材や活動例を取り入れた学習を進めれば、より実践的な視点を深められます。

英語科

英語科では、リーディングとリスニング、ライティングとスピーキングの基本的な4分野に加え、文法や語彙、英語教育に関する理論も問われます。

英語での授業展開例や、生徒の学校活動にどのように英語を取り入れるかといった観点が出題されることも。

そのため、とくに英語科では知識だけでなく、実践的な授業力や説明力が求められています。

英語教育に関する基礎知識を押さえたうえで、英語でのわかりやすい指示や説明ができるようにトレーニングしておきましょう。

過去問や模擬授業を通じて実践的な経験を積めば、指導スキルと英語力の両面をバランスよく高められます。

特別支援教育

特別支援教育では、障害種別の特性や対応方法、教育制度や指導体制などが中心に出題されます。

事例形式での出題が多いため、発達障害や知的障害、肢体不自由などの特性を正確に理解したうえで、それぞれのニーズに応じた指導方法を考える力が求められます。

また、特別支援学級や通級指導教室、特別支援学校の役割と連携について出題されることもあるため、制度や現場についての知識も必要です。

そのため、自治体や学校でおこなわれている実際の取り組み事例を把握しながら学習を進めるとよいでしょう。

なお、実際の授業を想定する際には「みんなが一緒に学べる環境づくり」や「子ども一人ひとりに合わせた工夫」を意識し、さまざまな問題に対応できる視点を養いましょう。

養護教諭

養護教諭の試験では、保健室での対応をはじめ、感染症予防や精神的ケアなどが主な出題テーマです。

応急処置や健康診断の実施方法、保健計画の作成など実務的な知識と判断力が問われます。

近年ではとくにメンタルヘルスや不登校への対応も重視されているため、生徒の心身状態を支える力も求められています。

養護教諭を志望する方は、医療知識と教育的対応の両面で対策をおこないましょう。

また、安心して過ごせる環境づくりに役立てるためにも、生徒の心のケアや相談対応の方法の学習も重要です。

保健室における場面想定を通じて、あらゆるケースへの対応力を養っておきましょう。

栄養教諭

栄養教諭には、栄養指導や献立作成、食育計画の立案など、給食管理と教育的観点の両立が求められます。

とくに生徒の発達段階に応じた指導をはじめ、アレルギーや生活習慣病などへの配慮も重要視されています。

食品衛生や栄養価計算などの専門知識のほか、「食を通じて何を育むか」といった教育的視点もおさえておきましょう。

授業事例はもちろんですが、教育基本法や学校給食法などの法制度も含めて幅広く対策を立てましょう。

より実践的な指導力を身につけるためにも、学習を進めながら生徒の「食に関する興味や関心」をどう育てるかを常に意識してみてください。

まとめ

教員採用試験における専門科目は、合否を大きく左右する重要な科目です。

まずは受験する自治体の出題傾向を十分に把握し、過去問を活用して自身の実力を客観的に見極めておきましょう。

また、学習時には知識を深めるだけでなく、学んだ知識は過去問を解いて繰り返しアウトプットし、理解を定着させる一連の流れを意識しましょう。

もし独学での対策に不安を感じる場合は、アガルートの教員採用試験対策講座も選択肢の一つです。

アガルートの教員採用試験対策講座では、最新の出題傾向にあわせた教材が揃っているため、効率的に学習を進めやすくなっています。

専門科目の勉強に悩んだときや、学習効率を上げたいときには、ぜひ検討してみてくださいね。