東京都の教員採用試験を受験予定で、「どの校種や教科が狙い目なの?」「倍率の推移はどうなっているの?」と悩んでいませんか?

確かに、自分が受験する分野の競争状況を把握することは、効果的な試験対策を立てる上で欠かせませんよね。

特に東京都は全国最大規模の採用を行っているため、校種や教科によって倍率が大きく異なります。

このコラムでは、2025年実施の東京都教員採用試験の最新応募状況から、校種・教科別の倍率推移、さらには合格に向けた具体的なポイントまで、受験生が知っておくべき情報を網羅的に解説します。

この記事を読むことで、自分の志望する分野の競争状況を正確に把握でき、戦略的な試験対策を立てられるでしょう。

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東京都教員採用試験の全体倍率と推移

最新の全体応募状況(令和7年度採用/2025年実施)

2025年実施の東京都教員採用試験の応募者数は11,012名となり、前年度の10,414名から598名(5.7%)増加しました。

特筆すべきは新卒者の応募増加で、前年度の5,273名から677名増の5,950名と大幅に増えています。

これは全体の約54%を占める数字です。

一方、既卒者は前年度の5,141名から79名減となる5,062名(45.9%)となっており、新卒者と既卒者の応募バランスに変化が見られます。

応募倍率は3.1倍となり、前年度の2.6倍から0.5ポイント上昇しました。

この背景には、応募者数の増加に加えて、採用見込者数が前年度の4,005名から3,545名へと減少したことが挙げられます。

項目令和8年度採用令和7年度採用増減
応募者数11,012名10,414名+598名(+5.7%)
新卒者5,950名5,273名+677名(+12.8%)
既卒者5,062名5,141名-79名(-1.5%)
採用見込者数3,545名4,005名-460名(-11.5%)
応募倍率3.1倍2.6倍+0.5ポイント

過去10年間の全体倍率推移

東京都教員採用試験の倍率は、平成28年度の5.0倍をピークに長期的な低下傾向が続いてきました。

しかし、令和8年度採用試験(2025年実施)では3.1倍となり、前年度から上昇に転じています。

過去10年間の推移を見ると、以下のような変遷をたどっています。

年度応募者数採用見込者数応募倍率
平成28年度15,168名3,062名5.0倍
平成29年度14,432名3,042名4.7倍
平成30年度13,335名3,027名4.4倍
平成31年度11,365名3,917名2.9倍
令和2年度10,378名3,418名3.0倍
令和3年度9,265名3,402名2.7倍
令和4年度8,607名2,650名3.2倍
令和5年度7,911名3,841名2.1倍
令和6年度7,948名4,926名1.6倍
令和7年度8,570名4,999名1.7倍
令和8年度11,012名3,545名3.1倍

この倍率低下の主な要因は、団塊世代の大量退職に伴う新規採用の増加でした。

ただし、退職者数のピークが過ぎたことで、今後は倍率上昇が予想されています。

【校種・教科別】東京都教員採用試験の倍率推移

小学校の倍率

小学校の応募倍率は2.2倍(前年度1.7倍)となり、上昇傾向を示しています。 

応募者数は3,014名で前年度より119名(4.1%)増加しました。

過去5年間の推移を見ると、令和6年度の1.6倍が最低値でしたが、それ以降は回復基調にあります。

ただし、他の校種と比較すると依然として低い倍率を維持しており、合格しやすい状況が続いています。

年度応募者数採用見込者数応募倍率
令和4年度2,668名1,147名2.3倍
令和5年度2,523名1,750名1.4倍
令和6年度2,274名2,005名1.1倍
令和7年度2,425名2,105名1.2倍
令和8年度3,014名1,370名2.2倍

中学校・高等学校共通の倍率

中学校・高等学校共通教科(国語、地歴・公民、数学、理科、英語、音楽、美術)の応募状況は教科によって大きく異なります。

国語の応募倍率は2.4倍(応募者536名、採用見込者数226名)となっています。過去の傾向を見ると、比較的安定した倍率を維持しており、受験しやすい教科の一つといえるでしょう。

社会(地歴・公民)は4.2倍(応募者707名、採用見込者数168名)と高い倍率になっています。この教科は毎年人気が高く、十分な対策が必要です。

数学の倍率は3.4倍(応募者263名、採用見込者数77名)でした。

理系教科の中では比較的競争が激しい分野です。

理科は1.7倍(応募者461名、採用見込者数271名)となっており、他教科と比較して合格しやすい状況が続いています。

英語も1.2倍(応募者68名、採用見込者数56名)と低い倍率を維持しており、英語力に自信がある方には狙い目の教科です。

音楽は1.5倍(応募者132名、採用見込者数88名)、美術は2.0倍(応募者146名、採用見込者数73名)となっています。

小学校・中学校・高等学校共通の倍率

家庭科と保健体育が該当するこの区分では、教科による倍率の差が顕著に現れています。

家庭科の応募倍率は2.9倍(応募者211名、採用見込者数72名)となっており、比較的安定した競争状況です。

保健体育は4.7倍(応募者964名、採用見込者数206名)と高い倍率になっています。

この教科は毎年多くの受験者が集まる人気教科で、激しい競争が予想されます。

実技試験もあるため、筆記試験だけでなく運動能力も重要な要素です。

高等学校の倍率

高等学校の各教科別倍率は以下のようになっています。

  • 情報:3.0倍(応募者72名、採用見込者数24名)
  • 商業:2.9倍(応募者41名、採用見込者数14名)
  • 工業:1.5倍(応募者9名、採用見込者数6名)
  • 農業:1.0倍(応募者7名、採用見込者数7名)

専門教科は応募者数が少ない傾向にありますが、その分採用見込者数も限定されているため、倍率にはばらつきが見られます。

養護教諭の倍率

養護教諭の応募倍率は7.2倍(応募者847名、採用見込者数117名)と、全校種・教科の中で最も高い競争率となっています。

過去5年間の推移を見ると

年度応募者数採用見込者数応募倍率
令和4年度633名95名6.7倍
令和5年度646名121名5.3倍
令和6年度717名123名5.8倍
令和7年度847名117名7.2倍

養護教諭は各学校に1名程度の配置となるため、採用枠が限定的です。

そのため、常に高い競争率が続いており、十分な対策と準備が不可欠となります。

特別選考の応募状況と倍率

東京都では一般選考以外にも、様々な特別選考を実施しています。

大学3年生前倒し選考には3,791名が応募しました(前年度3,433名)。

この制度は2023年度から導入されたもので、大学3年生が教職教養と専門教養の一部を1年前倒しで受験できる制度です。

3年生前倒し通過者選考には2,214名が応募しています。

これは前年度の大学3年生前倒し選考の通過者2,600名のうち約85%にあたる数字で、高い継続受験率を示しています。

キャリア採用選考(民間企業等での勤務経験者対象)には209名(前年度235名)が応募しました。

カムバック採用(東京都公立学校の正規教員経験者対象)には175名(前年度156名)が応募しています。

適性検査(SPI3)利用は2025年度から新たに導入された制度で、138名が応募しました。

一部の教科で教職教養の代わりに適性検査を利用できる制度です。

これらの特別選考は、受験者の多様なバックグラウンドに対応した東京都独自の取り組みといえるでしょう。

東京都教員採用試験に合格するための2つのポイント

倍率データから自身の対策を見直す

倍率データを活用した戦略的な受験対策が合格への近道となります。

まず、自分の志望する校種・教科の倍率を正確に把握することから始めましょう。

例えば、小学校や理科、英語のように比較的倍率の低い分野では、基礎的な学力をしっかりと身につけることで合格圏に入ることができます。

一方で、社会科や保健体育、養護教諭のように高倍率の分野では、より高いレベルでの対策が必要になります。

倍率の推移から今後の動向を予測することも重要です。

全体的に倍率上昇の傾向にある現在、早期の対策開始が以前にも増して重要になっています。

特に、令和8年度採用試験で倍率が上昇に転じたことを受けて、今後はさらなる競争激化が予想されます。

また、特別選考の活用も検討しましょう。

大学3年生であれば前倒し選考を、民間企業での経験があればキャリア採用選考を検討することで、合格の可能性を高められます。

東京都の教育方針を深く理解し、情熱や資質をアピールする

東京都の教員採用試験では、単純な学力だけでなく、東京都の教育に対する理解と情熱が重要視されます。

東京都教育委員会は「『未来の東京』戦略」に基づいた教育施策を推進しており、ICT活用、国際理解教育、特別支援教育の充実などに力を入れています。

これらの方針を理解し、自分なりの教育観と結び付けて語れるよう準備しておくことが大切です。

面接試験では、教育への情熱と併せて、具体的な指導場面での対応力が問われます。

いじめ問題への対応、保護者との連携、ICTを活用した授業づくりなど、現代的な教育課題について自分なりの考えを持っておきましょう。

論文試験でも、東京都の教育方針を踏まえた内容を盛り込むことで、他の受験者との差別化を図れます。

単なる理論の羅列ではなく、東京都の子どもたちのために何ができるかという視点で論述することが重要です。

さらに、東京都は多様性に富んだ地域特性があります。

都心部から島嶼部まで、様々な環境での教育に対する柔軟性と適応力をアピールすることも効果的でしょう。

まとめ

2025年実施の東京都教員採用試験では、応募者数が前年度から598名増加し、応募倍率も2.6倍から3.1倍へと上昇しました。

この傾向は、長期間続いた倍率低下に歯止めがかかったことを示しており、今後は競争がより激しくなることが予想されます。

校種・教科別で見ると、小学校(2.2倍)、理科(1.7倍)、英語(1.2倍)などは比較的合格しやすい状況が続いている一方で、養護教諭(7.2倍)、保健体育(4.7倍)、社会科(4.2倍)は高い競争率となっています。

合格に向けては、倍率データを基にした戦略的な対策と、東京都の教育方針への深い理解が重要です。特に、ICT活用や多様性への対応など、現代的な教育課題に対する自分なりの考えを持つことが求められています。

東京都では大学3年生前倒し選考やキャリア採用選考など、多様な選考方式を用意しているため、自分の状況に最適な受験方法を選択することも大切でしょう。

今後も倍率上昇が予想される中、早期の対策開始と継続的な学習が合格への鍵となります。

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