養護教諭は保健室の先生として、生徒の健康管理やメンタルケアを担う専門職です。

養護教諭になるための教員採用試験には、教育原理や衛生看護に関する専門知識に加え、面接や実技など幅広い対策が求められます。

本コラムでは、教員採用試験の内容や合格率をはじめ、自治体ごとの傾向や効率的な勉強法までを詳しく解説します。

養護教諭を目指している学生はもちろん、現役の看護師や保健師からの転職希望者も参考にしてください。

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養護教諭採用試験の概要

ここでは養護教諭採用試験の概要を解説します。

  • 養護教諭採用試験の難易度(合格率・倍率)
  • 養護教諭採用試験の年齢制限
  • 養護教諭になるには?養護教諭採用試験の日程と全体の流れ
  • 養護教諭採用試験の試験内容

養護教諭採用試験の難易度(合格率・倍率)

過去5年のデータをもとに、養護教諭採用試験の倍率について次の表にまとめました。

小学校中学校高校養護教諭全体
令和6年度(令和5年実施)2.2倍4.0倍4.3倍8.2倍3.2倍
令和5年度(令和4年実施)2.3倍4.3倍4.9倍7.4倍3.4倍
令和4年度(令和3年実施)2.5倍4.7倍5.3倍7.2倍3.7倍
令和3年度(令和2年実施)2.6倍4.4倍6.6倍7.0倍3.8倍
令和2年度(令和元年実施)2.7倍5.1倍6.1倍6.6倍4.0倍
令和元年度(平成30年実施)2.8倍5.7倍6.9倍6.3倍4.2倍
参考:「公立学校教員採用選考試験の実施状況」文部科学省

令和6年度の養護教諭の採用試験では倍率が8.2倍と非常に高く、全体の平均倍率と比べても2倍以上の競争率となっていることがわかります。

なお、養護教諭は健康や看護などの専門的な知識や資格が必要な仕事であるため、そもそも募集枠が少ない点が特徴です。

そのため、養護教諭の採用試験は他の校種と比べてもとくに難関であるといえるでしょう。

養護教諭採用試験の年齢制限

養護教諭採用試験の年齢制限については、45〜50歳以下と定めている自治体が多く見られます。

ただし、近年では年齢制限を引き上げたり緩和措置をおこなっているケースもあり、年齢制限や緩和条件の詳細も志望する自治体ごとに異なります。

そのため、自身が志望する自治体の最新の募集要項を必ず確認しておきましょう。

参考:「令和5年度教師の採用等の改善に係る取組事例」文部科学省
参考:「令和5年度教師の採用等の改善に係る取組事例 6 受験年齢制限」文部科学省

養護教諭になるには?養護教諭採用試験の日程と全体の流れ

養護教諭になるためには、教員採用試験に合格する必要があります。

養護教諭の教員採用試験は、毎年春から翌年の春にかけておよそ1年間のスケジュールで次のように進行します。

スケジュール日程(目安)
教員採用試験の説明会への参加3月〜5月
出願4月〜5月
一次試験6月〜7月
一次試験の合格発表7月〜8月
二次試験8月〜9月
最終合格発表9月〜10月
内定10月〜翌年3月下旬
研修翌年1月〜3月
勤務翌年4月

3月〜5月に各自治体が開催する説明会に参加した後、4月〜5月に出願を行い、6月〜7月に一次試験が実施される流れです。

その後、一次試験の合格者は、8月〜9月に面接や実技などを含む二次試験へ進みます。

そして、最終合格者は9月〜10月に発表され、10月以降に内定が出ますが、翌年4月の正式採用に向けて研修が行われるケースもあります。

参考:「教員採用試験の流れとスケジュールについて解説! どのくらい難しいのかも解説」アガルート

養護教諭採用試験の試験内容

養護教諭採用試験の主な試験内容は下記の3つです。

  • 筆記試験
  • 面接試験
  • 実技テスト

筆記試験

  • 教職教養(SPI3含む)

教職教養では、主に次のような分野で教員として必要な基礎知識を問われます。

分野概要
教育原理教育の目的・理念
教育心理子どもの発達理解など
教育法規学校教育法・教育基本法
教育史・教育行政日本の教育制度の歴史・文部科学省などの教育行政機関の役割
学校保健・安全など学校における健康管理・感染症予防・災害時対応など、安全確保の知識

なお、近年では思考力や基礎学力を測る目的で、一部の自治体ではSPI3(総合適性検査)も取り入れられています。

  • 専門教科

専門教科では、主に次のような領域から養護教諭の専門分野に関する知識問われます。

分野概要
学校保健保健管理・保健指導感染症、予防接種など
臨床医学内科・外科、小児科の基礎的理解
公衆衛生学地域保健、母子保健など
看護学・救急処置応急手当、救命救急保健室での対応
心理学児童生徒の心のケアや発達支援
  • 論文試験

論文試験では、養護教諭としての考え方や問題解決力が問われます。

出題されるテーマは自治体により異なりますが、いずれも明確な構成力と具体例を交えた実践的な視点が求められます。

面接試験

養護教諭採用試験の面接では、人間性や対人スキル、現場での対応力など、養護教諭としての資質が評価されています。

主な評価ポイントは、次のとおりです。

  • 養護教諭を志望する理由
  • 心身の不調を訴える子どもへの共感や適切な対応
  • ケガや病気、虐待などの緊急事態への想定力
  • 児童や教職員、保護者と適切な関係を築くコミュニケーション力
  • 質問に対する論理的な回答

実技テスト

実技テストは、養護教諭としての実践力や応急処置の技術、現場での対応能力を評価するために行われます。

実技テストの一例は、次のとおりです。

応急手当・救急処置包帯の巻き方三角巾の使い方心肺蘇生法(CPR)人工呼吸出血時の止血骨折の固定緊急時の基本対応(気道確保、熱中症対応など)
保健室での場面指導体調不良を訴える児童への対応傷の手当てや健康相談のロールプレイ教職員との連携や保護者への報告
プレゼンテーション指導計画の説明健康教育の模擬授業
参考:「採用選考試験内容」文部科学省

養護教諭採用試験に合格するための対策方法

養護教諭採用試験に合格するための対策方法について解説します。

  • 養護教諭採用試験の筆記試験対策方法
  • 養護教諭採用試験の面接対策方法
  • 保健の場面指導・実技試験の対策方法

養護教諭採用試験の筆記試験対策方法

養護教諭採用試験の筆記対策では、まず教育制度や法規、教育心理などの基礎知識をしっかり身につけましょう。

また、SPI3の対策を同時に進めれば、言語や非言語の基礎力をバランスよく習得できます。

さらに、学校保健や応急処置、心理学など、養護教諭の専門分野に特化したテキストや過去問の活用も大切です。

最新の保健指導や救急法についても定期的に情報をチェックし、知識のアップデートを怠らないようにしましょう。

小論文対策は、教育観や学校保健に関するテーマで定期的に文章を書く練習を重ねることをおすすめします。

起承転結を意識しながら、実践的かつ具体的な例を交えた文章を書けるよう準備しておきましょう。

養護教諭採用試験の面接対策方法

養護教諭採用試験の面接対策では、まず志望動機や自分の強みと弱みを整理しましょう。

そして、自身の経験を振り返り、なぜ養護教諭を目指すのかを明確かつ具体的に伝えられるよう準備しておきましょう。

また、面接でよく聞かれる質問を繰り返し練習し、声のトーンや表情にも気を配ることが大切。

第三者からフィードバックを受けながら改善を重ねておけば、より自信を持って本番に臨めます。

さらに、いじめや心のケア、学校保健に関する最新の課題についてニュースや資料で情報収集し、あらゆる質問に適切に答えられるようにしておきましょう。

保健の場面指導・実技試験の対策方法

養護教諭採用試験の場面指導や実技試験対策としては、まず包帯の巻き方や心肺蘇生法などの基本的な救急処置を繰り返し練習し、正確に行えるようにすることが大切です。

より正確性や専門性を求めたいなら、講座や講習会への参加が効果的です。

また、テーマを決めて短時間で指導を行う練習や、第三者にわかりやすく伝えるための資料作りなどの練習もおすすめです。

さらに、緊急時の状況を想定したロールプレイを積極的に行い、冷静かつ的確に行動できるようにしておきましょう。

その中で、日本赤十字社や文部科学省が発行するガイドラインを確認し、状況にあった最新の対応方法を身につけておきましょう。

参考:「教員採用試験の勉強法とは? 試験対策と何から勉強したらいいのか徹底解説」アガルート

養護教諭採用試験に合格する4つのポイント

養護教諭採用試験に合格するポイント4点を解説します。

  • 自治体の試験内容を把握する
  • 勉強のスケジュールを決める
  • 面接対策に力を入れる
  • 保健の場面指導・実技対策は面接対策と同時に取り組む(自治体による)

自治体の試験内容を把握する

まずは、志望する自治体の試験内容を把握しましょう。

養護教諭採用試験は全国統一型の試験ではないため、自治体ごとに試験内容が異なります。

たとえば、A県では筆記試験と個人面接のみで完結する一方、B市では筆記に加えてグループ討論や実技試験、保健指導の模擬授業までおこなわれることも。

そのため、SPIや適性検査の有無、小論文の出題テーマの傾向など、過去数年の募集要項や実際の体験談などもチェックしておきましょう。

勉強のスケジュールを決める

次に、勉強のスケジュールを決めましょう。

養護教諭の筆記試験は、一般教養や教職教養に加え、専門教科や論文まで含まれるため、非常に出題範囲が広い点が特徴です。

そのため、漫然と勉強していては試験当日に間に合わなくなります。

まずは試験日から逆算し、「いつまでに何を終わらせるか」をざっくりと計画しましょう。

最初の2か月は、教育制度や法規、心理学などの基礎に集中し、3か月目以降から過去問や論文の演習を本格化させるなど、勉強の目的を明確にすると効率的です。

また、1日5問ずつ継続させるような日々の積み重ねも記憶を定着させるためには効果的です。

とくに仕事や学業と並行して勉強する方は、スキマ時間の活用も意識してみてください。

面接対策に力を入れる

養護教諭採用試験では、筆記対策のみならず面接対策にも力を入れましょう。

養護教諭は病気やケガだけでなく、心の問題や人間関係のケアが求められる業務の特性上、人柄や考え方などを評価する面接が重視されます。

そのため、どれだけ筆記の点数が良くても、面接で評価が低いと不合格になることも。

合格するためには、志望動機をはじめ、子どもへの対応に関する経験談を具体的に自分の言葉で語れるよう準備する必要があります。

さらに、面接では「発熱した子どもへの対応」「いじめが疑われる児童の変化に気づいた場合」などの現場対応を想定した質問もよく出題されます。

その場しのぎの受け答えでは見抜かれてしまうため、模擬面接を繰り返し行い、フィードバックをもらいながら改善していきましょう。

保健の場面指導・実技対策は面接対策と同時に取り組む(自治体による)

保健の場面指導や実技対策が必要な自治体を志望する場合、面接対策とあわせて対策を進めましょう。

実技試験や保健指導の場面対応は、筆記や面接以上に「現場対応力」が問われます。

心肺蘇生法や止血法などの応急処置については、実技講習や動画教材を活用し、動作を体に覚え込ませることが大切です。

また、健康教育や衛生指導などを5〜10分程度で生徒向けに説明する場面も想定されるため、指導案の作成から話し方まで幅広く練習しておきましょう。

日本赤十字社や文部科学省が発表している最新の救命ガイドラインや保健マニュアルを確認しておけば、より説得力のある実技が可能になります。

まとめ

養護教諭は子どもの心と体を支える重要な仕事です。

そのため、養護教諭の教員採用試験は筆記や面接、実技など範囲が広く、倍率も高い傾向にあります。

合格するためには志望する自治体の試験内容を確認し、早期から計画的な準備を始める必要があります。

また、対策する試験科目に偏りが生じないよう意識しつつ、基礎から実践までバランスよく取り組みましょう。

とくに実技や保健指導では現場を想定した対応力も問われるため、知識と実践の両面を意識した対策もおこなわなくてはなりません。

専門的な講習や教材をはじめ、最新のガイドラインなども参考にしながら、説得力のある対応力を身につけておきましょう。

強い志を持って養護教諭を目指す皆さんが自信を持って試験に挑めるよう、本記事が少しでも参考になれば幸いです。

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