教員採用試験で実施される「場面指導」は、提示された事例に対する対応力や判断力が評価される試験です。

短時間で対応を決める必要があることから対策が難しく、「どんな質問が出る?」「どう答えればいい?」と不安に思っている方もいるでしょう。

当コラムでは、場面指導の例題を項目別に21パターン紹介します。

受け答えのコツについても併せて解説。受験を検討している方はぜひ参考にしてください。

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【教員採用試験】場面指導の例題21選

ここでは、教員採用試験における場面指導における例題21パターンを、以下の7項目ごとに紹介します。

  • 児童同士のトラブルが発生したとき
  • いじめの兆候に気づいたとき
  • 保護者に対応するとき
  • 授業中に児童が突然泣き出したとき
  • 学習に消極的な児童への対応
  • 校外学習中にトラブルが発生したとき
  • 同僚教員と意見が対立したとき

児童同士のトラブルが発生したとき

「児童同士のトラブル」に関する場面指導では、児童間で衝突やけんか、摩擦などが発生した際にどのような対応をするかが問われます。

想定される場面は、教室や授業中、放課後などさまざま。

冷静な態度で場の混乱を収めつつ、当事者たちだけでなく周囲の児童にも安心感を与える対応ができるかどうかが焦点となります。

トラブル発生時だけの場当たり的な対処力だけでなく、事後のフォローや報告・他教員や保護者との連携意識も重要です。

児童指導における公平性と安全への配慮を前面に出しつつ、アフターケアや組織人としての報連相にも意識が向いていることをアピールできる回答を目指しましょう。

「児童同士のトラブル」関連で提示される可能性の高い質問の例としては、以下のようなものが考えられます。

  • 授業中に児童同士が激しく言い争いを始め、周囲の児童もざわついています。どう対応しますか。
  • 体育の授業中に接触プレーをめぐって2人の児童が対立し、手が出そうになっています。どうしますか。
  • 放課後、他学年の児童から「◯◯くんがトラブルを起こしていた」との報告がありました。どう対応しますか。

いじめの兆候に気づいたとき

「いじめの兆候」に関する場面指導では、教師として「いじめの存在に気づいた段階」でどのように対処するかが問われます。

本人に配慮した声がけや慎重な状況の観察、管理職や保護者などと連携した早期の組織的対応など、「ひとりで抱え込まない判断」ができるかどうかがポイントです。

被害児童への保護や個性に応じた適切な判断はもちろん、クラス全体を守る視点を意識した回答を考えましょう。

「いじめの兆候」関連としては、以下のような場面が提示される可能性が考えられます

  • 活発な性格だった児童に最近塞ぎ込んでいる様子が見受けられ、登校しぶりもみられます。どのように対応しますか。
  • ある児童から「◯◯くんに無視される」とポツリと漏らされました。どうしますか。
  • クラスの共有ノートに、特定の児童に対する悪口を発見しました。どう行動しますか。

保護者に対応するとき

「保護者への対応」に関する場面指導では、主に児童の保護者からクレームや指摘が入った場合を想定。

感情的な態度を取られても冷静に受け止め、誠実に対応できる姿勢をアピールする必要があります。

単なる謝罪に終始するのではなく、保護者の不安や不満の背景を理解しようとする「傾聴」の姿勢を前面に押し出す回答を模索しましょう。

また、保護者側に誤解がある場合の丁寧な状況の説明や再発防止策への言及など、トラブルを乗り越えてより強固な信頼関係を築こうとする視点も重要です。

「保護者への対応」関連の場面指導の例として、以下のような提示が考えられます。

  • 「先生の指導が厳しすぎる」と保護者から電話でクレームがありました。どう対応しますか。
  • 学年便りの内容に誤解を招く表現があったと、保護者が怒って来校しました。怒りをどのように受け止め、どう説明しますか。
  • 「授業の進め方がうちの子に合わない」と保護者から指摘がありました。どのように対応しますか。

授業中に児童が突然泣き出したとき

「授業中に児童が泣き出す」場面指導では、「授業の進行」と「児童への配慮」のバランスがポイントとなります。

泣いている本人への寄り添い方はもちろん、周囲の児童への配慮やアフターフォローや個別対応の工夫など、現実的かつ温かみのある対応を意識してください。

教師側が感情的になって「すぐ叱る」「必要以上に大きな問題にする」といった短絡的な行動に走ることはNG。

一方的な決めつけや肩入れも極めて悪手です。

子どもたち一人ひとりの感情と涙の背景に目を向け、真剣に向き合う姿勢を表現しましょう。

「授業中に児童が泣き出す」関連の質問例としては、以下のようなものが考えられます。

  • 児童が突然泣き出し、理由を聞いても黙ったままです。クラスも落ち着きません。どう対応しますか。
  • クラス発表の順番が来た途端、ある児童が緊張で泣き出しました。どのようにフォローすべきですか。
  • 授業中に同級生にからかわれ、児童が泣き出しました。どのように対処しますか。

学習に消極的な児童への対応

「学習に消極的な児童への対応」の場面指導では、児童の気持ちを否定せずに受け止め、前向きに関わろうとする姿勢が評価対象となります。

「根性が足りない」「甘えるな」などと切り捨てず、やる気がもてない背景に目を向ける・声かけや家庭との連携による丁寧な支援を行うといった姿勢を見せましょう。

「学習に消極的な児童への対応」関連の質問例としては、以下のようなものが考えられます。

  • 「どうせやってもムダ」と発言し、課題に取り組まない児童がいます。どのように声をかけますか。
  • 提出物が毎回遅れ、注意しても改善がみられない児童がいます。どのように支援を行いますか。
  • 「先生なんか嫌い」と学習を拒否する児童がいます。どう対応しますか。

校外学習中にトラブルが発生したとき

「校外学習中のトラブル」の場面指導では、安全確保を最優先した迅速な判断と、全体対応のバランスが問われます。

慌てず落ち着いて行動し、他教員や施設と連携しつつ、児童の安心感を確保できるかが課題です。

個別対応と全体統率の両方を意識した回答を考案できれば理想的でしょう。

「校外学習中のトラブル」関連の質問例としては、以下のようなものが考えられます。

  • 集合時間になってもひとりだけ現れない児童がおり、ほかの児童は動揺しています。どう行動しますか。
  • 児童がバス酔いで体調を崩しました。どう対処しますか。
  • 見学先で児童が展示物に触れ、施設の方に注意されました。どう対応しますか。

同僚教員と意見が対立したとき

「同僚教員と意見が対立」の場面指導では、感情的な衝突を回避した「対話による調整力」が試されます。

一方的な主張や批判ではなく、相手の意見を受け止めた建設的な意見交換ができることをアピールしましょう。

論点とすべきは「同僚との勝ち負け」ではなく、「児童にとっての最善策」である点に注意。

協調性とリーダーシップのバランスが感じられる回答づくりを意識しましょう。

「同僚教員と意見が対立」関連の質問例としては、以下のようなものが想定されます。

  • 学年行事の準備をめぐり、同僚教員と意見が対立。どのように話し合いますか。
  • 学級経営について、他担任と方針にズレがあることがわかりました。どう折り合いをつけますか。
  • ある児童への指導法をめぐり、同僚と方針がわかれました。どのように合意形成を図りますか。

場面指導とは?教員採用試験で問われる理由

「場面指導」は教員採用試験で実施される試験のひとつで、教員としての実践力や対応力を測るためのものです。

教育現場で実際に起こり得る場面に対してどのように対応するかを説明・実演させることで、受験者の「教員としての総合力」を確認します。

実際の現場では、知識だけでは切り抜けられない不測の事態が日々起こるもの。

「思いがけない事態に直面したときにどのように動くか」によって知識面からでは判断できない適性などを評価される試験といえるでしょう。

場面指導はどんな試験形式で出題される?

場面指導の試験形式は自治体によって異なりますが、主に口頭試問や論述、面接形式などで出題されます。

一度の試験内で「児童間のトラブルと保護者への対応」など複数の場面について出題されることが多く、面接官を相手にロールプレイが求められることもあります。

なぜ重要視されるのか?評価のポイントとは

場面指導は受験者の教員への適性を短時間で見抜くために最適な試験形式のため、多くの自治体で導入されています。

課題提示から短時間で対応を決めて実践させることで、受験者自身の性質が取り繕われることなく明らかにできるためです。

主な評価ポイントとしては、「対応力」「判断力」「協調性」「児童生徒への姿勢」などが挙げられます。

また、場面指導で頻出するテーマの一つが「規則を守らない児童生徒への対応」です。以下の動画では、4つのステップに分けた具体的な回答例を解説しています。

傾聴に基づく事実確認からルールの再確認、自己肯定感を高めるフォロー、そして保護者や学校との連携まで、実際の面接で使える回答の組み立て方が学べます。

【教員採用試験の場面指導】評価される受け答えのコツ

場面指導で高評価を得る受け応えのコツは、単なる「正解」ではなく「思考のプロセス」や「児童生徒を最優先する姿勢」を見せることです。

具体的な高評価のポイントとしては、以下の5点が挙げられます。

  • 入退室のマナーとあいさつ
  • ポジティブで前向きな受け答え
  • 児童生徒の立場に立った言動を意識する
  • 指導目標が適切であること
  • 指導の手段と内容が指導目標を達成できるものであること

入退室のマナーとあいさつ

入退室時のマナーとあいさつは、試験の受け応え以前に「社会人の基本」として最初に評価されるポイントです。

基本的な所作や声のトーン、姿勢などは面接官に対する第一印象を決定づけ、「子どもの指導者たり得るか」の重要な基準となります。

ノックの回数や名乗り方、礼の仕方など、丁寧にできているかが常に見られています。

ポジティブで前向きな受け答え

全体を通してポジティブで前向きな受け答えができているかは非常に重要です。

どのようなトラブル事例を提示されても、回答内容から前向きに解決しようとする意思を伝えられれば合格に近づけます。

ネガティブな表現や批判的な口調、一方的な解決などは避けましょう。

児童生徒の立場に立った言動を意識する

教職員を志望する以上、常に児童生徒の立場に立った言動を意識しましょう。

教育現場では、子どもの気持ちや安全を最優先事項としなくてはなりません。

一方的な指導や感情的な対応に走らず子ども一人ひとりに寄り添う姿勢をもち、安心感や信頼感を与えられる言葉選びを心がけましょう。

指導目標が適切であること

指導目標や指導意図が適切・明確であることは評価を大きく左右するポイントです。

「なぜこのような対処を行うか」「対処によってどのような結果を意図するか」が明確か・児童の発達段階や状況に応じて現実的な目標設定になっているかが評価対象となります。

目標の具体性を欠いた「なんとなくの対応」や非現実的な「都合のいい展開への期待」は、現場への想定が甘いと評価される可能性があります。

指導の手段と内容が指導目標を達成できるものであること

指導の手段と内容が指導目標を達成できるものであることは重要です。

設定した目標に対して、対応策や指導法の整合性が釣り合っているかどうかは厳しく評価されます。

「目標はいいがやり方が的外れ」にならないよう、論理的根拠の感じられる対処選びと説明ができるよう備えましょう。

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当コラムでは、教員採用試験の場面指導について以下の内容で解説しました。

  • 場面指導は受験者の教員としての実践的総合力を測ることを目的に行われる。
  • 場面指導の出題形式は口述や論述、ロールプレイなどがあり、教育現場で発生し得る事例に対してどのように対処するかを問われる。
  • 評価される受け答えのコツとしては、入退室のマナー徹底や前向きな回答をすること、児童生徒の立場に立つ意識をもつことなどが挙げられる。

場面指導は提示された事例に対してアドリブ的に対処を決める必要があるため、一朝一夕では対応が難しい試験です。

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