教員の号給とは?昇給の仕組みと給料の上がり方をわかりやすく解説
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教員を目指す学生や受験生の中には、「教員の給料って、どうやって上がっていくの?」と給料に関して疑問をもつ方は多いのではないでしょうか。
特に「号給」という言葉は、教員の昇給やキャリアに深くかかわる重要なキーワードです。
しかし、具体的にどう働いて昇給していくのか、イメージしづらいでしょう。
本コラムでは、教員の号給制度の基本から昇給の流れまで詳しく解説します。
さらに収入の変化を年代別モデルで紹介するため、教員の給与について情報を集めている方はぜひ最後までご覧ください。
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教員の号給とは?給与の基本構造
教員の給与は、「号給」と「等級」の2つの柱によって構成される仕組みになっています。
2軸構造の仕組みは、教員としての役職と経験の両方を給与に反映させるものであり、全国の公立学校で広く導入されている給与制度です。
号給と等級の違いとは?
号給と等級の違いは、それぞれを分類する際の基準にあります。
まず「等級」とは、主に教員としての役職や責任の重さの程度を表す区分です。
初任者は低い級からスタートし、主任・主幹教諭・教頭・校長といった職責の高い役職に就くと、等級も上がっていきます。
例えば東京都の場合、等級は以下のとおりです。
- 1級:講師や実習助手など
- 2級:教諭
- 3級:主任教諭
- 4級:主幹教諭
- 5級:副校長
- 6級:校長
つまり、東京都では新卒で初任者の先生は、2級からスタートとなります。
等級が上がるにつれて求められるスキルや職務範囲が広がり、基本給の水準も高く設定されます。
一方、「号給」は、同じ等級内の給与の細かな段階を表す区分で、主に勤続年数や勤務実績に応じて上がる仕組みです。
例えば、同じ1級の教諭でも、勤続年数が長く、号給が高い人ほど基本給は高くなります。
通常、号給は毎年1回の定期昇給によって1段階ずつ上がっていきますが、特別な功績がある場合には、一気に2号以上も上がるケースがあります。
つまり、号給は等級とは異なり、教員の働いた年数や積み重ねた実績が反映される項目です。
役職に就けば等級が上がり、給与水準そのものを引き上げる一方で、同じ級でも年数や評価によって号給が上がれば、着実に収入は増えていきます。
号給は何によって決まる?年齢・勤続年数・評価との関係
号給は基本的に、教員の勤続年数や年齢によって自動的に上昇していく仕組みですが、近年では人事評価制度も導入されています。
従来の仕組みでは、教員としての勤務年数が1年増えるごとに号給も上がる定期昇給が基本でした。
年功序列的な考え方に基づいており、同じ等級に留まっていても経験を重ねれば着実に収入が増えていくメリットがあります。
しかし、近年では実績や評価に基づいた昇給制度を導入する自治体が増加している傾向です。
全国的により実績や成果を重視する方向へと制度が変わりつつあります。
また、号給の昇給幅や昇給のルールは自治体によって異なり、同じ年齢・役職でも地域によって給与に差が生じる場合があります。
将来的な収入やキャリアを考える際には、自分が希望する自治体の給与制度をしっかり確認することが重要です。
教員の昇給はどう決まる?号給の上がり方は?
教員の実際の収入に大きくかかわる区分が号給の昇給です。
ここでは、教員の号給がどのようなルールで決まるのか、基本的な知識と近年の制度改革による変化を解説します。
年に1回4号給上昇が基本
教員の号給は、原則として年に1回(4月)に4号ずつ昇給することが基本です。
地方公務員全体に共通する制度であり、多くの自治体で採用されています。
年1回の昇給では、基本給が約6,000〜10,000円上がるのが一般的です。
例えば東京都では、3級29号給の教員が1年後に1級33号給となると、基本給が約6,900円上がります。
※出典:教育職給料表|東京都人事委員会
号給は年1回定期的に給与がアップするため、教員にとっては安定した昇給の仕組みといえるでしょう。
ただし、自治体によっては昇給の時期や幅などに独自のルールがあり、例外もあります。
そのため、自動的に誰でも同じように昇給するわけではない点も理解しておく必要があるでしょう。
また、初任者のスタート号給や昇給ペースにも地域差があるため、希望する自治体の制度の事前確認は必須です。
人事評価が昇給に影響するように
現在では、人事評価に基づいて昇給に差が出る仕組みが全国的に導入されています。
特に、2016年以降はすべての自治体に「業績評価」と「能力評価」の制度が義務化されました。
勤務年数だけでなく、勤務態度や成果も評価の対象となり、評価が高ければ通常よりも多く昇給できる「特別昇給」も導入。
教職に対する熱い情熱をもった指導、専門家としての確かなスキルなどが日頃からの実績で認められると、良い評価につながります。
一方、評価が低いと昇給が見送られることとなり、「とりあえず勤めていれば毎年昇給するだろう」という年功序列的な考えは通用しなくなってきています。
例えば、勤務日数が著しく足りない、勤務態度が悪いなど、あまりにも勤務成績が悪いと昇給がない可能性があります。
また、業務上何らかの問題を起こした場合、処分として減給されるでしょう。
現在、教員は指導力や専門スキルなど幅広い資質が求められるようになり、業務上の行動が昇給に直結する時代になっています。
教員の給料はどれくらい上がる?年代別モデルで解説
小学校・中学校・高校における教員の平均年収を年代別で紹介します。
| 小学校教員 | 中学校教員 | 高校教員 | |
|---|---|---|---|
| ~19歳 | 0万円 | 0万円 | 0万円 |
| 20~24歳 | 361.22万円 | 361.22万円 | 340.48万円 |
| 25~29歳 | 418.85万円 | 418.85万円 | 430.15万円 |
| 30~34歳 | 526.25万円 | 526.25万円 | 549.92万円 |
| 35~39歳 | 621.01万円 | 621.01万円 | 649.47万円 |
| 40~44歳 | 711.42万円 | 711.42万円 | 733.05万円 |
| 45〜49歳 | 848.92万円 | 848.92万円 | 816.87万円 |
| 50〜54歳 | 933.22万円 | 933.22万円 | 865.03万円 |
| 55〜59歳 | 933.43万円 | 933.43万円 | 916万円 |
| 60〜65歳 | 780.78万円 | 780.78万円 | 800.62万円 |
| 66〜69歳 | 745.06万円 | 745.06万円 | 674.09万円 |
| 70歳〜 | 700.38万円 | 700.38万円 | 585.58万円 |
※参考:中学校教員 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
※参考:高等学校教員 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
どの校種でも20歳以降年収が上がっていき、55〜59歳でピークとなります。
小学校・中学校は平均年収が同等で、ピークである55〜59歳の年収は933.43万円です。
高校教員の場合、55〜59歳の年収は916万円であり、小学校・中学校の教員よりも低い結果となりました。
ただし、25〜44歳までと60〜65歳では、高校教員のほうが年齢別年収が高く、全体の年収は高校教員のほうが高いと考えられます。
教員の給与に影響する手当と地域差
教員の給与は、同じ号給・等級でも、勤務地や自治体によって手取り額や年収に大きな差が生じることがあります。
差が生まれる主な要因は、地域手当や住居手当などです。
この章では、教員の給与に影響を与える手当と地域差について詳しく紹介します。
基本給+手当で構成される教員の給与体系
教員の給与は、基本給と各種手当の合計で構成されます。
基本給は、号給と等級により全国共通の基準で決定されますが、実際の支給額には各種手当が加算されるため、同じ号給でも差があります。
特に地域によって差が大きい手当は、地域手当です。
地域手当とは、勤務地によって生じる物価や生活費の差を補うために支給される手当です。
東京都特別区では基本給に約20%の地域手当が含まれる一方、大阪府では11.8%となっています。
また、地方では5〜10%あるいは地域手当が支給されない地域もあります。
ただし、都市部が一律で有利とは限りません。
東京都心では家賃や物価水準が高いため手当だけでは補えないことがある一方、地方では手取りに占める住居費の割合が小さい場合も多々あります。
通勤手当・寒冷手当・扶養手当も自治体によって支給基準が異なるため、家庭状況によって地方勤務のほうが実質的に生活に余裕があるケースも少なくありません。
また、教員の給与体系で特徴的なのが「教職調整額」です。
時間外勤務手当(残業代)に代わる制度として設けられており、公立学校の教員には月給の4%が一律で支給されます。
教職は授業外の業務も多いため、時間管理が難しいという事情から、労働時間に応じた残業代ではなく、固定の手当で調整されています。
※出典:給与決定と算出の仕組み|給与関係|東京都人事委員会、令和6年 職員の給与等に関する報告及び勧告の概要|大阪府人事委員会
同じ号給でも年収が違う?地域別の給料差
教員の給与は全国共通の号給制度に基づいて支給されますが、同じ号給であっても地域別で年収に差が生じることがあります。
主な要因は、地域手当・初任給の設定・ボーナス計算方法などです。
例えば、東京都特別区の地域手当と大阪府は水準が異なり、地方ではさらに低いもしくは支給されない自治体もあります。
そのため、月給で2〜4万円、年収では30万〜50万円以上の差が出ることも珍しくありません。
さらに、初任給の設定にも差があります。
同じ1級29号給で採用されても、都市部ではスタート号給が高めに設定される傾向があり、そこからの昇給にも差が生まれます。
ただし、都市部が常に「高収入で得」というわけではありません。
東京都で暮らす場合は生活費が高額になり、住居手当で補いきれないケースもあります。
一方、地方では家賃が安く、公舎が整備されていたり、実家から通えるなどのメリットがあり、実質的な可処分所得では地方が優位になる場合もあります。
※出典:給与決定と算出の仕組み|給与関係|東京都人事委員会、令和6年 職員の給与等に関する報告及び勧告の概要|大阪府人事委員会
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