高校教員採用試験とは?倍率・試験内容・合格のポイントも解説
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高校の教員を目指す大半の方は、教員採用試験の詳細や倍率などが気になっているのではないでしょうか。
試験に合格するには、各自治体の試験内容や求められる人物像を正しく理解したうえでの効率的な対策が大切になります。
このコラムでは、高校の教員採用試験について基礎から解説し、倍率や最近の傾向についても紹介します。
これから受験を考えている方や、社会人から教員を目指す方に役立つ情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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ここでは高校教員採用試験の概要を解説します。
- 高校教員採用試験の難易度(合格率・倍率)
- 高校教員採用試験の年齢制限
- 高校講師になるには?高校教員採用試験の日程と全体の流れ
- 高校教員採用試験の試験内容
高校教員採用試験の難易度(合格率・倍率)
教員採用試験の難易度について、小学校、中学校、高校それぞれの倍率データを次の表にまとめました。
| 小学校 | 中学校 | 高校 | 全体 | |
| 令和6年度(令和5年実施) | 2.2倍 | 4.0倍 | 4.3倍 | 3.2倍 |
| 令和5年度(令和4年実施) | 2.3倍 | 4.3倍 | 4.9倍 | 3.4倍 |
| 令和4年度(令和3年実施) | 2.5倍 | 4.7倍 | 5.3倍 | 3.7倍 |
| 令和3年度(令和2年実施) | 2.6倍 | 4.4倍 | 6.6倍 | 3.8倍 |
| 令和2年度(令和元年実施) | 2.7倍 | 5.1倍 | 6.1倍 | 4.0倍 |
| 令和元年度(平成30年実施) | 2.8倍 | 5.7倍 | 6.9倍 | 4.2倍 |
過去5年のデータを見る限り、高校教員試験は小学校、中学校に比べて倍率が高く、難易度が高めの傾向があります。
ただし、令和元年から令和3年にかけては6倍を超える倍率となっていましたが、近年は少しずつ倍率も落ち着いてきています。
高校教員採用試験の年齢制限
高校教員採用試験の年齢制限は自治体によって異なりますが、一般的には30代前半から40代前半まで応募可能な場合が多くなっています。
なお、文部科学省の「教員採用等の改善に係る取組事例」によると、近年は多様な人材確保の観点から年齢に関する制限を緩和する動きも見られます。
また、大学3年生の段階で受験できる「前倒し受験制度」を導入している自治体もあるため、早期に教員を目指したい学生には大きなメリットとなるでしょう。
参考:「令和5年度教師の採用等の改善に係る取組事例」文部科学省
高校講師になるには?高校教員採用試験の日程と全体の流れ
高校講師になるには、各自治体の教員採用試験を受験して合格しなければなりません。
なお、試験の日程や流れは自治体によって若干異なりますが、一般的には次のようなスケジュールで進行します。
| スケジュール | 日程(目安) |
|---|---|
| 教員採用試験の説明会への参加 | 3月〜5月 |
| 出願 | 4月〜5月 |
| 一次試験 | 6月〜7月 |
| 一次試験の合格発表 | 7月〜8月 |
| 二次試験 | 8月〜9月 |
| 最終合格発表 | 9月〜10月 |
| 内定 | 10月〜翌年3月下旬 |
| 研修 | 翌年1月〜3月 |
| 勤務 | 翌年4月 |
一般的には、春先に出願、夏に試験、秋ごろに最終合格の流れとなります。
また、合格後も実際に勤務するまで内定に関する面接や研修などが実施されるため、教員採用試験は丸々一年がかりで進んでいく試験ともいえるでしょう。
参考:「教員採用試験の流れとスケジュールについて解説! どのくらい難しいのかも解説」アガルート
高校教員採用試験の試験内容
高校教員採用試験の試験内容について、筆記試験や面接試験、実技試験、適性検査まで幅広く解説します。
筆記試験
筆記試験は主に、一般教養、教職教養、専門教養、小論文の4つに分けられます。
それぞれの試験項目の傾向や出題範囲は、次のとおりです。
一般教養試験
一般教養試験は、教科問題、時事問題、一般常識の主に3つの分野から出題されます。
教科問題は、国語、数学、英語、理科、社会といった、高校までに学習する基本的な教科です。
時事問題と一般常識では、過去3年ほどの社会的な出来事や地域的な話題が出題されるケースがあります。
教職教養試験
教職教養試験では、日本の教育が目指す方向性を理解しているかが問われます。
主な出題分野は、教育原理、教育法規、教育心理、教育史、教育時事の5つです。
専門教養試験
専門教養試験では、志望する教科や校種に関する専門知識をはじめ、教科ごとの指導要領や指導方法に関する理解が問われます。
小論文
筆記試験の一環として、小論文を実施する自治体もあります。
出題されるテーマは多岐にわたりますが、小論文試験では受験者が教員としてふさわしい人格や考え方を備えているかどうかが評価されます。
小論文の概要
- 制限時間:50〜70分
- 文字数:600〜2,000字
- 主なテーマ例:教師論、教育論、実践的な指導方法 など
面接試験
面接試験では、受験者の人格や教育に対する考え方などが評価されます。
自治体によっては2次試験で面接が実施されたり、複数回にわたって面接をおこなう場合も。
なお、面接官には現職の校長や教頭、教育委員会の職員に加え、民間企業の人事担当者などが起用されるケースもあります。
個人面談
個人面談では、自己PRや志望動機のほか、筆記試験で問われた教職教養に関する内容や、具体的な指導の在り方について質問されます。
なお、評価されるのは回答の内容だけではなく、話し方や表情、所作など、受験者の印象や人柄も重要な判断材料となります。
※面接形式:通常 受験者1人に対して面接官2〜4人
集団面接
個人面談に加えて、受験者数人による集団面接を実施する自治体もあります。
面接は対面でおこなわれるだけでなく、受験者の背後に面接官が配置され、所作や態度などを観察される場合もあります。
集団面接では自分の意見を述べることだけでなく、他の意見に耳を傾けているかといった協調性も評価の対象となります。
※面接形式:通常 受験者3〜10人に対して面接官2〜5人
討論
討論試験は、受験者のコミュニケーション能力や協調性などを総合的に評価する試験です。
受験者は通常4〜6人程度のグループに分かれ、指定されたテーマについて一定時間内で議論を行います。
リーダーシップや話し合った内容をうまくまとめる力が求められる一方で、場の空気を読む力や相手に配慮した発言なども重視されます。
模擬授業
模擬授業は、限られた時間の中で受験者が教室内での指導を実演する形式の試験です。
実際の授業に似た進行をおこなう中で、教える力や伝える力、指導技術などが評価されます。
また、授業の流れや教材の使い方、指導のねらいなどを文書にまとめた指導案の提出を求められる自治体もあります。
実技試験
実技試験は、面接官の前で実技を披露する試験です。
とくに小学校教員や中学高校の美術、保健体育、音楽、家庭科、英語などの教科を志望する受験者に実施されます。
主な教科・分野ごとの実技試験の内容や評価されるポイントは次の通りです。
| 種・科目 | 実技の一例 | 評価ポイントの一例 |
|---|---|---|
| 体育 | 水泳、跳び箱、マット運動など | 動きの正確さ、安全配慮、声かけ |
| 音楽 | ピアノ演奏、歌唱など | 表現力、音程、リズム |
| 美術 | デッサン、簡単な造形制作 | 描写力、構成力、観察力 |
| 家庭 | 調理、裁縫(被服) | 衛生管理、安全性、説明力 |
| 英語 | スピーチ、ディスカッション | 発音、流暢さ、対話力 |
適性検査
一部の自治体では、教員に求められる特性を客観的に把握するために、適性検査が実施される場合も。
適性検査には、単純な計算作業を繰り返すクレペリン検査や、性格傾向を分析する性格検査などがあります。
また、近年では一部の地方自治体で教員採用試験の内容を見直し、複数の試験を統合するなどして受験者の負担を軽減する簡素化の動きが見られています。
参考:「令和7年度大阪府公立学校教員採用選考テストからの変更点について」大阪府
高校教員採用試験に合格するための対策方法
高校教員採用試験に合格するための対策方法を解説します。
- 高校教員採用試験の筆記試験対策方法
- 高校教員採用試験の面接対策方法
- 高校教員採用試験の実技試験対策方法
- 高校教員採用試験の適性検査対策方法
高校教員採用試験の筆記試験対策方法
教員採用試験の対策は、まず筆記対策から始めるのが基本です。
筆記試験に合格しなければ2次試験に進めないため、しっかりと基礎力を固めておきましょう。
筆記試験で出題される科目は大きく3つに分かれます。
① 教職教養
教職教養は、教育に関する知識や教育制度の理解が問われる分野です。
主に次の5科目が出題されますが、まずは自治体の過去問で出題傾向を確認し、自分に必要な科目を絞りましょう。
過去問を解きながら、頻出テーマを絞って重点的に対策したり、法律や教育方針では「なぜそうなったのか」を背景まで掘り下げるとよいでしょう。
また、教育時事では、新聞や教育ニュースをチェックして直近3年の教育動向を整理しておくことをおすすめします。
| 出題科目 | 内容概要 |
|---|---|
| 教育原理 | 教育の基本的な考え方や指導法(学級経営・生徒指導など) |
| 教育法規 | 教育関連の法律・制度について |
| 教育心理 | 学習理論や発達段階、動機づけなど |
| 教育史 | 日本や世界の教育の変遷・思想など |
| 教育時事 | 文科省や教育審議会の答申、道徳・人権教育など |
② 一般教養
一般教養は、社会人としての基礎学力や時事常識を問う分野で、次の3分野から出題されます。
全体として難易度はそこまで高くないものの、苦手分野を放置すると失点がかさむため注意が必要です。
そのため、計算問題はミスしない練習を徹底しておきましょう。
また、苦手科目に時間を多めに割き、得点源に変えるためにも、高校までに学習する基本的な教科を復習しておくとよいでしょう。
また、まんべんなく勉強するよりも頻出分野の重点的な演習が大切になるため、志望する自治体の出題傾向をおさえておくと安心です。
| 分野 | 主な科目 |
| 人文科学 | 国語・英語・音楽・美術など |
| 社会科学 | 歴史・地理・政治経済・倫理など |
| 自然科学 | 数学・理科・情報など |
③ 専門教養
専門教養は、志望する校種や教科に関する専門知識が問われる試験です。
そのため、自身が志望する校種にあわせた勉強をおこないましょう。
特に高校教員を志望する場合、大学入試レベル相当の問題が出題される自治体も多いため、しっかりとした教科知識が必要です。
教科書レベルから大学入試問題集までの範囲をカバーし、専門分野に関する論述が必要な自治体向けに論点整理も意識しましょう。
また、保健体育の分野では、指導法とともに実技の知識が求められるため、学校安全・保健衛生も確認しておきましょう。
指導法については学習指導要領を参考にした対策がおすすめです。
| 校種 | 試験内容例 |
|---|---|
| 小学校 | 主要5科目(国・算・理・社・英)+副科目(音・図・体など) |
| 中高:国語 | 現代文・古文・漢文など |
| 中高:社会 | 日本史・地理・政治経済など |
| 中高:保体 | スポーツ知識、指導法、応急処置など |
高校教員採用試験の面接対策方法
教員採用試験は面接試験での人物評価も非常に重要となるため、次の3つのポイントを押さえて準備を進めましょう。
1,想定質問と回答を準備
過去の傾向からよくある質問内容は予測できます。
そのため、過去に出された質問に対する具体的な回答を、自分の経験や考えをもとに準備しておきましょう。
2,実際の面接を想定して練習
面接本番で緊張しないためには、繰り返し練習することが最も効果的です。
家族や友人などに模擬面接を協力してもらったり、通信講座などの面接指導サービスを活用して練習しましょう。
3,言葉遣いに注意
面接では話す内容だけでなく、言葉遣いや態度も評価の対象です。
丁寧な敬語を心がけたり、略語を避けたりなど、日頃から話し方を意識しておきましょう。
高校教員採用試験の実技試験対策方法
まずは、各自治体でどのような実技試験が行われるかを把握しましょう。
そして、動画教材や指導書などを活用し、正しいフォームや技術を身につけましょう。
また、実技中に声かけや説明をどのようにおこなうかを意識した練習も大切です。
高校教員採用試験の適性検査対策方法
適性検査では、主にクレペリン検査、性格検査、SPIなどが実施されます。
クレペリン検査では集中力と作業ペースを意識し、性格検査ではありのままを落ち着いて答えましょう。
また、SPIでは基礎学力と論理的思考がチェックされるため、高校入試レベルの国語や数学などの教科を復習しておくとよいでしょう。
参考:「教員採用試験の勉強法とは? 試験対策と何から勉強したらいいのか徹底解説」アガルート
高校教員採用試験に合格する4つのポイント
高校教員採用試験に合格するポイントは下記4点です。
- 自治体の試験内容を把握する
- 勉強のスケジュールを明確に立てる
- 面接対策に力を入れる
- 効率的に学習する
自治体の試験内容を把握する
まずは志望する自治体がどのような試験を実施しているのか、募集要項や過去の試験内容を確認しましょう。
同じ高校教員採用試験でも、自治体ごとに試験の内容や重視されるポイントは異なります。
試験の構成や出題傾向、求められる人物像を把握しておくと、効率的な対策が進めやすくなります。
具体的には、次のような情報収集がおすすめです。
- 教育委員会の公式サイトで試験要項や配点、試験日程を確認
- 過去問を数年分収集し、出題傾向を分析
- 受験報告サイトやSNS、合格者ブログで体験談や模擬授業のテーマを調査
- 模擬授業や実技がある場合は、その内容の詳細をリサーチ
とくに実際に受験した方のリアルな声は参考になるため、昨年の受験者や合格者のSNSやブログなどをのぞいて傾向をチェックしておきましょう。
また、公式ホームページや教育委員会の資料などを活用し、自治体から発信される情報を見逃さないようにしましょう。
勉強のスケジュールを明確に立てる
高校教員採用試験に合格するためには、中長期的な学習スケジュールを立てることも大切です。
「いつまでにどの分野を仕上げるか」「平日・休日での勉強時間の配分はどうするか」など、具体的な計画があると、学習の進捗管理とモチベーション維持に役立ちます。
日々の学習量を可視化するためにも、手帳やスケジュールアプリを使って、まずは1週間単位の目標を設定してみましょう。
また、週末ごとに現在の目標達成率をチェックすれば、モチベーションの維持にもつながります。
無理のない計画を立てつつ、小さな目標を少しずつ達成しながら勉強を進めましょう。
面接対策に力を入れる
教員採用試験では、筆記試験に合格しても面接で評価されなければ最終合格できません。
面接では、教育への考え方や人間性、協調性、実践力などが重視されるため、志望理由や自己PR、教育観などの具体的な回答を準備しておきましょう。
なお、民間人面接官や校長経験者が参加する場合もあるため、幅広い視点での質問を想定しておくと安心です。
模擬面接を繰り返し、第三者からフィードバックをもらっておけば、本番での受け答えも自信が持てます。
家族や友人などに模擬面接を協力してもらったり、通信講座などの面接指導サービスを活用して練習しましょう。
また、面接カードの提出が必要な自治体の場合には、その内容に沿って一貫した自己PRや教育観を作っておくとよいでしょう。
効率的に学習する
教員採用試験に合格するためにも、効率的な学習スタイルを確率させましょう。
過去問は出題頻度の高いテーマから重点的に取り組み、得意科目ではなく苦手分野に時間を回すなど、学習方法にも工夫が必要です。
なお、参考書は複数用いるよりも、一冊を何周も使う方が定着率が高いともいわれています。
また、独学でコツコツ学ぶのも一つの方法ですが、不安がある場合は通信講座や予備校、学習アプリなどのサポートを活用するのも効果的です。
過去問や模試を定期的に取り入れながら、自分の不得意な部分を可視化すると、効率的な学習につながります。
まとめ
高校教員採用試験は、小学校や中学校の教員に比べて倍率が高い傾向にあります。
そんな中でも、試験の仕組みを理解し、自治体の情報を正確に把握しながら対策を進めれば、十分に合格を狙えます。
自治体ごとに出題形式や評価基準が異なるため、募集要項や過去問、教育委員会の資料などを通じて情報を集めましょう。
筆記試験では基礎力の定着を、面接では教育観や人柄を伝える準備を徹底しましょう。
そして模擬授業や実技など自治体独自の試験にも対応できるよう、幅広く備えることが重要です。
最も大切なのは、志望する自治体の試験傾向をリサーチし、計画的な試験対策に取り組むことです。
出題範囲や頻出テーマに的を絞り、時間と労力を効率的に使いながら自分に合った対策を進めていきましょう。
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