教員採用試験に合格したあと、「健康診断で不採用になったらどうしよう」と不安に感じていませんか?

せっかく面接を乗り越えたのに、健康診断の結果次第で内定取り消しになるのではと心配になる方は少なくありません。

特に、過去に持病があった方や、体調に不安を抱えている方にとっては、「どんな項目があるの?」「当日はどんな流れ?」「もし診断書の提出が間に合わなかったら?」と、疑問が尽きないのではないでしょうか。

このコラムでは、教員採用試験で実施される健康診断について、診断のタイミングや検査項目、当日の流れ、そして不採用になるケースの実例まで詳しく解説します。

あわせて、健康診断書の提出に間に合わない場合の対処法についても紹介しているので、不安を抱えている方にとって安心材料となるはずです。

健康診断への不安を払拭し、自信を持って教職のスタートラインに立つために、ぜひ最後までご覧ください。

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教員採用試験の健康診断とは

教員採用試験では、最終合格後や内定後に「健康診断書」の提出を求められます。

これは採用者の健康状態を事前に把握し、教育現場での適正配置や健康管理に役立てることが目的です。

公務員として新たに任用される場合には、人事院規則第10-4第19条により、健康診断を「行わなければならない」と明記されており、民間企業と同様に、採用前の健康確認は法的義務となっています。

健康診断では、法定項目に基づいた検査が行われますが、教職員という職種の特性上、学校現場での勤務に支障がないかどうかを確認するための意味合いも強くなります。

健康診断を受けるタイミング

教員採用試験における健康診断の実施タイミングは、一次試験(筆記・適性検査)を通過した後、あるいは最終面接後の内定段階で行われることが多いです。

多くの自治体では、面接と同時に健康診断書の提出を求めたり、内定通知後に個別で受診の案内を出したりしています。

特に「雇入れ時健康診断」は、内定から入職までの期間(入職前または入職後1ヶ月以内)に受診する必要があり、これは労働安全衛生規則第43条でも義務付けられています。

いずれにしても、提出期限が明示されるため、スケジュールに余裕を持って準備することが大切です。

費用は自腹?

健康診断の費用は、ケースによって異なります。

公務員の雇入れ時健康診断は法律で事業主側の義務とされているため、本来であれば原則として費用は自治体(雇用主)が負担するのが基本です。

ただし、実際には以下のようなケースがあります。

  • 集団で指定医療機関にて受診する場合:自治体が全額負担することが多い
  • 個人で指定病院に受けに行く、または自己手配する場合:自己負担となることがある

自己負担の場合の費用相場は1万円~1万5千円程度です。

さらに、再検査が必要になったり、任意の検査項目を追加した場合には、追加費用がかかることもあります。

なお、健康診断にかかる費用を一部助成する制度はありますが、これは「法定外」の健診に限られていることが多く、教員採用試験における雇入れ時健診(法定健診)には原則適用されません。

教員採用試験の健康診断の項目

教員採用試験における健康診断では、「業務に支障のない健康状態か」を確認するため、法令に基づいた検査項目が実施されます。

この健康診断は、労働安全衛生規則第43条に定められた「雇入れ時健康診断」に準拠しており、国家公務員・地方公務員問わず、基本的な検査項目は共通しています。

ここでは、教員採用において実施される主な検査項目と、教職員特有の追加検査について解説します。

法定で定められた必須検査項目

労働安全衛生規則により、雇い入れ時に実施が義務付けられている検査項目は以下の通りです。

  • 既往歴および業務歴の調査:過去にかかった病気や手術歴、勤務に影響する疾患の有無を確認します。
  • 自覚症状・他覚症状の有無:問診や医師の診察により、体調や症状の有無をチェックします。
  • 身長・体重・腹囲:肥満や栄養状態を把握するために測定します。
  • 視力および聴力検査:日常的な教育活動に支障がないかを確認します。
  • 胸部X線検査:結核や肺の疾患などを確認します。
  • 血圧測定:高血圧や低血圧などの有無を確認します。
  • 貧血検査(血色素量・赤血球数):全身の酸素供給に関わる血液の状態を調べます。
  • 肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP):肝臓の健康状態をチェックします。
  • 血中脂質検査(LDL・HDL・中性脂肪):動脈硬化や生活習慣病のリスクを把握します。
  • 血糖検査:糖尿病のリスクを確認します。
  • 尿検査(糖・蛋白):腎機能や代謝異常の兆候を調べます。
  • 心電図検査:不整脈や心臓の疾患の有無をチェックします。

これらは、教員としての業務に耐えうる健康状態であるかを判断するために必要不可欠な検査です。

教職員健康診断の具体例

学校教職員として勤務する際には、一般的な健康診断項目に加えて、追加の検査を実施する自治体もあります。以下はその一例です。

  • オージオメーターによる聴力検査:一般的な聴力検査よりも詳細な周波数まで測定できるため、教室内での会話の聞き取りに支障がないかを確認できます。
  • 胃部X線検査(バリウム検査):消化器系の疾患を早期に発見するため、希望者または年齢によって追加されることがあります。
  • 心理検査:精神的な安定性やストレス耐性を見る簡易検査が実施される場合もあります(自治体によって異なる)。

これらの追加項目は、必須ではないケースもありますが、自治体や学校によっては受診が求められる場合があるため、案内資料をしっかり確認しておくことが大切です。

教員採用試験の健康診断を受ける際の注意点

教員採用試験に合格し、いざ健康診断となると、「どんな準備が必要?」「何を持って行けばいいの?」と不安になる方も多いでしょう。

ここでは、健康診断当日の流れや、事前準備、注意点について詳しく解説します。

事前に把握しておくことで、当日慌てることなくスムーズに受診できるはずです。

健康診断前の準備と注意点

健康診断の結果を正確に得るためには、前日や当日の食事・行動に注意する必要があります。

特に血液検査や胃の検査が含まれる場合、ちょっとした油断が数値に影響を与えることも。

前日の注意点

健診が午前中の場合は、前日の21時以降は絶食と指示されることが多いです。

水分は取っても構いませんが、アルコールや脂っこい食事は控えるようにしましょう。

当日の注意点

水やお茶など、無糖の飲み物は基本的にOKです。

午後からの健診の場合、朝8時までの軽食なら可とされる病院もあります(ただし病院の指示を優先)。

服用中の薬がある場合は、事前に医師や病院に確認しておきましょう。

女性で生理中の方

生理中は尿検査に影響が出ることがあるため、日程変更の相談を推奨される場合があります。

これらの注意点は、病院や自治体によって異なることもあるため、必ず案内文や指示内容を確認してください。

当日の服装と持ち物

健康診断では、着脱のしやすい服装や、必要な書類・持ち物の準備も重要です。

服装

上下セパレートの服装が理想的です。

脱ぎ着しやすく、胸部X線検査や心電図検査に対応しやすいためです。

合格者が一斉に受診する集団健診の場合はスーツ着用が無難ですが、個人受診であればラフな服装でも問題ありません。

アクセサリーや金属製の下着(ワイヤー入りブラジャーなど)は検査の妨げになることがあるため、避けましょう。

持ち物

  • 健康診断書の指定用紙
  • 筆記用具(鉛筆・消しゴム・黒ボールペン)
  • 本人確認書類
  • 視力検査用の眼鏡やコンタクトケース
  • 指定された備品

受診先によって必要な物が異なる場合があるため、事前に配布された資料や連絡内容を確認し、忘れ物のないように準備しておきましょう。

教員採用試験の健康診断で不採用になるケース

健康診断と聞くと、「もし何か異常が見つかったら不採用になるのでは…」と不安になる方も少なくありません。

せっかく試験に合格したのに、健康診断の結果が理由で内定が取り消されるのは避けたいところです。

結論から言うと、健康診断の結果だけで即不採用になるケースはごくまれです。

ここでは、不採用につながる可能性のあるケースや、健康上の問題が発覚した場合の対応について詳しく解説します。

不採用となる判断基準

健康診断で「数値が基準を少し外れた」「生活習慣病のリスクがある」など、軽度の異常が見られた程度で不採用になることはほとんどありません。

実際に不採用となるのは、以下のようなケースに限られます。

  • 教職としての業務遂行に重大な支障が出ると判断される病気がある
  • 医師から継続的な入院や治療を要すると診断された
  • 強い精神的不安定さが確認され、業務に著しい影響を及ぼす可能性がある

こうした場合、採用側としては「配置が困難である」「就労継続が困難と予見される」と判断せざるを得ません。

ただし、その判断には医師の見解や専門的評価が必要であり、一方的な理由で即時内定を取り消すことは原則としてできないことになっています。

健康上の問題があった場合の対応

健康診断で何らかの問題が見つかったとしても、それだけで不合格となることは稀です。

むしろ、自治体や学校側は以下のような対応をとるのが一般的です。

  • 「要再検査」や「経過観察」の指示が出された場合:診断書に基づき、医療機関での再検査や主治医の意見書の提出を求められることがあります。
  • 治療が必要な場合:一定期間の療養を促され、完治後に再度採用手続きを進めるケースもあります。

また、法的にも、雇入れ時健康診断の結果のみで採用内定を一方的に取り消すことは労働契約上のトラブルになりかねません。

そのため、採用担当者側も慎重に判断することが求められており、問題があったとしても「いかに業務に支障があるか」が判断基準となります。

採用側の視点と健康診断の意義

教員採用試験における健康診断は、受験者をふるいにかけるためのものではなく、採用後に安心して働けるようにサポートするための確認です。

万が一、診断結果に不安があったとしても、必要以上に落ち込まず、まずは冷静に状況を確認し、必要な対応を進めていくことが大切です。

健康診断書の提出が間に合わない場合に取るべき対処

教員採用試験の最終段階では、健康診断書の提出が求められますが、病院の予約が取れなかったり、診断書の発行に時間がかかったりと、提出期限に間に合わないケースもあります。

そのような場合には、できるだけ早く採用担当者に連絡を入れ、事情を説明することが重要です。

連絡方法は、期限までに数日以上の余裕がある場合はメールでも構いませんが、前日や当日など急を要する場合は電話で直接連絡しましょう。

状況を正直に伝えたうえで、提出予定日などの相談を行えば、多くの場合は柔軟に対応してもらえることがほとんどです。

健康診断書の提出が遅れそうなときは、黙って放置するのではなく、必ず連絡・相談することが信頼関係の基本です。

早めに対応すれば、トラブルに発展する可能性はほとんどありません。焦らず、丁寧に進めていきましょう。

まとめ

教員採用試験における健康診断は、採用後に安心して働くための健康状態の確認と適正な配置のために重要なものです。

実施のタイミングや検査項目、当日の流れは事前に把握しておくことで、慌てることなくスムーズに受診できるでしょう。

また、「健康診断で不採用になるのでは」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、軽微な異常が原因で不採用となるケースはほとんどなく、業務に重大な支障がある場合に限られます。

診断書の提出が間に合わない場合も、早めに連絡を入れて事情を説明すれば柔軟に対応してもらえることが一般的です。

不安な点があっても、必要以上に心配せず、一つひとつ丁寧に対応していくことが大切です。

健康診断は、教職人生の第一歩を踏み出すための最終チェックになるので、しっかりと準備を整えて、万全の状態で新しいスタートを迎えましょう。

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