教員を目指す高校生・大学生・社会人の方で、「先生になるためには、何から始めれば良いの?」「どんな資格や試験が必要なのか知りたい」という疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

本コラムでは、教員になるまでの流れをわかりやすく解説します。

また、教員免許の種類と取得方法、教員採用試験の仕組みや対策法、さらには教員に向いている人の特徴まで、教員になるために必要な情報をしっかり網羅。

教員を将来の選択肢のひとつとして考えている方はぜひ参考にしてください。

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教員になるまでの流れ

教員になるまでの大まかな流れは次のとおりです。

  1. 教員免許を取得する
  2. 教員採用試験を受ける
  3. 採用後に現場で働く

教員を目指すには、まず大学や短大で教員養成課程を修了し、教員免許を取得する必要があります。

教員免許は希望する教科や校種によって異なりますが、いずれも必要な単位を修めることで取得可能。

教員免許取得後、公立学校の教員を目指す場合は、都道府県や政令都市の教育委員会が実施する教員採用試験を受け、合格しなければなりません。

一方、私立学校の場合は、各学校が独自に行う採用試験を受けて合格する必要があります。

合格者は各教育自治体の名簿に登録され、採用確定後に現場で教員として働くことになります。

教員免許の種類と取得方法

それでは、教員免許の種類と取得ルートを具体的に見ていきましょう。

「どの免許を目指すべきか」「どのようなルートで取得できるのか」がはっきりと見えてくるはずです。

教員免許にはどんな種類がある?

教員免許には、「幼稚園」「小学校」「中学校」「高校」「特別支援学校」など、教える対象や校種によって複数の種類があります。

今回は、「小学校」「中学校」「高校」の普通免許状の情報に絞ってお伝えします。

小学校教諭普通免許状

国公立・私立の小学校教諭になるために必要な資格。

小学校の教員は、国語・算数・理科・社会・音楽・図工・体育など、幅広い教科を担任として教えることが基本です。

そのため、指導力と幅広い知識が求められます。

中学校教諭普通免許状

中学校の教諭として働くために必要な資格です。

中学教諭は、専門の1教科を担当する形となるため、英語・数学・物理・美術などの教科ごとに免許がわかれています。

高等学校教諭普通免許状

高校教諭になるために必要な資格。

高校教諭も基本的に1教科を担当しますが、中学校よりも教科が細分化されていて、より高度な専門性が求められることが特徴です。

地理歴史・公民・情報などの実業系教科の免許も含まれます。

教員免許の取得方法は?

大学で教職課程を履修して取得するルートが一般的です。

そのほかにも、通信制大学や大学院、特例制度など、さまざまな取得方法があります。

それでは、小学校・中学校・高校それぞれの教員免許の取得方法について詳しく解説しましょう。

小学校の教員免許の取得方法

最も一般的な方法は、教育学部などの教員養成系学部に進学し、教職課程を履修する方法です。

教職に関する科目、教育実習、教科に関する科目など、必要な科目を履修・単位取得し、卒業と同時に申請することで免許が交付されます。

小学校の教員免許には、大学(4年制)修了で取得できる「一種免許状」、短期大学(2年制)修了で取得できる「二種免許状」、そして大学院修了で取得できる「専修免許状」があります。

なお、大学に通うことが難しい場合は、通信制大学を利用して教職課程を修了する方法もあります。

また、大学を卒業しているものの、必要な単位を満たしていない場合も、「教員免許状取得特別プログラム」や「科目等履修生制度」を使って、必要単位を追加履修することで、免許取得が可能。

特例制度として、専門的な知識や技能をもつ人に対して授与される「特別免許状」や、臨時的に教員が不足している場合に交付される「臨時免許状」もあります。

これらは主に公立学校での教員確保の手段として活用されるものです。

通常の免許とは条件や有効期限が異なるためご注意ください。

中学校の教員免許の取得方法

中学校の教員になる場合は、教えたい教科に関する学部に進学し、同時に教職課程を履修する必要があります。

例えば、数学の先生を目指す場合は、理学部や教育学部数学専攻などで専門科目を学びつつ、「中学校教諭第一種免許状(数学)」を取得します。

小学校と同様、免許状の種類は「一種免許状(大学卒)」「二種免許状(短大卒)」「専修免許状(大学院修了)」の3つ。

また、通信制大学で教職課程を履修することでも、中学校教諭第一種免許状を取得することは可能です。

大学を卒業しているものの、必要な単位を満たしていない場合も、「教員免許状取得特別プログラム」や「科目等履修生制度」を使って、必要単位を追加履修することで、免許取得が可能。

さらに、教育の現場での経験や、特定分野における専門的な実績をもつ人が、教育委員会の審査を経て取得できる「特別免許状」もあります。

高校の教員免許の取得方法

高校教員免許も中学校と同様、教科ごとの免許が必要。

特に高校では専門性が重視されるため、「自分が教えたい教科の専門学部に進学し、同時に教職課程を修得する」というルートが基本です。

大学卒業によって「一種免許状」が、大学院修了で「専修免許状」が取得できます。

より高度な知識と専門性を高めた専修免許状は、採用や昇進の場面で有利に働くことも。

また、社会人や転職希望者には、通信制大学での学び直しや科目等履修生制度を活用して、必修単位を修得するルートもあります。

高校では「情報処理」や「会計」など、実社会との結びつきが強い教科も多いです。

企業や専門分野での経験が評価されて「特別免許状」が交付されるケースも少なくありません。

教員採用試験のしくみと対策方法

ここでは、教員採用試験の概要と試験内容、対策方法について解説します。

教員採用試験とは?

教員採用試験とは、一般的に公立の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校などの教員を採用するための試験です。

各都道府県や政令指定都市が独自に実施しているため、「自治体ごとに試験内容や日程が異なる」という点が特徴。

そのため、自分が受験する自治体の情報を早めに収集しておくことが不可欠です。

例えば、東京都と神奈川県では出題傾向や選考フローが異なるだけではなく、倍率や求められる人物像にも差があります。

「どんな人材を求めているか」は自治体ごとに違います。

志望先の教育方針や採用実績などを事前に把握しておきましょう。

どんな試験内容が出題される?

教員採用試験では、筆記試験(教養・専門)・面接・集団討論・論文・適性検査などが出題されます。

筆記試験では、一般常識や数的処理、時事問題などを含む「教養試験」と、教科ごとの専門知識を問う「専門試験」が行われます。

続いて、人柄や教育観を評価する「個人面接」や、協調性・対話力を見る「集団討論」、さらに論理的思考力を測る「論文試験」も実施されることが一般的です。

加えて、近年はストレス耐性や人間性を測る「適性検査」を導入する自治体も増えています。

さまざまな角度から、受験者の資質を問う教員採用試験。

学力だけではなく、総合的な教育力と人間性が評価される試験といえるでしょう。

採用試験に受かるための対策とは?

試験範囲が広範な教員採用試験に合格するためには、限られた時間で効率よく対策を進めることがカギとなります。

まずは、志望自治体の過去問に取り組むことが基本です。

出題傾向や難易度、頻出テーマを把握することで、効率的な学習計画が立てられます。

筆記試験対策と並行して、面接や集団討論の練習も早めにスタートしましょう。

模擬面接を繰り返すことで、自分の考えを的確に伝える力が養われます。

教育実習の経験や、自身の教育観などを言葉でできるようにしておきましょう。

なお、まとまった学習時間が取れない方、独学での学習に不安のある人は通信講座をおすすめします。

専任講師のわかりやすい講義や充実した質問制度があるため、初学者の方もつまずくことなく学習が進みます。

また、志望自治体に合わせた無駄のないカリキュラムで学べるため、最短合格を目指せるでしょう。

教員になるにはどんな人が向いている?

教員に向いている人の特徴や求められる心構えについて紹介します。

教師という職業が「自分に向いているか」を考えるヒントにしてください。

子どもが好き・教育に情熱がある

まず、教員を目指すうえで最も大切なことは、「子どもとのかかわりが好きであること」「教えることへの関心があること」です。

こうした資質のある人は、子ども一人ひとりの成長に寄り添い、日々の変化を見守ることに、大きなやりがいを感じられます。

また、「知ることの楽しさ」や「学ぶ喜び」を伝える情熱もあるため、年月を重ねてもモチベーションを保ちながら指導することができるでしょう。

責任感や忍耐力がある

教員の仕事には、地道な努力と根気が必要です。

授業準備やテストの採点、生活指導、さらには保護者への対応など、多岐にわたる業務があります。

成長過程の子どもが相手のため、思い通りにいかないこと、想定外のトラブルも珍しくありません。

どんな時にも粘り強く子どもと向き合い続ける忍耐力と、生徒の安全や成長を最優先に考えられる責任感が求められます。

教員を長く続けるには、心身の安定とバランスを取る力も重要な資質といえるでしょう。

人とのコミュニケーションが得意

教員は子どもだけでなく、同僚や保護者、地域との連携も多いため、円滑な人間関係を築けることが大切です。

特に近年は、家庭との連絡や地域ぐるみでの教育活動が重視されています。

年齢・立場を問わず、良好な人間関係を築けるコミュニケーション力は、教員に欠かせない要素です。

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