【2025年最新】不動産鑑定士の論文式試験の科目・日程・配点・勉強方法
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不動産鑑定士試験論文式試験(以下、論文式試験)の対策について悩んでいませんか?
不動産鑑定士試験については中々情報を収集することができず困っている方もいるのではないでしょうか?
論文式試験は合格率が低く、不動産鑑定士試験における最大の関門ですから、正しい情報に基づいて受験戦略を考えなければなりません。
このコラムでは、論文式試験の概要や、科目別対策法など、論文式試験受験生が知っておくべき情報がわかります。
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【2025年】不動産鑑定士論文式試験の概要・日程
論文式試験は、例年8月に3日間かけて実施され、短答式試験とは異なり、試験地は東京都特別区、大阪府大阪市、福岡県福岡市の3か所のみとなります。
試験科目は、民法、経済学、会計学、不動産の鑑定評価に関する理論(以下、鑑定理論)となっています。
過去の合格基準と合格率は以下の表のとおりですが、実質競争試験と考えていいでしょう。
全科目の合計点で合否が判断されますが、科目別に足きり点が設定されており、毎年一定数の受験生が足きりによって不合格になっていると考えられます。
なお、司法修習生となる資格を有する方や、公認会計士試験に合格した方等は一部の科目が免除されます。
| 合格基準 | 合格率 | |
| 令和2年 | 380点 | 17.7% |
| 令和3年 | 380点 | 16.7% |
| 令和4年 | 369点 | 16.4% |
| 令和5年 | 369点 | 16.5% |
| 令和6年 | 400点 | 17.4% |
| 令和7年 | 380点 | 17.6% |
論文式試験の試験科目と3日間の時間割
論文式試験の全4科目と配点比率
論文式試験の出題科目と配点比率は、以下の表のとおりです。
論文式試験では短答式試験ではなかった民法、経済学、会計学が出題されるものの、配点の半分を占める鑑定理論が最重要科目といえるでしょう。
| 科目名 | 満点 | |
| 論文式試験 | 民法 | 100点 |
| 経済学 | 100点 | |
| 会計学 | 100点 | |
| 鑑定理論(論文) | 200点 | |
| 鑑定理論(演習) | 100点 | |
| 合計 | 600点 |
3日間にわたる試験の時間割と出題数
各科目の出題数と例年における試験の時間割は、以下の表のとおりです。
| 試験時間 | 科目 | 出題数 | |
| 1日目 | 10:00~12:00 | 民法 | 大問2問 |
| 13:30~15:30 | 経済学 | 大問2問 | |
| 2日目 | 10:00~12:00 | 会計学 | 大問2問 |
| 13:30~15:30 | 鑑定理論(論文1,2) | 大問2問 | |
| 3日目 | 10:00~12:00 | 鑑定理論(論文3,4) | 大問2問 |
| 13:30~15:30 | 鑑定理論(演習) | 大問1問 |
論文式試験の「記述式(論述式)」という特殊な出題形式
論文式試験では記述式で解答を作成しなければならないため、短答式試験とは必要な能力が異なります。
論文式試験合格に必要なのは、理解を伴った暗記と試験時間内に答案を書ききる能力です。
短答式試験では内容を理解していれば、文章の正誤を判断できることも多いですが、論文式試験では問われた内容について文章で表現する必要があることから、ある程度の暗記は避けられないでしょう。
特に鑑定理論(論文)と会計学では、問われている内容が不動産鑑定評価基準や各種会計基準に記載されている場合も多く、高得点を取るためには理解を伴った暗記がより重要となります。
論文式試験では会計学を除いて試験時間の制約が厳しい場合も多く、タイムマネジメントに失敗しないことはとても重要といえるでしょう。
また、民法や鑑定理論(論文)では答案用紙の最終行まで解答を記載することも多いことから、小問ごとにどの程度の分量を記載する必要があるかといった見極めも必要です。
そのためには、普段のアウトプット学習時から、記述する分量について意識すると良いでしょう。
不動産鑑定士論文式試験の免除制度と受験資格
短答式試験合格者に対する免除
短答式試験に合格すると、翌年と翌々年の短答式試験が免除されます。
例えば、令和7年の短答式試験に合格すれば、令和7年、令和8年、令和9年の論文式試験を受験することが可能です。
そのため、とりあえずは短答式試験の合格を目指し、論文式試験の合格目標を翌年度とする方も多くいらっしゃいます。
特定の条件を満たす場合の論文式試験の科目免除
以下の表の条件に該当する方は、論文式試験の一部科目が免除されます。
| 免除科目 | 論文式試験の科目の一部免除を受けることができる者 |
| 民法 | ・学校教育法による大学若しくは高等専門学校、旧大学令による大学(予科を含む。)、 旧高等学校令による高等学校高等科又は旧専門学校令による専門学校(以下この表において「大学等」と総称する。) において通算して3年以上法律学に属する科目の教授又は准教授(助教授)の職にあった者 ・法律学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者 |
| 経済学 | ・大学等において通算して3年以上経済学に属する科目の教授又は准教授(助教授)の職にあった者 ・経済学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者 |
| 会計学 | ・大学等において通算して3年以上商学に属する科目の教授又は准教授(助教授)の職にあった者 ・商学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者 |
| 合格した試験において受験した科目 | ・高等試験本試験に合格した者 |
| 会計学及び合格した試験において受験した科目 (民法又は経済学) | ・公認会計士試験に合格した者又は旧公認会計士試験第二次試験に合格した者 |
| 民法 | ・司法修習生となる資格(高等試験司法科試験の合格を除く。)を得た者 |
受験者の中には、あえて科目免除の申請を行わず、得意科目として高得点を狙う方も多くいらっしゃいます。
また、公認会計士試験に合格されている方は会計学の科目免除を申請できますが、不動産鑑定士試験の会計学では、公認会計士試験の受験上では暗記する必要がない内容も多く出題される傾向があります。
どの選択が自分にとって有利かを慎重に考慮したうえで、科目免除の申請を検討すると良いでしょう。
科目別:論文式試験を攻略するための勉強方法
鑑定理論:基準の理解と暗記+計算スピードを身に着ける
鑑定理論(論文)を攻略するためには、鑑定評価基準の理解を伴った暗記が必要です。
合格者の上位層は、鑑定評価基準のほとんどを一字一句レベルで再現できると思ってよいでしょう。
合格のためには常に教材を携帯し、隙間時間を活用して毎日鑑定評価基準に触れることが重要です。
鑑定理論(演習)を攻略するためには、試験時間内に解答できる計算スピードを身に着けることが必要です。
鑑定理論(演習)は、試験時間内に全てを解答することが難しい場合も多く、計算科目であることから得点差が生じやすい科目ですから、合格のためにぜひ得意科目にしましょう。
原価法、取引事例比較法、収益還元法といった典型的な計算論点を繰り返し解くことによって、試験時間内にミスなく最終値まで算定できるように計算演習を積むことが、不動産鑑定士試験合格への近道です。
民法:条文理解と事例対応力を高める
民法を攻略するためには、条文の解釈と重要判例の理解、法律答案の書き方を身に着けることが必要です。
特に法律答案特有の書き方を身につけなければ、高得点を取ることは難しいでしょう。
また近年の試験では、初めて見るような条文から要件と効果を抽出し、適切に当てはめることができるかどうかが問われる現場思考型の問題も多くみられます。
論点の理解と並行して、事例問題を用いて条文解釈や法律答案の書き方を身に着けることが重要です。
経済学:基礎的な計算力とグラフの作図を身に着ける
経済学を攻略するためには、計算問題の攻略とグラフを作図できる能力が必要です。
近年の経済学では、必ずと言っていいほど基礎的な計算問題が出題され、グラフを作図させる問題も多く出題されます。
経済理論を長い文章で説明させる問題の出題は減少傾向にありますから、まずは計算問題とグラフの作図を身につけましょう。
経済学は試験委員の先生によって問題の傾向が大きく異なることが多いのも特徴です。
過去問を見ると難解な論点が出題されている年度もありますが、まずは基礎的な計算力とグラフの作図を身につけましょう。
会計学:会計基準の理解と暗記
会計学を攻略するためには、各種会計基準の理解を伴った暗記が必要です。
学習方法としては鑑定理論(論文)に近いですが、会計学の出題は多くの小問に分かれており、1つの小問について記述量が極めて少ないのが特徴といえます。
そのため問われていることを端的に答える必要があり、そのほとんどが典型論点ですから、論証集等を用いて典型論点を抑えていくのが効果的です。
記述試験合格に必要な答案作成(アウトプット)の練習方法
独学で学習されている方は、過去問集等を用いて答案作成の練習をする必要があります。
特に民法や鑑定理論(演習)では、問題の事例を分析(計算)する能力が必要ですから、わからない問題であっても、解答例等を見ることなく自分なりに答案を作成してみるのがいいでしょう。
予備校を活用されている方は、配布される問題や答案練習が近年の本試験の傾向に沿った問題となっているはずですから、過去問よりもそちらを優先して練習するのがおすすめです。
合格までのスケジュール
5月の短答式試験から8月の論文式試験までの期間は短い
短答式試験後に論文式試験の学習を始めた場合、試験合格に必要な準備が間に合わない可能性も考えられます。
論文式試験の合格が目標ですから、短答式試験の学習時点から可能な限り論文式試験科目の学習も平行しておくと良いでしょう。
特に数学に苦手意識がある方は経済学の攻略に時間を要すことも多いため、早めに経済学の学習を始めるのがおすすめです。
1年で合格を目指す場合の勉強スケジュール

1年で合格を目指す場合、試験日前年の5月から遅くても9月頃までには学習を開始するといいでしょう。
年内に鑑定理論と行政法規のインプットは終了し、論文式試験のみで出題される科目についても2科目程度のインプットを開始することを目標とします。
行政法規については過去問演習が重要ですから、並行して短答式過去問に取り組むことがおすすめです。
短答式試験後の負担を減少させるために、論文式試験を見据えて鑑定理論の暗記を進める必要があります。
短答式試験の約2か月前からは、鑑定理論の暗記と並行して、短答式試験の過去問を勉強の中心にするとよいでしょう。
短答式試験後には、残りの論文式試験のみで出題される科目を中心に学習しますが、鑑定理論の暗記は継続するように気をつけなければなりません。
基本的に、週30時間から40時間程度の学習時間を確保できる方や、宅建や民法、経済学等の学習経験がある方は、1年で合格を目指すことをおすすめします。
なお、期間が短く、最短ルートで合格を目指す必要があることから、受験予備校を活用するのが望ましいです。
2年で合格を目指す場合の勉強スケジュール

2年で合格を目指す場合は、1年で合格を目指す場合と異なり、まずは短答式試験に集中するといいでしょう。
論文式試験合格目標年度から2年前の、10月前後までには学習を開始し、2月までには鑑定理論と行政法規のインプットを終了します。
2月末から短答式試験までは、短答式過去問の演習を勉強の中心とします。
短答式試験後からは、翌年の論文式試験を見据えて鑑定理論の暗記を始めますが、並行してまずは、経済学もしくは鑑定理論(演習)の勉強を開始するといいでしょう。
年明け後、2月末までには全科目のインプットを終了し、論文式試験までには暗記の精度を高めることと、アウトプットのトレーニングに集中します。
勉強開始時期が10月前後になってしまった方や、確保できる勉強時間が週30時間未満の方は、2年で合格を目指すスケジュールでチャレンジすることをおすすめします。
3年で合格を目指す場合の勉強スケジュール
3年で合格を目指す場合、1年目の試験で短答式試験に合格し、その後、2回のチャレンジで論文式試験に合格することを目標とします。
基本的なスケジュールは、2年で合格を目指す場合と同様です。
確保できる勉強時間が週15時間未満の場合、論文式試験を受験する時点で暗記の精度が万全とはいえない可能性もあります。
2年で合格できるのが一番ですが、本命は3年目という気持ちで臨むといいでしょう。
スケジュールを作成するときの注意点
スケジュールを作成する場合、現実的な学習時間を前提とし、それを遵守するように心がけましょう。
例えば、月曜日から土曜日までは最大限学習できる時間を前提としたスケジュールを作成し、未達成の部分があれば日曜日にその部分を必ず解消するといったスケジュールもおすすめです。
また大枠のスケジュールについては、受験予備校の講師等に相談するのもいいでしょう。
不動産鑑定士論文式試験に関するよくある質問(Q&A)
不動産鑑定士の論文式試験は難しいですか?
難易度が高めなのは事実といえるでしょう。
論文式といった試験の形式、試験範囲がかなり広い、精度の高い暗記が求められる、合格率が低い、などが理由です。
しかし、公認会計士試験や司法試験と比較すると取り組みやすい試験であることも間違いありません。
不動産鑑定士の論文式試験の勉強時間は?
目安は2,000時間前後です。
ただし、かなり個人差がありますので、1,000時間未満で合格される方もいる一方で、4,000時間以上要した方もいらっしゃいます。
不動産鑑定士 時間配分について気を付けるポイント
鑑定理論(論文)では、不要なことを書いてしまって時間や答案用紙のスペースが足りなくなる事が多々あります。
普段のアウトプット学習時から、不要なことを書かないように注意しておくことが重要です。
独学で論文式試験に合格するのは可能ですか?
市販されている教材のみを使うという意味の独学であれば、かなり難しいといえるでしょう。
そもそも不動産鑑定士試験用の書籍がほとんど市販されていないためです。
独学を中心とする場合でも、試験委員対策や模試等については通信講座等を併用するとよいでしょう。
過去問はどのくらい解くべきですか?
論文式試験については、科目にもよりますが、平成28年度以降の過去問を中心に解くといいでしょう。
なお、過去問演習が比較的有効なのは、鑑定理論(演習)、鑑定理論(論文)、民法といった科目です。
まとめ
論文式試験は、不動産鑑定士になるための最大の関門です。
試験形式が論述形式であることや、各科目によって出題の特徴が異なることもあり、難関試験であることは間違いないでしょう。
それでも、正しいスケジュールを作成し、近年の試験傾向に沿った勉強を続ければ十分に合格できる試験です。
このコラムが皆様の学習において、何かの参考になれば幸いです。
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この記事の著者
令和元年不動産鑑定士試験 合格
北海道大学大学院経済学院会計情報専攻 卒業
大手資格予備校の講師として公務員試験(経済系科目・法律系科目・会計学等)、日商簿記検定試験を⾧年指導。
効率的な勉強方法を追及するため、自身で様々な資格試験を受験し、合格している。
自身の学習経験に加え様々な合格者の学習方法を分析し、効率性を追及した講義と教材の提供を行っている。