不動産鑑定士を目指している方の中で「どの大学に進学すれば有利になるのか」と悩んでいませんか。

結論から申し上げると、不動産鑑定士になるために特定の大学や学部への進学は必須ではありません。

しかし、試験科目との関連性や学習環境を考慮すると、有利になる学部・学科が存在するのも事実です。

本コラムでは、不動産鑑定士になるための大学選びについて、学部・学科の選択から学歴の重要性まで詳しく解説します。

最後まで読むことで、不動産鑑定士を目指すための最適な大学選びができるでしょう。

不動産鑑定士になるのに学歴は必要？

不動産鑑定士の国家試験には、受験資格に学歴要件がありません。

年齢、学歴、国籍、実務経験に関係なく、誰でも受験できる制度になっています。

実際の合格者を見ても、出身大学は多岐にわたります。難関国立大学出身者もいれば、地方私立大学出身者や高卒で合格した方もいるのが現状です。

しかし、学歴よりも重要なのは資格取得への意欲と継続的な学習です。

不動産鑑定士試験は最終合格率が約5～6％という難関資格であり、1年半から2年程度の集中的な学習が必要とされています。

学歴が直接的に合格を保証するものではないものの、大学で学んだ基礎知識が試験対策に役立つケースもあります。

特に経済学、法学、会計学などの分野を学んだ経験があると、試験勉強をスムーズに進められるでしょう。

また、合格後の就職活動においても、学歴よりも資格保有の事実が重視されます。

不動産鑑定事務所や金融機関では、出身大学よりも専門知識と実務能力が評価の対象となるからです。

不動産鑑定士を目指せる大学一覧

不動産鑑定士を目指せる大学は全国に多数存在します。

特に不動産鑑定士の育成に力を入れている大学や、関連する学部・学科を有する大学を紹介します。

学校名	学部・学科
立正大学	地球環境科学部
大阪商業大学	経済学部
崇城大学	工学部
日本大学	工学部
専修大学	法学部
明海大学	不動産学部不動産学科
大阪経済大学	経営学部
東京都市大学	都市生活学部
名城大学	経済学部
大阪商業大学	経済学部 経済学科
武蔵野大学	法学部
関東学院大学	理工学科 土木・都市防災コース
北海学園大学	経済学部 経営学部
北海道科学大学	建築学科
大阪産業大学	都市創造工学科 建築・環境デザイン学科
松山大学	法学部 法学科
京都産業大学	法学部 法律学科 法学部 法政策学科
國學院大學	観光まちづくり学部
沖縄国際大学	地域環境政策学科

不動産鑑定士に有利な学部・学科は？

不動産鑑定士試験の出題科目を考慮すると、特定の学部・学科で学んだ知識が試験対策に活用できます。

経済学部・経営学部

経済学部・経営学部は、不動産鑑定士を目指す上で最も有利な選択肢の一つです。

不動産鑑定士試験の論文式試験では、経済学が主要科目として出題されます。

ミクロ経済学やマクロ経済学の理論は、不動産価格の決定メカニズムを理解する上で欠かせない知識です。

経営学部では、会計学の基礎知識も併せて習得できます。財務諸表の読み方や企業価値評価の手法は、不動産鑑定業務において重要なスキルです。

実際の合格者の中でも、経済学部・経営学部出身者の割合が高い傾向にあります。

大学で学んだ理論的基盤があることで、試験勉強の効率が大幅に向上するからです。

法学部

法学部も不動産鑑定士を目指す上で有力な選択肢です。

不動産鑑定士試験の論文式試験では、民法が出題科目に含まれています。

特に不動産に関する法律知識は、鑑定評価業務において不可欠です。

また、行政法の知識も重要です。都市計画法、建築基準法、土地区画整理法などの行政法規は、不動産鑑定士の実務において頻繁に参照されます。

法学部出身者は、条文の解釈や判例の読み方に慣れているため、法律系科目の学習をスムーズに進められるでしょう。

論理的な思考力も身につくため、論文式試験の記述問題にも対応しやすくなります。

工学部・建築学科

工学部や建築学科は、一見すると不動産鑑定士と関係が薄そうに思えますが、実は大きなメリットがあります。

不動産鑑定では、建物の構造や設備、建築年数などの技術的要素が価格に大きく影響します。

工学部や建築学科で学んだ知識は、このような技術的側面の理解に役立つでしょう。

また、建築士の資格取得も可能になるため、不動産鑑定士との相乗効果が期待できます。

建築と不動産の両方の専門知識を持つことで、より幅広い業務に対応できる専門家になれるでしょう。

理系の学習経験があることで、論文式試験の経済学で出題される数式やグラフの理解も容易になります。

経済学は本来理系的な側面が強い学問であるため、数学的素養がある方が有利です。

大学在学中に不動産鑑定士を取得するメリット・デメリット

大学生活は自由な時間が多い時期ですが、同時に卒業論文や就職活動など、やるべきことも増えてきます。

その中で不動産鑑定士試験の合格を目指すことは、多大な努力を要しますが、得られるリターンは非常に大きいです。

ここでは、大学在学中に不動産鑑定士を取得するメリット・デメリットについて、詳しく解説します。

在学中に不動産鑑定士を取得する3つのメリット

大学在学中に論文式試験に合格することは、その後のキャリアにおいて圧倒的な強みとなります。

ここでは、特に大きな3つのメリットを紹介します。

就職活動を有利に進められる

不動産鑑定士は、不動産業界、金融業界、建設業界といった幅広い分野でニーズがある資格です。

若くして難関資格を取得した人材は希少価値が高く、専門知識を持った人材として重宝されます。

そのため、新卒採用において、難関国家資格を取得していることは高い評価を受けるでしょう。

在学中に論文式試験まで合格していれば、大手鑑定機関、大手デベロッパー、金融機関など、選択肢が飛躍的に広がります。

たとえ最終合格に至らなくとも、短答式試験に合格しているだけでも十分なアピールポイントとなるでしょう。

時間を最大限に活用できる

不動産鑑定士試験の合格に必要な学習時間は、一般的に2000時間～3,000時間程度と言われています。

社会人になると仕事でまとまった学習時間を確保するのが難しくなりますが、大学生は講義やアルバイトの合間に比較的自由に時間を調整できます。

また、勉強する環境に慣れているため、学習ブランクのある社会人に比べ、スムーズに試験勉強を始めやすく、短期合格を目指せる点も大きな利点です。

同世代よりも早期に高い給与水準を達成できる

論文式試験合格後、実務修習を経て修了考査に合格し、不動産鑑定士として登録できます。

在学中に論文式試験に合格し、新卒で鑑定会社等に入社できれば、同世代よりも早い段階で実務修習を終え、不動産鑑定士として活躍を始められます。

早い段階で不動産鑑定士として働くことができれば、若くして高い給与水準を達成でき、長期的な経済的なメリットは計り知れません。

在学中に不動産鑑定士を取得するデメリットと対策

在学中の資格取得はメリットが多い一方で、いくつかの課題もあります。

事前にデメリットを把握し、適切な対策を講じることが成功へのカギとなります。

学業との両立が難しい

大学の授業や単位取得と資格勉強の両立は、想像以上に困難です。

特に3年生や4年生になると、ゼミの研究活動や卒業論文の執筆で忙しくなります。

就職活動の時期とも重なるため、綿密な学習計画とスケジューリングが必須です。

講義や試験期間と、資格試験の勉強時間をバランスよく配分し、無駄のない効率的な学習を心がけましょう。

資格予備校の通信講座を活用すれば、通学時間を節約し、スキマ時間を有効活用できます。

友人関係や学生生活に影響が出る

難関資格の勉強は長期にわたるため、遊びやサークル活動に費やせる時間は少なくなる傾向にあります。

対策としては、メリハリをつけることが重要です。

目標を周囲に伝え、理解を得ることで孤立を防ぎ、短期合格を目指すことで学生生活への影響を最小限に抑えられます。

モチベーションの維持が大変

大学受験と異なり、周りの受験生が少ないため、孤独感を感じやすいです。

予備校の自習室を利用したり、同じ目標を持つ仲間を見つけたりして、互いに励まし合える環境を作るのが有効です。

また、定期的に模試を受け、自分の成長を実感することでモチベーションを維持しましょう。

大学に行かなくても予備校や通信講座で十分合格を目指せる

不動産鑑定士になるために、特定の学歴は必須ではありません。

「良い大学を卒業しなければ不動産鑑定士にはなれないのでは？」と考える方もいます。しかし実際には、大学の学部や学歴が合否を左右することはありません。

一部の教養科目（経済学や民法など）で多少有利になる可能性はあるものの、最も重要な専門科目である「鑑定理論」は、大学で専門的に学ぶ機会が少ないため、受験生は基本的にゼロからのスタートとなります。

重要なのは、高額な学費を払って大学の不動産関連の学部に入り直すことではなく、不動産鑑定士試験に特化した専門知識を効率的に習得することです。

予備校や通信講座は、長年の指導実績に基づき、短答式試験と論文式試験それぞれの傾向を徹底的に分析しています。

合格に必要な知識だけに絞った専門性の高いカリキュラムを提供しているため、独学や大学での学習と比較して、無駄なく効率的に合格を目指せるでしょう。

さらに大手予備校では、質問制度や添削指導、模試など、受験生を手厚くサポートする体制が整っています。

講座費用は数十万円程度が中心ですが、数百万かかる大学の学費と比べれば、圧倒的に費用対効果が高く、経済的な負担を抑えながら学習可能です。

また、通信講座であれば、スマートフォンやタブレットで講義を視聴できるため、場所や時間を選ばず学習を進められます。

忙しい社会人はもちろん、大学生も講義やアルバイトの合間のスキマ時間を最大限に活用でき、自分のペースで学習を継続しやすいのが魅力です。

質の高い予備校や通信講座を選び、徹底的に学習に集中すれば、学歴に関係なく不動産鑑定士という社会的評価の高い資格を掴み取ることが可能です。

自分に合った学習スタイルを見つけ、目標に向かって一歩踏み出しましょう。