長文読解や逐次通訳などが出題され、難関として知られる中国語検定1級。

「実際にはどのくらいのレベル?」「合格に必要な時間は?」など、気になっている方もいるでしょう。

当コラムでは、中国語検定1級のレベルの詳細や合格に必要な勉強時間、有効な勉強法などについて詳しく解説します。

受検を検討している方はぜひ参考にしてください。

中国語検定1級のレベルとは? 

中国語検定における1級のレベルは、試験公式において「高いレベルで中国語を駆使しうる能力の保証」と定義されています。

古典などにも精通した非常に高度な知識が求められ、必要な学習期間は10年以上とされることも。

しっかりと学習を重ねなければ、中国語ネイティブすら不合格の可能性があるレベルです。

合格には読解力だけでなく表現力も必須で、会議や講演などにおける複雑で長大な内容でも難なく通訳・翻訳ができる能力が求められます。

適切で柔軟な表現のためには、中国語への理解はもちろん日本語にも相応の知識と理解が必要となるでしょう。

難易度が高い分メリットは大きく、合格できれば全国通訳案内士試験の中国語科目で「外国語筆記試験」が免除されます。

中国語検定1級の試験概要 

中国語検定1級の試験概要は、次の通りです。

一次試験二次試験
試験日11月の第4日曜日(年1回)一次試験の1~1.5ヶ月後の日曜日
※一次試験合格者・一次試験免除者が対象
出題形式リスニング・筆記面接(原則オンライン)
試験時間135分
(集合時間~試験終了時間)
20~30分
配点リスニング:100点
筆記:100点
100点
出題内容日常生活及び社会生活全般における,新聞・雑誌・文学作品・実用文のほか,時事用語などを含む難度の高い中国語から
(一次)
〇長文の聞き取りと内容理解
〇長文の聞き取りと内容要約(記述式)
〇長文読解と長文中の語句に関する理解
〇語句の用法,熟語・慣用句を含む語句の解釈
〇長文中の指定文の日本語訳(記述式)
〇比較的長い日本語の中国語訳(記述式)
(二次)
〇難度の高い日本語・中国語の逐次通訳
※引用:出題内容 | 中検 | 中国語検定試験
受験料13,800円(税込)
※一次試験免除者は7,000円(税込)
参考:試験概要 | 中検 | 中国語検定試験

中国語検定1級の合格に必要な勉強時間は? 

中国語検定1級の合格に必要な勉強時間は、準1級から数年以上といわれています。

1級に合格するためには日常的な表現に留まらず、専門性の高い単語や時事用語、古典を含む文学作品までカバーする必要あり。

中には、10年以上かけて挑戦する受験者もいます。

中国語検定1級の合格点は? 

中国語検定1級の一次試験の合格基準点は、リスニング85点、筆記85点とされています(いずれも100点満点中)。

リスニング・筆記がともに合格基準点に達していることが合格要件となるので、注意しましょう。

なお、一次試験の合格基準点は試験内容の難易度を考慮の上、調整される場合があります。

一次試験合格者・一次試験免除者が対象の二次試験での合格基準点は、100点満点中85点となります。

中国語検定1級の勉強法

中国語検定1級の合格のために有効な勉強法は次の5つです。

  • 語彙力を強化する
  • 四字熟語や慣用句を極める
  • 複雑な文章の読解力をつける
  • メディアを問わず教材にする
  • リスニングの書き取り対策を行う

それぞれ詳しく解説していきます。

語彙力を強化する

最初に、語彙力をしっかり強化しましょう。

中国語検定1級に合格するためには、基本的・日常的な単語はもちろん、現地で使われているスラングや専門用語の習得も必要です。

講演や会議の逐次通訳が求められることから、ネイティブにとっても難易度の高い専門的な言葉についてもある程度慣れておく必要があるでしょう。

可能であれば、国際交流アプリなどを利用して中国語話者とやり取りをしてみるなど、より実践的な学習に取り組んでみてください。

四字熟語や慣用句を極める

四字熟語や慣用句は可能な限り極めましょう。

慣用的な表現は初見では意味が取りにくいことも多く、学習が不足していると「読めても理解できない」状況に陥りがちです。

特に四字熟語は「呉越同舟」「一石二鳥」など日本でも馴染み深い言い回しも存在する分油断しがちですが、本試験では簡体字で正確に表記する必要あり。

「日本で使われている漢字を混ぜてしまった」ということのないよう、時間をかけてしっかり知識をつけましょう。

複雑な文章の読解力をつける

複雑な文章への読解力をつけることは非常に大切です。

1級では複雑な構造をもつ長文が出題され、内容も日常的なものとは比較にならないほど難解なものが出る可能性があります。

論文など専門性の高い内容・哲学的な文章など抽象度の高い内容に慣れ、確実に要点を掴めるように対策しましょう。

難しい内容を適切に翻訳するためには日本語の語彙力や文章力も必要なため、同様の内容を日本語でも履修しておくとより効果的です。

メディアを問わず教材にする

教材とするメディアは問わずに学習を行いましょう。

1級では「専門的で高度な中国語」と「現地で多用されるスラング的表現」が同時に求められます。

参考書では対策しきれない部分も多くあるため、現地人との交流や専門書の解読、映画やニュース番組の活用など、多様なメディアから積極的に知識を取り入れましょう。

『三国志演義』や『水滸伝』、『長恨歌』など、日本人にも親しみ深い古典作品を日本語と中国語で読み比べてみるといった学習もおすすめです。

リスニングの書き取り対策を行う

1級のリスニング問題の鬼門となりやすい「2問目の書き取り」対策はしっかりと行いましょう。

書き取り問題では、「読み上げられた文章を正確に書き取る」必要があります。

内容を押さえるだけでなく漢字表記も正しく行う必要があるため、練習を重ねて自分なりのメモの取り方を工夫するなどの対策が有効です。

練習を積むことで、「焦って簡体字と常用漢字、繁体字を混ぜてしまった」といったミスを減らすことができるでしょう。

まとめ

当コラムでは、中国語検定1級について以下の内容で解説しました。

  • 中国語検定1級は「高いレベルで中国語を駆使できる能力」が必要なレベル。
    複雑で長大な内容を逐次通訳できるスキルや古典にも精通するレベルの知識が求められ、ネイティブでも難しい。
  • 1級の合格に必要な勉強時間は「準1級から数年」。10年以上学習して挑戦する受検者もいる。
  • 1級の合格に有効な勉強法方は、「語彙力を強化する」「四字熟語や慣用句を極める」「複雑な文章の読解力をつける」「メディアを問わず教材にする」「リスニングの書き取り対策を行う」の5つ。

中国語検定1級は日常的な表現から専門性の高い内容まで、ネイティブレベルの知識と表現力を求められる非常に難易度の高い級です。

数年単位での学習は当たり前。教材の範囲を狭めない柔軟な学習が必要となるでしょう。

特に古典分野においては、日本人にも馴染み深い作品が中国にはたくさんあります。

合格を焦らず、楽しみながら知識をつけるような気持ちで『三国志』や『水滸伝』の原典を手に取ってみてもよいでしょう。