2級管工事施工管理技士の受験を検討している方にとって、最も気になるのが「合格率」と「難易度」ではないでしょうか。

本コラムでは、令和6年度の最新データを含む過去5年間の合格率推移を詳しく分析し、他の施工管理技士資格との比較や効果的な試験対策まで、データに基づいて徹底解説します。

2級管工事施工管理技士の合格率と推移【2025年最新】

令和7年（2025年）時点の最新データでは、2級管工事施工管理技士の合格率は第一次検定が65.1%、第二次検定が62.4%で、直近5年の平均水準に戻った状態です。

第一次検定は前年度の69.6%から4.5ポイント低下し、第二次検定は前年度の82.3%から19.9ポイント大幅に低下しています。

特に第二次検定の合格率低下は顕著で、試験制度改正の影響が現れています。

令和6年度の詳細データ

令和6年度（2024年度）の2級管工事施工管理技士の合格率は、第一次検定が65.1%、第二次検定が62.4%となりました。

検定区分	受検者数	合格者数	合格率
第一次検定	9,413名	6,131名	65.1%
第二次検定	7,550名	4,708名	62.4%

第一次検定の内訳をさらに詳しく見ると、第一次検定・第二次検定の同時受検者のうち第一次検定を受検した人数は5,499名で合格者は3,544名（合格率64.4%）、第一次検定（後期）のみの受検者は3,914名で合格者は2,587名（合格率66.1%）となっています。

第二次検定については、第一次検定・第二次検定の同時受検者のうち第一次検定に合格し第二次検定を受検した者は3,386名で合格者は1,967名（合格率58.1%）、第二次検定のみを受検した者は4,164名で合格者は2,741名（合格率65.8%）という結果でした。

過去5年間の合格率推移

過去5年の合格率は大きく変動しており、令和5年度の高水準から令和6年度にかけて合格率が通常水準へ戻る形で推移しています。

年度	第一次検定 受検者数	第一次検定 合格率	第二次検定 受検者数	第二次検定 合格率
令和6年度	9,413名	65.1%	7,550名	62.4%
令和5年度	11,068名	69.6%	10,385名	82.3%
令和4年度	11,051名	56.8%	8,316名	59.7%
令和3年度	9,070名	48.6%	13,099名	46.2%
令和2年度	9,535名	63.6%	12,678名	43.5%

令和5年度は第一次検定・第二次検定ともに合格率が大幅に上昇し、第二次検定は82.3%という高水準を記録しました。

しかし令和6年度には再び合格率が低下しており、特に第二次検定は前年度から約20ポイント低下しています。

この変動の背景には、令和6年度から実施された試験問題の見直しがあります。

全国建設研修センターの発表によると、第二次検定において工程管理・安全管理の設問を必須とし、経験に基づく解答を求める設問を見直したことで、試験の難易度が調整されました。

令和5年度の合格率上昇は一時的なものであり、令和6年度以降は従来の水準に戻る傾向が見られます。

今後受験を検討する方は、令和6年度の合格率を基準として対策を立てた方がよいでしょう。

2級管工事施工管理技士の難易度はどのくらい？

2級管工事施工管理技士の難易度は「中程度」で、適切な学習を行えば誰でも合格が狙える試験です。

ここでは、合格率から見る2級管工事施工管理技士の難易度と、他の施工管理技士との難易度を比較します。

合格率から見る2級管工事施工管理技士の難易度

第一次検定の合格率約65%は、受検者の3人に2人が合格する水準であり、基礎知識をしっかり習得すれば突破可能な難易度です。

一方、第二次検定は令和5年度から大幅に低下しており、実務的な記述力が求められる試験となっています。

第一次検定と第二次検定の難易度の違いは以下の通りです。

• 第一次検定は四肢択一のマークシート方式で、過去問の反復学習が効果的
• 合格基準は60%以上の得点で、必須問題と選択問題から構成される
• 管工事の基礎知識、施工管理法、関連法規などが出題範囲となる

一方、第二次検定の特徴は次の通りです。

• 記述式の問題が中心で、実務経験に基づいた解答が求められる
• 工程管理と安全管理の設問が必須となり、より実践的な知識が必要
• 合格基準は第一次検定と同様に60%以上の得点
• 解答には具体的な工事名や施工方法の記述が必要

令和6年度の試験制度改正により、第二次検定では受検者自身の経験に基づかない解答を防ぐ観点から設問が見直されました。

そのため、実務経験が少ない受検者にとっては対策が難しくなっている可能性があります。

他の施工管理技士資格と2級管工事施工管理技士の比較

令和6年度の国土交通省データに基づき、他の2級施工管理技士資格と比較すると、2級管工事施工管理技士の難易度は中位に位置します。

資格名	第一次検定合格率	第二次検定合格率
2級土木施工管理技士	44.1%	35.5%
2級建築施工管理技士	49.6%	40.7%
2級電気工事施工管理技士	48.5%	51.4%
2級管工事施工管理技士	65.6%	62.4%
2級電気通信工事施工管理技士	65.1%	53.2%
2級造園施工管理技士	50.8%	49.3%
2級建設機械施工管理技士	41.2%	51.3%

この比較から、2級管工事施工管理技士は他の施工管理技士資格と比較して合格率が高く、取得しやすい資格と言えます。

特に土木・建築系の施工管理技士と比較すると、第一次検定・第二次検定ともに合格率が15〜25％高い水準です。

ただし、合格率が高いからといって試験が簡単というわけではありません。

管工事特有の専門知識（空調設備、給排水設備、衛生設備など）の理解が必要であり、第二次検定では実務経験に基づいた記述力が求められます。

令和6年度の受検者数は第一次検定が9,413名、第二次検定が7,550名であり、施工管理技士資格の中では管工事の需要の高さを示しています。

資格取得後は主任技術者として中小規模の管工事を担当でき、キャリアアップにつながる価値の高い資格です。

合格率アップのための効果的な試験対策

2級管工事施工管理技士の合格には、第一次検定は過去問反復、第二次検定は記述対策に重点を置くことが最も効率的です。

過去の合格率と試験制度改正の内容を踏まえ、効果的な試験対策を紹介します。

第一次検定の対策ポイント

第一次検定は過去問対策と基礎知識の整理が最も効果的で、正答率60%を安定して出せる状態を作ることが重要です。

1. 過去問題を最低3年分、できれば5年分を繰り返し解く
2. 必須問題（管工事の基礎知識、施工管理法）を確実に得点できるようにする
3. 選択問題は自分の得意分野を見極め、確実に正解できる問題を選ぶ
4. 関連法規（建設業法、労働安全衛生法など）の暗記項目を整理する
5. 計算問題（工程管理、原価管理）の解法パターンを習得する

令和6年度の試験問題見直しにより、管工事施工管理に必要な工学基礎知識を確認する問題が追加されているため、基礎的な理解が重要となります。

学習時間の目安は、実務経験がある方で100〜150時間、実務経験が少ない方で150〜200時間程度です。

1日2時間の学習を2〜3ヶ月継続することで、十分な準備ができます。

第二次検定の対策ポイント

第二次検定は工程管理・安全管理の理解と実務経験の整理が最重要で、記述式の解答練習が合否を左右します。

1. 工程管理と安全管理の設問は必須となったため、この2分野を重点的に学習する
2. 自分が経験した工事を3〜5件ピックアップし、工事概要を詳細に整理しておく
3. 施工上の課題とその対策を、具体的な数値や方法とともに記述できるようにする
4. 品質管理や施工計画に関する記述問題の模範解答を研究し、表現方法を習得する
5. 時間配分を意識し、模擬試験や過去問で記述練習を行う

令和6年度の試験制度改正により、経験に基づく解答を求める設問が見直され、空調・衛生の施工に関する選択問題では経験で得られた知識・知見を幅広い視点から確認する内容に変更されました。

そのため、単なる暗記ではなく、実務で得た知識を整理して記述する力が求められます。

独学での合格も可能ですが、記述問題の添削指導を受けられる通信講座の利用も視野に入れるとよいでしょう。

特に実務経験が少ない方や、記述問題に不安がある方は、専門の講座で学習することで効率的に対策できます。

学習スケジュールの立て方

試験日から逆算した効果的な学習スケジュールを紹介します。

1. 試験6ヶ月前〜4ヶ月前：基礎知識の習得期間。参考書を通読し、管工事の基本用語や施工方法を理解する
2. 試験4ヶ月前〜2ヶ月前：過去問演習期間。第一次検定の過去問を繰り返し解き、出題傾向を把握する
3. 試験2ヶ月前〜1ヶ月前：第二次検定対策期間。記述問題の解答作成練習を行い、自分の経験を整理する
4. 試験1ヶ月前〜試験直前：総仕上げ期間。模擬試験で時間配分を確認し、苦手分野を重点的に復習する
5. 試験前日：重要事項の最終確認。暗記項目や計算式を見直し、当日の持ち物を準備する

第一次検定と第二次検定を同時受検する場合は、両方の試験範囲を並行して学習する必要があります。

特に第二次検定の記述対策は時間がかかるため、早めに着手することが推奨されます。

働きながら受験する方は、通勤時間や休憩時間を活用したスキマ学習も有効でしょう。スマートフォンアプリや一問一答形式の問題集を使うことで、効率的に知識を定着させることができます。

2級管工事施工管理技士に関するよくある質問

ここでは、2級管工事施工管理技士の合格率や難易度について、よくある質問に回答します。

• 2級管工事施工管理技士の合格率は年々下がっている？
• 2級管工事施工管理技士は独学でも合格できる？
• 2級管工事施工管理技士の第一次検定と第二次検定、どちらが難しい？

2級管工事施工管理技士の合格率は年々下がっている？

過去5年間のデータを分析すると、合格率は一定の傾向ではなく変動しています。

第一次検定の合格率は令和2年度が63.6%、令和3年度が54.2%と低下しましたが、令和4年度は56.6%、令和5年度は69.6%と上昇し、令和6年度は65.1%となりました。

第二次検定の合格率は令和2年度が43.5%、令和3年度が46.2%、令和4年度が59.7%と上昇傾向でしたが、令和5年度に82.3%と大幅に上昇した後、令和6年度は62.4%に低下しています。

統計的に見ると、令和5年度の合格率上昇は一時的なものであり、令和6年度以降は従来の水準（第一次検定60〜65%、第二次検定60%前後）に落ち着く傾向が見られます。

受験を検討する方は、令和6年度のデータを基準として対策を立てることが現実的です。

2級管工事施工管理技士は独学でも合格できる？

独学での合格は十分に可能です。

令和6年度の合格率は第一次検定が65.1%、第二次検定が62.4%であり、適切な学習計画と教材選びを行えば、働きながらでも合格を目指せます。

独学に向いている方の特徴は以下の通りです。

• 実務経験が3年以上あり、管工事の現場知識がある
• 計画的に学習を進められる自己管理能力がある
• 過去問や参考書を使った学習に慣れている

一方、通信講座の活用が推奨される方は以下の通りです。

• 実務経験が少なく、記述問題への対策に不安がある
• 独学での学習習慣がなく、計画的な学習が苦手
• 記述問題の添削指導を受けたい

独学で合格するためには、公式の参考書や過去問題集を中心に学習し、特に第二次検定の記述問題については模範解答を研究して表現方法を習得することが重要です。

2級管工事施工管理技士の第一次検定と第二次検定、どちらが難しい？

令和6年度の合格率は第一次検定が65.1%、第二次検定が62.4%となっており、合格率の観点では第二次検定の方がやや難しいと考えられます。

ただし、難易度の感じ方は受検者の経験や得意分野によって異なります。

第一次検定が難しいと感じる方の特徴は以下の通りです。

• 実務経験が少なく、管工事の基礎知識が不足している
• 関連法規や計算問題など、暗記や計算が苦手
• 四肢択一のマークシート試験に慣れていない

第二次検定が難しいと感じる方の特徴は以下の通りです。

• 記述式の問題に慣れておらず、文章で表現するのが苦手
• 実務経験が少なく、具体的な施工事例を記述できない
• 工程管理や安全管理の実務経験が不足している

令和6年度の試験制度改正により、第二次検定では工程管理・安全管理が必須問題となり、より実践的な知識が求められるようになりました。

そのため、実務経験が豊富な方でも、記述力が不足していると第二次検定で苦戦する可能性があります。

合格率の差は約3ポイントと小さいため、両検定ともバランスよく対策することが重要です。

第一次検定は過去問の反復学習、第二次検定は記述練習に重点を置いた学習計画を立てましょう。

まとめ

2級管工事施工管理技士は一次・二次とも合格率60％超の取り組みやすい資格で、過去問対策と記述練習を徹底すれば合格が十分狙えます。

本コラムで紹介したポイントは以下の通りです。

• 令和6年度の第一次検定合格率は65.1%、第二次検定合格率は62.4%
• 第一次検定は過去問3〜5年分を繰り返し解き、必須問題を確実に得点する
• 第二次検定は工程管理・安全管理を重点的に学習し、記述力を高める
• 実務経験を整理し、具体的な工事内容を記述できるように準備する
• 独学でも合格可能だが、記述対策に不安がある方は通信講座の活用も検討する

他の施工管理技士資格と比較しても合格率は高水準であり、キャリアアップに直結する価値の高い資格です。効果的な対策を行い、確実な合格を目指しましょう。