1級管工事施工管理技士の受験を検討しているものの、受験資格の要件が複雑で理解しづらいと感じていませんか。

令和6年度から受験資格が大幅に緩和され、第一次検定は19歳以上であれば学歴や実務経験を問わず受験可能になりました。

本記事では、新制度における第一次検定・第二次検定それぞれの受験資格、実務経験の要件、旧制度との違いまで詳しく解説します。

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1級管工事施工管理技士の受験資格とは?【新制度対応】

1級管工事施工管理技士の受験資格は令和6年度から大幅に緩和され、第一次検定は19歳以上であれば学歴・実務経験を問わず誰でも受験可能になりました。

令和3年度の制度改正では、「学科試験」が「第一次検定」に、「実地試験」が「第二次検定」に名称変更され、2段階方式に変更されました。

改正に伴い、第一次検定合格者には「1級管工事施工管理技士補」という新たな称号が付与される技士補制度が導入されています。

1級管工事施工管理技士補は監理技術者の補佐として現場で活躍でき、第二次検定受験の前提資格となる重要な位置づけです。

この2段階方式により、若手技術者が早期にキャリアをスタートさせやすい環境が整備されました。

令和6年度からの新制度では、第一次検定の受験資格から学歴要件と実務経験要件が完全に撤廃されています。

一方、第二次検定については、第一次検定合格後または2級合格後の実務経験年数が要件となり、学歴による区別はなくなりました。

1級管工事施工管理技士第一次検定の受験資格【令和6年度~】

第一次検定の受験資格は、令和6年度から「19歳以上(受検年度末時点)」という年齢要件のみとなり、学歴や実務経験は一切不問となりました。

そのため、建設業界に入って間もない若手技術者でも、年齢さえ満たせば誰でも挑戦できる試験になっています。

検定レベル受験資格補足
1級 第一次検定19歳以上(受検年度末時点)学歴・実務経験は不問
2級 第一次検定17歳以上(受検年度末時点)従前から変更なし
参照:令和 6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります【新受検資格】

「受検年度末時点」とは、受験する年度の3月31日時点の年齢を指します。

例えば令和7年度の試験を受験する場合、令和8年3月31日時点で19歳に達していれば受験資格を満たします。

従来の制度では、学歴に応じた実務経験年数を証明する卒業証明書や実務経験証明書の提出が必須でしたが、新制度の第一次検定ではこれらの書類提出が不要になりました。

受験申込時の手続きが大幅に簡素化され、受験のハードルが下がっています。

1級管工事施工管理技士第二次検定の受験資格【令和6年度~】

第二次検定の受験資格は、第一次検定合格後または2級第二次検定合格後の実務経験年数により受験資格が決まります。

受験資格要件必要な実務経験年数
令和3年度以降の1級第一次検定合格者合格後5年以上
上記+特定実務経験あり合格後 特定実務経験1年以上を含む3年以上
上記+監理技術者補佐経験あり合格後 監理技術者補佐として1年以上
2級第二次検定合格後、1級第一次検定に合格した者2級合格後5年以上
上記+特定実務経験あり2級合格後 特定実務経験1年以上を含む3年以上
参照:1級管工事施工管理技術検定 | 一般財団法人 全国建設研修センター

新制度では学歴による区別が廃止され、いつ第一次検定や2級に合格したかによって必要な実務経験年数が定められています。

注目すべきは、特定実務経験を1年以上含めることで、通常5年必要な実務経験年数を3年に短縮できる点です。

大規模工事で経験を積んだ技術者は、より早期に第二次検定に挑戦できます。

監理技術者補佐としての経験があれば、さらに最短1年で受験資格を得られる仕組みになっています。

令和3年以降の1級第一次検定合格者の受験資格

令和3年度以降に1級第一次検定に合格した方(技士補)が第二次検定を受験するには、以下のいずれかの実務経験年数が必要です。

  • 合格後5年以上の実務経験年数
  • 合格後 特定実務経験1年以上を含む3年以上の実務経験年数
  • 合格後 監理技術者補佐として1年以上の実務経験年数

標準的なルートは合格後5年以上の実務経験を積むことですが、特定実務経験や監理技術者補佐としての経験を活用すれば、大幅に期間を短縮できます。

特に監理技術者補佐としての実務経験は、技士補資格を活かした最短ルートとして注目されています。

実務経験年数は、第一次検定合格日の翌日から起算します。

例えば令和7年度の第一次検定に合格した場合、合格発表日の翌日から実務経験年数のカウントが始まります。

2級第二次検定合格後に1級第一次検定合格者の受験資格

2級管工事施工管理技士の資格を既に保有している方が、1級第一次検定に合格して第二次検定を受験する場合の要件は以下の通りです。

  • 2級合格後5年以上の実務経験年数
  • 2級合格後 特定実務経験1年以上を含む3年以上の実務経験年数

このルートは、2級資格を取得してから段階的にステップアップを目指す方に適しています。

2級合格後の実務経験年数がカウント対象となるため、2級取得後に1級第一次検定を受験し合格すれば、既に積んだ実務経験を活用できます。

2級合格後5年以上の実務経験があれば、1級第一次検定に合格した時点で即座に第二次検定の受験資格を得られます。

特定実務経験を含む場合は3年に短縮されるため、大規模工事での経験が豊富な方は早期の資格取得が可能です。

「特定実務経験」とは?

特定実務経験とは請負4,500万円以上の工事など高度な施工管理経験で、1年以上あれば実務経験年数を5年から3年に短縮できます。

特定実務経験とは、通常の実務経験よりも厳格な要件を満たした施工管理経験を指します。

認められる要件は以下の通りです。

  • 建設業法の適用を受ける請負金額4,500万円以上の建設工事(建築一式工事は7,000万円以上)における施工管理経験
  • 監理技術者または主任技術者(監理技術者資格者証保有者)の指導の下で施工管理を行った経験
  • 自ら監理技術者または主任技術者として施工管理を行った経験

請負金額の基準は消費税込みの金額で判断されます。例えば税抜4,200万円の工事でも、消費税を含めて4,620万円になれば特定実務経験の対象となります。

特定実務経験を証明するには、工事の請負契約書や監理技術者・主任技術者の配置を示す書類が必要です。

実務経験証明書に記載する際は、工事請負者の代表者または監理技術者等による証明が求められます。

「監理技術者補佐」としての実務経験とは?

監理技術者補佐としての1年以上の実務経験があれば、第二次検定受験資格を得るための最短ルートとなります。

監理技術者補佐としての実務経験が認められる要件は以下の通りです。

  • 対象業種(管工事業)の主任技術者資格を有する者であること
  • 1級第一次検定合格後の経験であること
  • 特例監理技術者(2つの現場を兼務している監理技術者)のもとで専任配置された工事での経験
  • 単なる監理技術者の補助や手伝いではなく、正式な監理技術者補佐としての配置であること

特例監理技術者制度は、監理技術者が複数の現場を効率的に管理するための仕組みです。

技士補資格を持つ技術者が監理技術者補佐として専任配置されることで、監理技術者は2つの現場を兼務できます。

この制度を活用すれば、第一次検定合格後わずか1年で第二次検定の受験資格を得られるため、若手技術者にとって魅力的なキャリアパスとなっています。

ただし、正式な監理技術者補佐としての配置が必要であり、実態が伴わない形式的な配置は認められません。

実務経験として認められる工事の範囲

実務経験として認められる工事は、建設業法で定められた建設業の種類(業種)のうち、管工事施工管理技術検定に対応する工事に限定されます。

どのような工事が実務経験としてカウントされるのか、正確に理解しておきましょう。

管工事施工管理で認められる建設業の種類(業種)

管工事施工管理技術検定における実務経験として認められるのは、建設業法における「管工事業」に該当する工事です。

管工事業とは、冷暖房設備、空調設備、給排水設備、衛生設備等の設置工事を指します。

管工事業に該当する主な工事は以下の通りです。

  • 冷暖房設備工事(ボイラー設置、暖房配管など)
  • 空調設備工事(エアコン設置、換気設備など)
  • 給排水・給湯設備工事(上下水道配管、給湯器設置など)
  • 衛生設備工事(トイレ、洗面所などの衛生器具設置)
  • ガス配管工事(都市ガス、LPガスの配管)
  • ダクト工事(空調用ダクトの製作・設置)
  • 浄化槽工事(浄化槽の設置・配管)
  • その他管工事に関する工事(消火設備、厨房設備など)

同じ建設工事内でも管工事業に該当する部分のみが実務経験としてカウントされます。

例えば建築工事全体のプロジェクトに関わった場合でも、管工事の施工管理を担当した期間のみが実務経験となります。

複数の検定種目が対応する建設業の種類の工事については、同じ経験を複数の検定種目の実務経験として申請できます。

ただし、管工事施工管理の場合は基本的に管工事業のみが対象です。

実務経験として認められる業務内容

実務経験として認められるのは、管工事の「施工管理」に関する技術上の業務です。

単に現場で作業に従事していただけでは実務経験として認められません。

実務経験として認められる具体的な業務内容は以下の通りです。

  • 管工事の施工計画の作成(工事全体の計画立案、施工手順の策定)
  • 工程管理(工事スケジュールの管理、進捗確認、調整業務)
  • 品質管理(施工品質の確保、検査・試験の実施、品質記録の作成)
  • 安全管理(現場の安全対策立案、安全教育、災害防止活動)
  • その他管工事に関する技術上の管理業務(原価管理、発注者対応、協力会社の指導など)

重要なのは「技術上の管理業務」を行っていたかどうかです。

現場監督、工事主任、施工管理技術者といった立場で、工事の計画・管理・指導を担当していた経験が該当します。

一方、配管工や設備工といった作業員として実際の施工作業のみに従事していた場合は、実務経験として認められません。

また、設計のみ、積算のみ、営業のみといった業務も、施工管理の実務経験には該当しないため注意しましょう。

実務経験の判断に迷う場合は、全国建設研修センターに事前確認することをおすすめします。申込後に実務経験が認められないと判明した場合、受験できなくなる可能性があります。

【旧制度】受験資格(令和5年度まで)との比較

旧制度では学歴と指定学科によって実務経験年数が異なりましたが、新制度では年齢と実務経験のみで判断されます。

項目旧制度(~令和5年度)新制度(令和6年度~)
第一次検定(旧学科試験)学歴別に実務経験年数が必要19歳以上であれば受験可能
第二次検定(旧実地試験)学歴・実務経験年数+指導監督的実務経験第一次検定合格後の実務経験年数(学歴不問)
指導監督的実務経験必須廃止
指定学科の考慮あり(実務経験年数に影響)なし(新制度では不問)

旧制度(令和5年度まで)では、大学の指定学科卒業者は卒業後3年以上、指定学科以外は4年6ヶ月以上の実務経験が必要でした。

実地試験(現在の第二次検定)では、さらに指導監督的実務経験1年以上が必須要件とされていました。

しかし、新制度(令和6年度から)では、第一次検定から学歴要件が完全撤廃され、第二次検定でも学歴による区別がなくなりました。

指導監督的実務経験の要件も廃止され、その代わりに特定実務経験や監理技術者補佐としての経験が実務経験年数の短縮要件として導入されています。

この制度改正により、若手技術者が早期にキャリアをスタートできる環境が整備されました。

19歳で第一次検定に合格し、監理技術者補佐として1年間経験を積めば、20歳で第二次検定を受験できる計算になります。

旧制度では考えられなかった早期の資格取得が可能になっています。

令和6年度から令和10年度までの5年間は経過措置期間として、新受検資格と旧受検資格のいずれでも第二次検定を受験できます。

旧制度での受験資格審査を既に通過している方は、新制度への移行を考慮しながら受験計画を立てることが可能です。

ただし令和11年度以降は新受検資格のみとなるため、旧制度での受験資格で第二次検定を受験したい方は令和10年度までに合格する必要があります。

経過措置期間を有効活用し、自分にとって有利な制度を選択することが重要です。

令和5年度までに受検資格審査を受けて受検票が交付されている方は、令和6年度から令和10年度の間、実務経験証明書の提出を省略した再受検申込みが可能です。

詳細については、全国建設研修センターの受検の手引き(旧受検資格)で確認できます。

受験資格に関するよくある質問(FAQ)

受験資格に関して多くの方が疑問に感じる点について、公式情報に基づいて回答します。

  • 第一次検定は実務経験なしで受験できますか?
  • 指定学科かどうかは受験資格に影響しますか?
  • 2級を飛ばして1級を受験できますか?
  • 旧制度で学科試験のみ合格している場合は?

第一次検定は実務経験なしで受験できますか?

19歳以上であれば、実務経験ゼロでも第一次検定を受験できます。

従来は学歴に応じた実務経験年数が必要でしたが、新制度では年齢要件のみとなりました。

建設業界での実務経験がまったくない方でも、19歳以上であれば受験資格を満たします。学生の方でも、受検年度末(3月31日)時点で19歳に達していれば受験可能です。

ただし、第二次検定を受験するには第一次検定合格後の実務経験が必要になります。

第一次検定に合格してから実務経験を積み、要件を満たした時点で第二次検定に挑戦する流れとなります。

指定学科かどうかは受験資格に影響しますか?

新制度では、指定学科は受験資格に影響しません。

令和6年度からの新制度では、第一次検定は年齢要件のみ、第二次検定は第一次検定合格後または2級合格後の実務経験年数のみが要件となっています。

学歴自体が考慮されないため、指定学科かどうかは一切関係ありません。

旧制度では、土木工学科、建築学科、機械工学科、電気工学科などの指定学科を卒業しているかどうかで必要な実務経験年数が異なっていました。

指定学科卒業者の方が実務経験年数が短く設定されていたため、卒業学科が重要な要素でした。

新制度への移行により、この区別がなくなったため、どの学科を卒業していても平等に受験できるようになっています。

2級を飛ばして1級を受験できますか?

2級を取得せずに直接1級第一次検定を受験できます。

1級管工事施工管理技士の受験には、2級資格の保有は必須要件ではありません。

19歳以上であれば誰でも1級第一次検定を受験でき、合格後に必要な実務経験を積めば第二次検定を受験できます。

具体的な手順は以下の通りです。

  1. 19歳以上で1級第一次検定を受験・合格
  2. 合格後5年以上の実務経験を積む(特定実務経験がある場合は3年、監理技術者補佐としての経験がある場合は1年)
  3. 1級第二次検定を受験

2級を経由せず直接1級を目指す場合、第一次検定合格後に5年以上の実務経験が必要になる点に注意が必要です。

一方、2級を先に取得してから1級第一次検定に合格する場合、2級合格後の実務経験年数がカウントされるため、既に実務経験を積んでいる方はすぐに第二次検定を受験できる可能性があります。

旧制度で学科試験のみ合格している場合は?

旧制度で学科試験のみ合格している方は、経過措置により新制度での扱いが定められています。

平成28年度から令和2年度の間に2級学科試験に合格した方は、合格年度を含む12年以内かつ連続する2回に限り、当該第二次検定を旧受検資格で受検できます。

1級についても同様の経過措置が適用されます。

令和5年度までに受検資格審査を受けて受検票が交付されている方は、令和6年度から令和10年度の間、「第一次検定・第二次検定」(第一次検定合格者は第二次検定のみ)の再受検申込みが可能です。

この場合、実務経験証明書の提出を省略できる場合があります。

詳細については、全国建設研修センターが公表している受検の手引き(旧受検資格)を確認するか、直接問い合わせることをおすすめします。個別のケースにより扱いが異なる可能性があるためです。

まとめ

1級管工事施工管理技士の受験資格は令和6年度から大幅に緩和され、誰でも第一次検定から挑戦しやすい制度になっています。

本コラムの重要なポイントをまとめます。

  • 1級管工事施工管理技士の受験資格は、令和6年度から大幅に緩和された
  • 第一次検定は19歳以上であれば学歴・実務経験不問で受験可能
  • 第二次検定は第一次検定合格後の実務経験年数が要件
  • 特定実務経験により3年、監理技術者補佐経験により1年に短縮可能
  • 新制度では学歴や指定学科による区別が廃止され、すべての受験者に平等な受験機会が提供されている
  • 2級を経由せず直接1級を目指すことも可能で、自分のキャリアプランに応じた受験ルートを選択できる
  • 令和6~10年度は経過措置期間で新旧いずれの受験資格でも第二次検定を受験できるが、令和11年度以降は新制度のみとなる

制度改正により受験資格が緩和され、資格取得へのハードルが下がっています。

自分の状況に応じた最適な受験計画を立て、計画的に資格取得を目指しましょう。

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