エネルギー管理士試験は、電気・熱などの高度な知識が求められる国家資格であり、全課目に一度で合格するのは簡単ではありません。

そこで注目されているのが、エネルギー管理士の課目合格や課目免除といった制度の活用です。

課目合格制度を利用すれば、一部課目合格した時点でその合格が一定期間有効となり、残りの課目だけを次回以降に受験することが可能になります。

本記事では、エネルギー管理士の課目合格・課目免除制度の仕組みや注意点、他資格による免除、さらには効率的な学習スケジュールまで詳しく解説します。

できるだけ短期間・少ない負担で合格を目指したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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エネルギー管理士の課目合格・課目免除を徹底解説

エネルギー管理士試験には、受験者の負担を軽減し、計画的な学習を支援するための「合格課目試験免除制度」が設けられています。

この制度を理解し、適切に活用することは、合格への道のりを効率的に進める上で非常に重要です。

課目合格・課目免除の制度とは?

エネルギー管理士における課目合格・課目免除とは、一度合格した課目は、翌年から2年間にわたり受験が免除される制度です。

以下の表をご覧ください。

試験課目1年目2年目3年目4年目
受験状況結果受験状況結果受験状況結果受験状況結果
課目Ⅰ受験合格受験免除受験免除受験合格
課目Ⅱ欠席受験不合格受験合格受験免除
課目Ⅲ受験不合格受験不合格受験不合格受験合格
課目Ⅳ受験不合格受験合格受験免除受験免除
引用:ECCJ 省エネルギーセンター / エネルギー管理士の資格の取得方法

この例では、1年目に課目Ⅰのみ合格し、2・3年目は免除。

4年目には再度受験する必要があり、再び合格しています。

課目Ⅱは2年目不合格、3年目に合格し、4年目は免除。

課目Ⅲは3回不合格ののち、4年目にようやく合格。

課目Ⅳは2年目に合格し、3・4年目は免除です。

結果として、4年目終了時点で全課目に合格し、試験合格となります。

この免除制度は、熱分野と電気分野のいずれの課目にも適用されます。

試験課目は、共通課目である「エネルギー総合管理及び法規」と、選択する分野(熱または電気)に応じた専門課目3つで構成されています。

熱分野では「熱と流体の流れの基礎」「燃料と燃焼」「熱利用設備及びその管理」が専門課目であり、電気分野では「電気の基礎」「電気設備及び機器」「電力応用」が専門課目です。

各課目において60%以上の得点率を達成することが合格基準。

この制度を利用すれば、全ての課目を一度に合格する必要はありません。

受験生は毎年特定の課目に集中して学習を進められるでしょう。

例えば、難易度が高いとされる課目や、自身の専門外の課目について、時間をかけてじっくりと対策を練ることが可能になります。

エネルギー管理士の資格を取得する方法は、試験に合格する「エネルギー管理士試験」のほか、特定の要件を満たす者が講習を修了する「エネルギー管理研修」を修了する方法もあります。

なお、エネルギー管理研修の修了試験でも合格した課目の免除制度はありますが、有効期間は受講した年度の翌年度のみ。

試験とは異なり、免除期間が短いため注意が必要です。

課目合格・課目免除制度利用時の注意点と費用

合格課目試験免除制度を利用する場合でも、各課目に対する質の高い学習を継続する姿勢が重要です。

この制度は、すべての課目を中途半端に学び、結果としていずれも合格できないという事態を避ける目的で設けられたもの。

したがって、「制度を利用すれば、多少手を抜いても大丈夫」といった考え方は適切とは言えません。

本番までの長期的な学習計画を立て、明確な合格のイメージを持ちながら必要な知識を着実に積み重ねていくことが、合格への近道。

特定の課目に絞って対策できるとはいえ、効率性と学習の深さの両立が求められるでしょう。

さらに、制度を積極的に活用する際には費用面にも留意が必要です。

エネルギー管理士試験の受験料は1回あたり17,000円(非課税)とされており、複数年にわたって分割受験を行う場合、その都度費用が発生します。

受験回数が増えることで、結果的に総費用もかさむ可能性がある点に注意したいところ。

学習計画と予算配分のバランスを取りながら、無理のない受験戦略を構築することが望ましいでしょう。

申込期間は例年、試験日の約2ヶ月前に設定されており、郵便またはインターネットで申し込みが可能。

参考:1エネルギー管理士試験制度の概要

他資格の保有によるエネルギー管理士試験の免除制度

エネルギー管理士試験には、特定の他資格を保有していることによる直接的な課目免除制度は存在しません。

しかし、関連する資格の知識は、試験対策において大きな強みとなります。

電気主任技術者があれば免除になる?電験三種は?

第三種電気主任技術者(電験三種)をはじめとした電気主任技術者の資格を保有していても、エネルギー管理士の電気分野の試験において、直接的な課目免除は適用されません。

これは、エネルギー管理士試験と電気主任技術者試験が異なる制度に基づいているためです。

しかしながら、電験三種の知識は、エネルギー管理士試験の電気分野、特に「電気の基礎」「電気設備及び機器」「電力応用」の3課目において、内容の重複が多く見られます。

法規課目を除けば、電験三種で習得した知識がそのまま活かせる場面が多く、学習効率の面で有利になるでしょう。

実際、エネルギー管理士は「電験2.5種」とも称されるほど、両資格には深い関連性があると言われています。

そのため、電気主任技術者の資格を持つ受験生にとって、エネルギー管理士試験の電気分野は比較的取り組みやすい領域となるはずです。

また、就職や転職の場面では、両方の資格を保持していることで専門性や実務力を高く評価されるケースも想定されます。

エネルギー関連分野におけるキャリアの幅を広げるうえで、有力な組み合わせといえるでしょう。

なお、エネルギー管理研修においては、第一種または第二種の電気主任技術者免状を有する者に限り、特定講義の受講を省略して修了試験に進むことが認められています。

ただし、これは試験制度とは別の枠組みでの優遇措置にあたるため、課目免除とは異なる点に注意が必要です。

それでも、電気分野に精通した技術者にとっては、資格取得の負担を軽減できる有効なルートとなるでしょう。

公害防止管理者があれば免除になる?

公害防止管理者の資格を有していても、エネルギー管理士試験の課目が自動的に免除されることはありません。

あくまで別制度に基づく資格であり、試験制度上の優遇措置には該当しないためです。

ただし、熱分野の学習においては、公害防止管理者として得た知識が役立つ場面も想定されます。

とくに専門課目である「燃料と燃焼」や「熱利用設備及びその管理」では、燃焼技術・排ガス処理・環境保全に関する出題が行われることもあり、これは公害防止管理者試験の内容と密接に関係しています。

実務に直結するテーマを含む分野では、過去の学習経験が理解を深める助けになるでしょう。

学習の負担を軽減し、実際の設備や現場のイメージを伴った学習が可能になる点も見逃せません。

熱分野ではそのほか、冷凍機械責任者・ボイラー技士・危険物取扱者(乙種4類)なども、知識面での土台となり得る資格です。

これらの試験勉強で得た知識は、エネルギー管理士試験の学習においても役に立つでしょう。

課目合格を活用した具体的な学習スケジュール

エネルギー管理士試験は、合格課目試験免除制度を戦略的に活用することで、無理なく合格を目指すことができます。

とくに仕事と学習の両立が求められる社会人にとっては、有効な取得方法といえるでしょう。

試験は4課目で構成されており、それぞれの出題範囲が広いため、短期間で全課目に合格するのは容易ではありません。

実際、合格率は毎年30%前後にとどまり、国家資格の中でも難易度が高い部類に入ります。

ここでは、課目合格を活用した具体的な学習スケジュールを解説します。

2年間で取得するスケジュール例

エネルギー管理士試験は、合格課目試験免除制度を活用することで、2年に分けた計画的な学習によって無理なく資格取得を目指すことが可能です。

ここでは、実際に2年間で取得を目指すスケジュール例を紹介します。

1年目:基礎固めと得意課目の先行合格

最初の年は、得意分野や暗記中心の課目を選んで、確実に合格を狙いたいところ。

出題範囲が広い試験において、1年目に2課目合格しておくことが、翌年の精神的・時間的な負担軽減につながります。

熱分野を選択する場合

「エネルギー総合管理及び法規」と「熱と流体の流れの基礎」に集中しましょう。

法規は暗記中心の出題が多く、得点源になりやすい課目です。

一方、「熱と流体の流れの基礎」は、理解に時間を要する内容も多く、早期からの対策が望まれます。

電気分野を選択する場合

「エネルギー総合管理及び法規」と「電力応用」に重点を置いて学習しましょう。

電力応用は微積分を含む計算問題が出題されることもあり、難易度は高め。

そのぶん早めに克服しておけば、2年目の負担軽減にもつながるはずです。

2年目:残りの課目に集中し、確実な合格を

1年目に合格した2課目は、免除制度により2年間有効となるため、2年目は残る2課目に専念できます。

熱分野であれば「燃料と燃焼」「熱利用設備及びその管理」、電気分野であれば「電気の基礎」「電気設備及び機器」に集中して学習を進めます。

これら2課目に特化することで、各課目への理解を深め、確実に合格を目指せます。

この2年間の取得モデルは、学習内容を年ごとに分散できるため、1日あたりの勉強時間を抑えやすい点が特長。

仕事や家庭との両立を目指す社会人にとって、現実的かつ効果的な戦略といえるでしょう。

3年間で取得するスケジュール例

エネルギー管理士試験の合格課目試験免除制度を活用すれば、3年間かけて計画的に取得を目指す方法も有効です。

とくに学習時間の確保が難しい社会人や、苦手分野の克服に時間をかけたい受験者にとっては、無理のない現実的な戦略といえるでしょう。

1年目:基礎の確立と得意課目の克服

初年度は、負担の少ない範囲からスタートするのが望ましいところ。

共通課目「エネルギー総合管理及び法規」と、自身の得意とする課目、または比較的難易度の低い課目を選択し、2課目の合格を目指します。

法規は暗記中心で得点源となりやすく、早期に取得しておくことで心理的な余裕も生まれます。

得意分野から着手することで、学習リズムをつかむ上でも効果的です。

2年目:難関課目への挑戦

次の年には、最難関とされる課目に集中したいところ。

熱分野なら「熱と流体の流れの基礎」、電気分野であれば「電力応用」が該当します。

これらの課目では、計算問題や理論的な理解が問われるケースが多く、短期的な対策では対応が難しい内容も含まれます。

そのため、単独でじっくり時間をかけて取り組める2年目に据えるのが適切といえるでしょう。

3年目:最後の仕上げ

最終年度は、残る1課目に集中し、資格取得の完了を目指す年。

これまでに培った知識を土台に、総復習と弱点補強を行いながら、万全の状態で試験に臨みたいところです。

学習期間は長期にわたるものの、毎年の負担が小さく抑えられるため、継続しやすい点が大きなメリット。

とくに、難易度の高い課目に対して十分な対策時間を確保できる点は、このスケジュールの最大の強みといえるでしょう。

まとめ

エネルギー管理士試験では、課目合格・課目免除制度を活用することで、計画的かつ柔軟に合格を目指すことが可能です。

一度合格した課目は翌年から最長2年間免除され、特定課目に集中して対策できるのが特徴。

電験三種や公害防止管理者など他資格による直接の免除はないものの、知識面での優位性が得られる場面もあります。

2〜3年に分けた取得スケジュールを立てることで、忙しい社会人でも無理なく合格を目指せるでしょう。

学習を進める上で、通信講座の活用も大変おすすめです。

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