省エネ関連の専門資格として注目を集めているエネルギー管理士。

取得を検討するにあたって、年収や資格手当の相場、将来性などが気になっている方もいるでしょう。

当コラムでは、エネルギー管理士として働く場合の年収や資格手当の相場額、資格の将来性などについて詳しく解説します。

受験を考えている方はぜひ参考にしてください。

エネルギー管理士の年収

エネルギー管理士の年収は、経験やスキル、勤務先の企業規模によって大きく異なります。

当コラムでは厚生労働省のデータを元に、エネルギー管理士の資格と関連の深い以下の3職種の平均年収について解説します。

• 発電所運転管理
• プラント設計技術者
• 電気技術者

発電所運転管理

仕事内容

発電所運転管理は、火力や電子力など各発電所の運転と保守を担う仕事です。

「運転」の担当と「保守」の担当に分業されていることもあります。

運転は発電設備の起動・停止を行い、発電のメイン部分を担当。

中央制御室内で発電出力の調整をしつつ、計器類の監視・制御、施設内の機器のパトロールなどを行います。

保守は設備に異常がないかを詳細に点検する担当で、必要に応じて消耗品や部品の交換なども行います。

運転・保守のいずれも、安全な発電のためになくてはならない仕事といえるでしょう。

平均年収・給料

令和6年のデータにおける発電所運転管理の全国平均年収は658.6万円。

年代別の統計では、最大値が50〜54歳の792.51円・最小値が19歳以下の318.62万円です。

発電所運転管理は平均年齢が44.2歳と高めの職業で、40代・50代のベテランになるほど高い年収をもらって活躍している人が多いことがわかります。

求人に記載の月収額は25〜26万円ほどで、一般会社員と同等か、年齢・地域によってはやや高めとなっています。

参考：発電所運転管理 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

プラント設計技術者

仕事内容

プラント設計技術者は、プラントを建設するための基本・詳細の設計を担当する職業です。

「プラント」とは製品やエネルギーの生産を行うための大規模な施設の総称で、電気や製鉄、ゴミ処理などさまざまな種類のものがあります。

エネルギー管理士は施設内のエネルギーが適切に使われているかを監視する資格のため、知識を活かせば無駄のない設備設計が可能となるでしょう。

主な業務内容は、プラントを構成する機器や装置の組み合わせや全体の配置の決定・発電設備や防消火設備の設計など多岐にわたります。

ひとつのプラントの構想から試運転までを見守り、稼働の最初期に関わる重要な仕事です。

平均年収・給料

令和6年のデータにおけるプラント設計技術者の全国平均年収は669.4万円でした。

年代別の統計では、最大値が55〜59歳の850.87万円・最小値が19歳以下の273.52万円となっています。

40代後半から50代前半にかけて800万円を超える高収入が期待できますが、若いうちの収入レベルは一般的な会社員と同程度でしょう。

求人月額の全国平均は29〜30万円ほどで推移しており、全国平均は29.6万円となっています。

参考：プラント設計技術者 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

電気技術者

仕事内容

電気技術者は、電気機器・電気設備の技術開発や改良、保守などを広く行う職業です。

機器の開発や稼働が発生する現場から求人が出ることが多く、発電所や電気機器メーカー、鉄道会社などが主な就業先となります。

具体的な業務内容は就業先で用いられる設備の種類によっても異なりますが、安全に稼働できるよう電気まわりを管理する仕事であることは共通です。

特に鉄道会社に就業した場合は守備範囲が広く、配属部門によって以下のような業務を担当する可能性があるでしょう。

• 電力の変圧・各駅への供給
• 架線や駅の電気設備の管理・設置
• トロリ線における夜間停電中の架線張り替え

平均年収・給料

令和6年のデータにおける電気技術者の全国平均年収は755.2万円でした。

年代別の統計では、最大値が50〜54歳の971.59万円・最小値が19歳以下の296.71万円。

業務内容が幅広く、多くの事業所から需要があるため、電気系の職種の中でも高めの年収が見込まれる職業といえます。

求人月額は30〜31万円ほどで、全国平均は30.9万円となっています。

若いうちからでも比較的高い収入を期待できるでしょう。

参考：電気技術者 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

エネルギー管理士の資格手当はいくら？相場は？　

エネルギー管理士に支給される資格手当の相場は、月数千〜数万円ほどです。

仮に月5,000円であれば年に6万円、月に3万円なら年に36万円の収入増が見込めます。

具体的な支給額は業種や業務内容、勤務している企業の規模によっても大きく左右されます。

支給の名目や区分も企業によるため、詳細は在籍する職場の就業規則で確認する必要があるでしょう。

業務内容が同じでも、資格手当が支給されない事業所もあります。

今後エネルギー管理士を取得して就業を目指す場合は、面接で手当の有無や内容について確認しておけば安心です。

エネルギー管理士の将来性は？

エネルギー管理士の将来性や需要は、脱炭素社会推進の流れから今後ますます高まっていくと考えられます。

現在、日本では経済産業省主導で「2050年カーボンニュートラル」を目標とする省エネルギー政策が推進中。

省エネ設備導入や改善提案など、さまざまな取り組みが進められています。

そもそも、「カーボンニュートラル」とは空気中の二酸化炭素（CO2）を減少させて地球温暖化の進展を止めるための政策です。

火力発電を主とする日本の現状では発電の段階で多量のCO2が排出されるため、大元の発電量を減らす目的で省エネ・再エネ分野に注目が集まっています。

エネルギー管理士は電気・熱といったエネルギー使用状況の監督を行うための専門資格で、いわば「省エネ・再エネ分野の専門家」です。

省エネ法を根拠として一定以上の規模の工場には設置が義務づけられた資格でもあるため、将来的にも安定した需要が見込まれるでしょう。

エネルギーの無駄遣いは環境に悪影響を及ぼすのみならず、各事業所の経済状況にとっても深刻な問題です。

過不足のないエネルギーの使用を監督するエネルギー管理士は、今後の脱炭素社会にも業務の最適化にも欠かせない存在といえるでしょう。

エネルギー管理士を取得する3つのメリット　

エネルギー管理士を取得するメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

• 年収アップを目指せる
• 需要が高い
• キャリアの幅が広がる

年収アップを目指せる

エネルギー管理士を取得すると、年収アップを目指せます。

もっとも可能性が高いルートは、資格取得に伴う昇給や昇格です。

企業や業務内容によっては、資格保有者となったことで資格手当が支給されるようになり、月収が増額するケースも考えられます。

エネルギー管理士を対象とする支給手当の有無については、就業規則などを参考にするとよいでしょう。

現状でエネルギー管理士の資格が特に活きない業界にいるという場合も、転職することでより高年収の仕事に就ける可能性があります。

大規模な工場や商業施設などは特に狙い目です。

需要が高い

エネルギー管理士は社会的な需要が高い資格です。

経済産業省が主導する省エネ法では、一定規模以上の事業所にエネルギー管理士の専任を義務づけています。

法律に基づく「特定の条件下で必ず設置しなくてはならない資格」のため、将来性も抜群といえます。

特に、工場やインフラ業界など多量のエネルギー管理を必要とする業界では需要高め。

設置義務が存在する資格である一方で人材不足も指摘されており、有資格者の市場価値は日々高まっています。

キャリアの幅が広がる

エネルギー管理士を取得すると、キャリアの幅を広げることができます。

エネルギー管理士は電力や熱エネルギーなどを使用する現場ならどこでも活躍できる汎用性があり、工場やビル管理、電力会社など就業先も多様です。

一度取得すれば多くの業界で通用するカードとなるでしょう。

エネルギー管理士だけでも有力な資格ですが、人材としての希少性や市場価値をさらに高めるのであれば追加で関連資格を取得することもおすすめ。

電気主任技術者や発電所運転管理など親和性の高い資格を取れば、現場の第一人者として活躍できるでしょう。

さらに、経験やスキルを積むことで独立開業を目指すことも可能です。

電気工事士など技術系の資格と組み合わせれば、さらに多くの顧客を呼び込めるでしょう。

エネルギー管理士に最短合格するならアガルート！

当コラムでは、エネルギー管理士の年収や将来性について、以下の内容で解説しました。

• エネルギー管理士の年収は所属する事業所や業務内容によって異なり、平均して600〜700万円ほど。職種や年齢によっては、年収1,000万近くを稼げる場合も。
• エネルギー管理士を対象とする資格手当の相場は、月数千〜数万円ほど。
• 近年の脱炭素政策に後押しされ、エネルギー管理士の需要や将来性は今後ますます上がっていくと考えられる。

エネルギー管理士は省エネに関する専門資格で、今後目指すべき持続可能な社会にはなくてはならない存在といえます。

他の電気系・技術系資格との親和性も高く、キャリアアップや独立開業が狙える汎用性の高さも魅力です。

独学での学習に不安がある場合は、アガルートのエネルギー管理士講座を検討してみてください。

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