エネルギー管理士試験の科目の中でも、多くの受験生が難しいと感じるものが「エネルギー総合管理及び法規」です。

この科目では、省エネ法をはじめとした法律や命令、省エネルギーに関する政策、さらにエネルギー管理技術の基礎まで幅広い知識が問われます。

そのため「暗記科目」と思われがちですが、実際には法律の理解だけでなく、計算や応用的な知識も必要です。

本コラムでは、エネルギー管理士「エネルギー総合管理及び法規」の概要と特徴を整理したうえで、効果的な勉強法や具体的な対策ポイントを解説します。

これから受験を予定している方はもちろん、勉強を始めたばかりの方にも役立つ内容になっていますので、ぜひ学習の参考にしてください。

エネルギー管理士「エネルギー総合管理及び法規」とは？概要と特徴

エネルギー管理士試験には複数の科目がありますが、その中でも分野を問わず全員が受験しなければならないのが「エネルギー総合管理及び法規」です。

電気を選ぶ場合でも熱を選ぶ場合でも必須となるため、合否を左右する重要な位置づけにあります。

この科目は大きく三つの領域に分かれます。

ひとつは、省エネ法などの法令・命令を扱う「エネルギーの使用の合理化に関する法律及び命令」。

もうひとつは、エネルギー情勢や政策、基本的な概論を問う「エネルギー情勢・政策、エネルギー概論」。

そして最後に、計算問題が多い「エネルギー管理技術の基礎」です。

出題傾向を見ると、文章問題の割合が高く全体の約7割を占めています。

特に法律や政策に関する設問では、条文や制度の数字まで問われることもあり、知識が不十分だと細かな失点につながりやすいでしょう。

一方で、「管理技術の基礎」では計算問題が中心となり、基本公式の理解と反復練習が得点力アップの鍵となります。

また、電験三種と比べて重なる部分が少ないことも特徴です。

すでに電験を学んだ経験がある人でも、この科目に関しては新しく知識を身につけ直す必要があります。

ただし、出題自体は基礎レベルが多く、過去問で出題パターンを把握し、重要ポイントを繰り返し確認すれば合格点は十分に狙える科目といえるでしょう。

エネルギー管理士「エネルギー総合管理及び法規」の4つの勉強法

「エネルギー総合管理及び法規」は、暗記中心の分野と計算中心の分野が混在しているため、やみくもに学習を進めても効率的に得点につなげるのは難しい科目です。

特に文章問題では膨大な知識量が求められる一方で、計算問題では基礎を押さえていれば得点しやすい傾向があります。

そのため、限られた時間で合格ラインを突破するには、学習の優先順位を意識した勉強法が欠かせません。

ここでは、受験生の多くが実践し、合格につながりやすいとされる4つの勉強法を紹介します。

過去問題を徹底活用する

「総合管理及び法規」を学習するうえで外せないのが、過去問演習です。

この科目は毎年の出題傾向に大きな変化が少なく、過去に出た形式をなぞるような問題が多いのが特徴。

そのため、過去問を解き込むことで“試験のクセ”をつかみやすくなります。

おすすめは、およそ10年分の問題に取り組むこと。

同じテーマで繰り返し間違える部分を重点的に復習することで、知識が定着しやすくなり、本番でも安心して回答できるようになります。

問題文が多少変化していても、基礎となる解法や考え方は共通しているケースが多いため、演習量がそのまま得点力に直結するといえるでしょう。

合格を目指すうえで、過去問をただ解くだけでなく、間違えた理由を分析して克服することが最大のポイントです。

暗記項目を効率的に覚える

「総合管理及び法規」では、省エネ法や関連制度、各種政策など覚える内容が膨大です。

特に条文の数字や制度の細かな名称は忘れやすく、試験本番で空欄になりやすいポイントといえるでしょう。

効率よく身につけるためには、まず 出題頻度の高いテーマを優先 して学ぶことが大切です。

すべてを同じペースで覚えるのは非効率なので、過去問を参照しながら「よく問われる条文」や「頻出の語句」から取り組むと効果的です。

暗記法としておすすめなのは、短時間で繰り返す学習法です。

通勤や休憩のスキマ時間を使い、一問一答形式のカードやアプリを活用すれば、無理なく反復できます。

さらに、法律や制度の背景を理解しながら整理しておくと、単なる丸暗記よりも記憶が定着しやすく、応用問題にも対応しやすくなります。

覚えるべき内容は多いものの、反復と取捨選択を意識すれば十分に対応可能です。

暗記分野を効率的に攻略できれば、合格ラインを越えるための大きな武器になるでしょう。

計算問題を対策する

「総合管理及び法規」の中で、受験生が苦手意識を持ちやすいものが計算問題です。

全体の比率は3割程度ですが、特に「エネルギー管理技術の基礎」では出題の多くが計算形式であり、他の分野とは対策の方向性が異なります。

出題される内容は、熱効率の算定やエネルギー損失の計算、電力量や熱量の求め方など、基礎的な理論に基づくものが中心です。

難解な数学力を求められることは少なく、公式をきちんと理解して使えるようにしておくことが合否を分けるポイントになるでしょう。

学習の際は、よく使う公式や単位を整理し、即答できるレベルにしておくことが大切です。

そのうえで過去問や問題集を繰り返し解き、解答プロセスを習慣化していくと、自然とスピードと正確さが身についていきます。

特に、途中式を省略せずに書き出す練習を重ねておけば、ケアレスミスの防止にもつながります。

計算問題を得点源にできれば、暗記中心の問題で取りこぼしがあっても合格ラインに届きやすくなります。

合格を安定させるためには、この分野を「落とさない」戦略ではなく「積極的に稼ぐ」戦略で臨むことが重要です。

通信講座を利用する

「総合管理及び法規」は、法律や政策といった暗記分野から、計算問題まで幅広い知識が求められる科目です。

独学でも学習は可能ですが、学習範囲が広いため情報を整理しにくく、効率を欠いてしまうケースも少なくありません。

通信講座を利用すれば、出題傾向を踏まえたカリキュラムに沿って学習を進められるため、重要なポイントを効率よく押さえられます。

特に「どこから手をつけてよいかわからない」「独学だと学習ペースが乱れやすい」という人にとっては、ペースメーカーとして大きな助けになるでしょう。

また、テキストや映像講義だけでなく、添削課題や質問サポートがついている講座もあり、疑問点をそのままにせず理解を深められるのも大きな強みです。

過去問の解説や模擬試験が含まれている講座なら、本試験のシミュレーションとして活用でき、合格までの道筋を明確に描けます。

効率的に学びたい、独学に限界を感じる、といった受験生にとって、通信講座は心強い選択肢となるはずです。

エネルギー管理士「エネルギー総合管理及び法規」の具体的な対策

この科目は大きく3つの分野に分けられ、それぞれで問われる内容や学習のポイントが異なります。

法律や命令が中心となる分野もあれば、時事的な政策やエネルギー概論を扱う分野、さらには計算問題の多い技術分野まで幅広く出題されます。

効率よく得点を積み重ねるには、分野ごとの特徴を理解し、重点的に学習すべきポイントを押さえることが欠かせません。

ここからは、それぞれの分野について具体的な対策を解説していきます。

「エネルギーの使用の合理化等に関する法規及び命令」の対策

この分野は、省エネ法や関連する命令を中心に出題されるため、暗記の比重が非常に大きい領域です。

計算よりも文章問題が圧倒的に多く、数字や条文の内容を正確に覚えていないと得点につながりにくいのが特徴といえるでしょう。

学習を進めるうえで意識したいことは、すべてを完璧に覚えようとせず、よく問われる法律や規定に絞って重点的に学ぶことです。

例えば、省エネ法の適用対象や管理者の選任義務などは頻出であり、過去問でも繰り返し出題されています。

また、条文を丸暗記するよりも「この制度は何を目的に作られたのか」「どの事業所に適用されるのか」といった要点を押さえて理解することが重要です。

背景を理解しておけば、問題文が多少ひねられていても対応しやすくなります。

暗記の効率を高める工夫としては、一問一答形式の問題集を活用する、図表やフローチャートにまとめて視覚的に整理する、短い時間で繰り返し確認する、といった方法が有効です。

学習の工夫次第で、大きな得点源に変えられる分野といえるでしょう。

「エネルギー情勢・政策、エネルギー概論」の対策

エネルギーに関する最新の動向や国の政策方針を問うことが、この分野の特徴です。

再生可能エネルギーの普及状況、エネルギー基本計画に基づく数値目標、供給と需要のバランスといった内容が出題範囲に含まれます。

時事性が強いため、古い知識のままでは対応できず、学習にあたっては新しい情報を取り入れる姿勢が欠かせません。

出題形式は文章問題が多く、全体の8割近くを占めます。

問われるのは単なる知識だけではなく、「どのような背景でその政策が導入されたのか」といった理解を含む内容が中心。

つまり丸暗記ではなく、流れや関連性を押さえることが合格への近道といえるでしょう。

効率的に学ぶためには、まず過去問で出題されたテーマを確認し、繰り返し出ている政策や用語を優先的に覚えていくことがおすすめです。

加えて、経済産業省や資源エネルギー庁が公開している資料に目を通しておくと、背景理解が深まり記憶にも残りやすくなります。

一方の「エネルギー概論」では、エネルギー資源の特徴や発電方式の仕組みなど基礎的な知識が中心です。

電気・熱それぞれの特徴を比較しながら整理すると、理解が定着しやすいでしょう。

この分野は暗記科目と見なされがちですが、「理解」と「背景知識」をセットで身につけることで、得点源に変えることができます。

「エネルギー管理技術の基礎」の対策

「エネルギー総合管理及び法規」の中で、最も計算問題が多く出題されるのがこの分野です。

全体の7割程度を計算が占めており、文章問題中心の他の範囲とは性質が大きく異なります。

ここを得点源にできるかどうかで、合否に大きな差がつくといえるでしょう。

出題内容は、熱効率の計算や損失の算定、電力量や熱量に関する基本的な公式の活用が中心です。

複雑な数式を扱うことは少なく、公式を正しく理解し使えるようになれば得点につながりやすい構成になっています。

学習の進め方としては、まず重要な公式や単位を整理し、すぐに使える状態にしておくことが第一歩です。

そのうえで過去問や演習問題を繰り返し解き、手順を体に覚え込ませていくことが効果的。

計算過程を丁寧に書き出す練習をしておくと、ケアレスミスの防止にもつながります。

暗記分野で多少の失点があっても、この分野で安定して点数を取れるようになれば合格ラインは見えてきます。

試験対策のなかで「管理技術の基礎」を重点的に仕上げることが、合格戦略の大きな柱になるはずです。

まとめ

「エネルギー総合管理及び法規」は、暗記分野と計算分野の両方を含む、エネルギー管理士試験の中でも独特な科目です。

文章問題が多いため知識の整理と反復が欠かせませんが、一方で「エネルギー管理技術の基礎」では計算を得点源にできるなど、戦略次第で合格に大きく近づけます。

過去問の徹底活用、暗記項目の効率的な習得、計算問題の反復練習、そして体系的に学べる通信講座の活用。

これらを組み合わせて学習を進めれば、合格ラインの60％を安定して突破できるでしょう。

独学でも学習は可能ですが、学習範囲が広く効率的に取り組みにくいのも事実です。

最短ルートで合格を目指したい方には、アガルートの通信講座 がおすすめです。

出題傾向を押さえたテキストと講義、さらに質問対応やサポート体制も整っているため、効率よく学習を進められます。

独学で迷いがちなポイントを解消し、安心して本番に臨めるでしょう。