1級土木施工管理技士の1次試験は、合格率が毎年40〜60％前後と決して簡単ではなく、計画的な学習と正しい対策が欠かせません。

「どんな内容が出るの？」「配点や合格基準は？」「効率的な勉強方法を知りたい！」と感じている方も多いでしょう。

本記事では、1級土木施工管理技士1次試験の試験概要・受験資格・試験内容（科目・配点・合格基準）・合格率・効果的な勉強方法までを徹底解説します。

これから受験を目指す方はもちろん、学習計画を見直したい人にも役立つ内容です。

1次試験の全体像をつかみ、最短距離で合格を目指すためのポイントをわかりやすく紹介していきます。

ぜひ参考にしてください。

1級土木施工管理技士1次試験の試験概要

1級土木施工管理技士の1次試験（一次検定）は、施工管理に必要な知識を幅広く問う筆記試験です。

土木工事の計画から品質・安全管理、法規まで、現場管理者として求められる基礎知識が出題されます。

試験はマークシート形式で実施され、合否は2次試験（第二次検定）に進めるかどうかを左右する重要なステップです。

1次試験に合格していないと、実務的な能力を問う2次試験を受験することはできません。

1次試験の主な特徴は以下のとおり。

実施方式	マークシート方式の筆記試験
試験時間	4時間30分（午前の部：2時間30分、午後の部：2時間）
出題範囲	土木一般、法規、施工管理など広範囲
合格基準	各年度の得点率によって変動（60％以上が一般的）

一次検定は「知識の定着度」を測る試験であり、過去問の出題傾向も比較的安定しています。

そのため、正しい勉強方法で取り組むことで合格を狙いやすい試験でもあります。

これから1級土木施工管理技士を目指す方は、まずはこの1次試験の概要をしっかり把握しておくことが重要です。

1級土木施工管理技士1次試験の受験資格

1級土木施工管理技士の1次試験（一次検定）は、学歴・実務経験に関わらず誰でも受験できるのが大きな特徴です。

これは、なるべく多くの人が土木施工管理の知識を学び、2次試験へのステップに進めるように設計されているためです。

1次試験は「知識試験」にあたり、受験資格に実務経験年数は一切求められません。

そのため、まずは1次試験に合格しておき、のちに実務経験を積みながら2次試験受験を目指すルートも可能です。

1次試験は誰でも受験できますが、2次試験（第二次検定）は実務経験が必要になります。

2次試験の受験資格は、学歴や専門課程によって必要年数が異なるため、将来2次試験まで進みたい場合は事前に確認しておくと安心です。

1級土木施工管理技士1次試験の試験内容

1級土木施工管理技士の1次試験では、土木工事に必要な基礎知識が幅広く出題されます。

施工管理の実務に直結する「施工計画・品質・安全・工程管理」から、法令・土木一般まで多岐にわたるため、全体像を把握して効率よく学習を進めることが重要です。

ここでは、試験の具体的な出題科目と配点、問題形式、合格基準について詳しく解説します。

まずは出題範囲を正確に理解し、どの分野を重点的に勉強すべきかをつかみましょう。

出題科目と配点

1級土木施工管理技士1次試験は、全70問（必須問題40問、選択問題30問）・四肢択一式（1問1点）で構成されています。

つまり、出題数がそのまま各科目の配点となり、どの分野を重点的に勉強するかを判断する重要な指標になります。

年度によって出題数は多少前後するため、運営団体のホームページから最新情報をチェックしてください。

最重要科目は「専門土木（施工管理）」です。

施工管理技士の実務に直結しているため、2次試験にもつながる重要分野です。

また、法規は条文や基準の暗記が中心で、毎年の難易度がそれほど変わりません。

短期間でも得点源にできるため、配点15点は確実に拾っていきたいところです。

出題形式

1級土木施工管理技士1次試験の出題形式は、四肢択一式（マークシート方式）で統一されています。

すべての問題が「4つの選択肢の中から正解を1つ選ぶ形式」であり、記述式の問題はありません。

問題数は全70問で、試験時間は4時間30分。

幅広い分野からまんべんなく出題されるため、特定の分野だけではなく全体をバランスよく学習しておく必要があります。

また、四肢択一式の特徴として、完全に理解していない分野でも選択肢の消去法で正答を導ける場合があることが挙げられます。

過去問で出題傾向に慣れるほど選択肢の判断力がつくため、過去問演習が得点力向上に直結するでしょう。

1問あたりの配点は1点で、マークミスなどによる失点がそのまま合否に影響するため、解答時は慎重にマークすることも大切です。

1次試験は知識の正確さとスピードが問われる試験形式となっています。

合格基準

1級土木施工管理技士1次試験の合格基準は、「総得点の60％以上（42問以上正解）かつ施工管理法の15問のうち、60%以上の得点（9問以上正解）」とされています。

問題数は70問のため、目安としては42点程度を取れると合格ラインに到達します。

ただし、合格基準は固定ではなく、年度ごとに出題の難易度に応じて調整される点が特徴です。

試験が全体的に難しかった年は基準点が下がることがあり、逆に易しかった年は上がる場合もあります。

一次検定は「満点を目指す試験」ではなく、合格ラインを確実に超える点数を狙う試験です。

出題傾向を踏まえて、確実に得点できる分野から優先的に対策していくことが合格への近道です。

1級土木施工管理技士1次試験の合格率

1級土木施工管理技士1次試験（第一次検定）の合格率は、おおむね40〜60％の間で推移しています。

年度によって難易度に差があるものの、「しっかり対策すれば十分に狙えるレベル」の試験です。

直近5年間の一次検定の全国合格率は、次のとおりです。

年度	受験者数	合格者数	合格率
令和7年度	47,715人	20,547人	43.1%
令和6年度	51,193人	22,705人	44.4%
令和5年度	32,931人	16,311人	49.5%
令和4年度	38,672人	21,097人	54.6%
令和3年度	37,726人	22,851人	60.6%

参考：一般財団法人全国建設研修センター

直近5年の平均合格率は約50％前後で、特に令和3年度から令和7年度にかけて、60.6％ → 43.1％へと段階的に低下していることがわかります。

一方で、合格率が40％台に下がっている年度でも、半数近くの受験者が合格している試験ともいえます。

過去問演習を中心に出題傾向を押さえ、頻出分野を優先して対策すれば、十分に合格を狙えるレベルです。

1級土木施工管理技士1次試験に合格する5つの勉強方法

1級土木施工管理技士の1次試験は、出題範囲が広く、効率の悪い勉強をしてしまうと何ヶ月勉強しても得点につながらないことがあります。

一方で、過去問の傾向が安定しており、正しい勉強法を実践すれば短期間でも合格を狙える試験です。

ここでは、1次試験に合格するための「5つの勉強方法」を厳選してご紹介します。

ぜひ自分の学習スタイルに合わせて実践してみてください。

過去問を先にざっくり解く

1級土木施工管理技士1次試験の勉強を始める際は、まず最初に過去問をざっくり解いて全体像をつかむことが非常に効果的です。

出題傾向が毎年大きく変わらない試験のため、どの分野がよく出るのか、どれくらいの難易度なのかを早い段階で理解できます。

最初は満点を取る必要はなく、正解できなくても気にしないことがポイントです。

目的は、「どの分野が苦手か」「どのくらいの学習量が必要か」といった試験の輪郭をつかむことにあります。

また、過去問を解くことで「覚えるべき知識の種類」や「頻出ポイント」が自然と見えてきます。

いきなりテキストで理解しようとするより、試験全体のイメージが明確になり、モチベーションも上がりやすくなるでしょう。

最初の段階では、時間を計らず気軽に取り組むのがおすすめです。

その後、復習を繰り返すことで問題形式にも慣れ、効率よく得点力を伸ばしていけます。

苦手分野を洗い出す

過去問をひと通り解いたら、次のステップは自分の苦手分野を明確にすることです。

1級土木施工管理技士の1次試験は、出題範囲が広いゆえに、得意・不得意が生まれやすい試験でもあります。

苦手分野を分析する際は、間違えた問題を感覚的に分類するのではなく、科目別で仕分けるのがポイントです。

科目ごとに整理すると、「構造力学が全然できていない」「法規は比較的得点できている」など、具体的に弱点が把握できるようになります。

苦手分野がはっきりすると勉強内容の優先順位がつき、「勉強したのに点が伸びない」という事態を防ぐことができます。

さらに、過去問を解いた際の「自信がなかった問題」もメモしておくと、理解が浅い分野を把握しやすく、効率的に学習を進められるでしょう。

1次試験は総合点で合否が決まるため、不得意科目を潰していくほど合格に近づきます。

早い段階で苦手を見極め、重点的に対策していくことが合格への近道です。

頻出範囲を中心に回す

1級土木施工管理技士1次試験は、毎年の傾向が大きく変わらないため、頻出分野を優先して学習することが最も効率的な戦略です。

出題範囲は広いものの、実際によく出る論点は決まっており、そこを押さえるだけで得点が安定します。

頻出範囲とは、具体的に次のような項目です。

• 施工管理（施工計画・品質管理・工程管理・安全管理）

• 法規（建設業法、労働安全衛生法、労基法など）

• 土木一般の基本知識（コンクリート、測量、土質など）

これらは毎年必ずといっていいほど出題され、しかも計算問題や単純な暗記問題など、得点に直結しやすい問題が多いのが特徴です。

一方で、出題頻度の低い分野や難問に時間をかけすぎると、得点効率が下がってしまいます。

限られた学習時間の中で合格ラインを超えるためには、「よく出るところから確実に点を取る」という考え方が重要です。

まずは頻出の基礎問題を完璧にし、その後で必要に応じて細かい分野を広げていくと、総合点が安定しやすくなります。

頻出範囲を繰り返し回すことで、最も効率よく得点力が伸びる学習法といえます。

直前期は過去問5年分を反復する

試験直前の時期に最も効果的なのが、過去問5年分の徹底反復です。

1級土木施工管理技士1次試験は、出題傾向が安定しています。

そのため、直近5年分の過去問を繰り返し解くことで、試験本番で出る可能性が高い問題を確実に押さえることができるでしょう。

重要なのは「ただ解くだけ」ではなく、できなかった問題を中心に繰り返すことです。

反復のポイントは次の通りです。

• 1回目：まず通しで解き、全体の傾向を確認

• 2回目：間違えた問題だけを解き直す

• 3回目：2回目でまだ曖昧だった問題を重点的に復習

• 4回目以降：ほぼ全問正解できるレベルまで仕上げる

直前期は暗記の定着が高まりやすいため、短期間でも得点力が大きく伸びます。

特に施工管理（専門土木）・法規分野は繰り返すほど定着し、「見たことがある問題」として本番でスムーズに解けるようになります。

また過去問を反復することで、選択肢の癖や引っかけパターンに慣れるため、本番で焦らず落ち着いて対応できるようになるのも大きなメリットです。

直前期は新しい教材に手を出すのではなく、過去問を繰り返す方が圧倒的に効率よく得点を伸ばせます。

合格のカギは、過去問をどれだけ深くやり込んだかにかかっています。

独学が難しいと感じたら通信講座を受講する

1級土木施工管理技士1次試験は、範囲が広く専門性も高いため、独学で進めていると「どこから手をつければいいのかわからない」「勉強しているのに点数が伸びない」と感じてしまうことがあります。

そんなときは、通信講座の利用を検討するのも効果的な方法です。

通信講座の最大の強みは、試験に出るところだけを効率よく学べる点です。

頻出分野を集中的に学べるカリキュラムや、初学者でも理解しやすい解説動画・テキストが揃っているため、最短ルートで合格レベルに到達しやすくなります。

特に、「参考書を読んでも理解しにくい」「過去問だけでは不安を感じる」「短期間で合格したい」という悩みがある人は、通信講座との相性が良いです。

また、質問サポートがある講座なら、独学でつまずきがちなポイントもすぐに解消できます。

学習時間に限りがある社会人にとって、プロによる体系的な解説は大きな時短につながります。

独学で無理に進めて遠回りするよりも、通信講座を活用して合格への最短ルートを選ぶことが、結果的に最も効率のよい方法になることも多いです。

1級土木施工管理技士1次試験のスケジュール

1級土木施工管理技士1次試験は、毎年1回（7月頃） に実施されます。

試験日程は年度によって数週間前後しますが、毎年ほぼ同じ流れで行われるため、受験を考えている方は年間スケジュールを把握しておくと計画的に学習を進められます。

以下は年間スケジュールの基本的な流れです

• 3月頃：試験案内の公開

一般財団法人全国建設研修センターの公式サイトで、試験案内・受験手引きが公開されます。

ここで受験資格の確認や受験地の選択を行います。

• 3月下旬〜4月上旬：申込受付期間

申込は毎年約1ヶ月間。期間を過ぎると一切受け付けてもらえないため注意が必要です。

• 7月頃：1次試験（第一次検定）を実施

試験は全国各地の会場で実施されます。時間は4時間30分（午前の部：2時間30分、午後の部：2時間）で、全101問中70問を解答する四肢択一式です。

• 8月頃：1次試験の合格発表

合格者は2次試験（第二次検定）に進むことができ、発表日には受験番号が公開されます。

• 10月頃：2次試験の受験

1次に合格した人のみが受験できる試験です。

1次試験の合格は、2次試験の最終合格に向けた大事なスタートラインです。

スケジュールを把握して逆算しながら学習を進めることで、十分な準備期間を確保でき、余裕を持って本番に臨めるようになります。

まとめ

1級土木施工管理技士1次試験は、土木施工管理の基礎知識を幅広く問う重要な試験です。

受験資格に実務経験が不要なため、初学者でも挑戦しやすく、合格すれば2次試験への大きな一歩となります。

試験内容は、土木一般・専門土木（施工管理）・法規・共通工学の4分野から出題され、特に施工管理と法規は高配点で得点源となる科目です。

合格基準は毎年変動しますが、総得点の60％前後（70問中42問以上正解）かつ施工管理法で60%以上（15問中9問以上正解）を取れれば合格ラインに到達します。

合格率はおおむね40〜60％で推移しており、しっかりと対策すれば十分合格が狙える試験です。

そのためには、

• 過去問で全体像をつかむ

• 苦手分野を洗い出す

• 頻出範囲を重点的に学習する

• 直前期は過去問5年分を反復する

といった効率的な学習法が重要になります。

また、独学で難しさを感じた場合は、通信講座を利用することで学習の方向性が明確になり、短期間で必要な知識を身につけられます。

1次試験は毎年7月頃に実施されるため、スケジュールを把握し計画的に学習を進めることが合格への近道です。

基礎知識を固め、最短ルートで合格を目指しましょう。

効率よく合格を目指したい方には、頻出論点を中心に学べるアガルートアカデミーの通信講座もおすすめです。

ぜひ検討してみてください。