2級電気工事施工管理技士が意味ないと言われますが、取得するメリットは多いです。また、就職・転職活動にも使える資格なので取得していて損はありません。

本記事では2級電気工事施工管理技士が意味ないと言われるのはなぜなのか解説します。

2級電気工事施工管理技士が意味ないと言われるのはなぜ？

2級電気工事施工管理技士が意味ないと言われる理由は現場で役に立たないから等、3つの理由があります。

• 1級電気工事施工管理技士を取得するなら二度手間になるから
• 第一種電気工事士があれば必要ないから
• 現場で役に立たないから

1級電気工事施工管理技士を取得するなら二度手間になるから

2級電気工事施工管理技士が「意味ない」と言われる最大の理由は、将来的に1級を取得する予定がある場合、二度手間に感じられる点です。

1級と2級では試験範囲が大きく重なるため、最終的に1級を目指すのであれば、2級の勉強時間や受験費用が無駄になるのではないかという懸念があります。

しかし、2級電気工事施工管理技士の第二次検定に合格していれば1級の受験資格が大幅に緩和されます。そのため一概に意味がないというわけではありません。

区分	必要実務経験 (※1)
【区分1】1級第一次検定合格者
1-1	1級電気工事第一次検定合格後、実務経験5年以上
1-2	1級電気工事第一次検定合格後、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
1-3	1級電気工事第一次検定合格後、監理技術者補佐 (※3) としての実務経験1年以上
【区分2】1級第一次検定、および2級第二次検定合格者 (※4)
2-1	2級電気工事第二次検定合格後 (※4)、実務経験5年以上
2-2	2級電気工事第二次検定合格後 (※4)、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
【区分3】1級第一次検定受検予定、および2級第二次検定合格者 (※4)
3-1	2級電気工事第二次検定合格後 (※4)、実務経験5年以上
3-2	2級電気工事第二次検定合格後 (※4)、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
【区分4】1級第一次検定、および第一種電気工事士試験合格または免状交付者
4-1	第一種電気工事士試験合格または免状交付後、実務経験5年以上
4-2	第一種電気工事士試験合格または免状交付後、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
【区分5】1級第一次検定受検予定、および第一種電気工事士試験合格または免状交付者
5-1	第一種電気工事士試験合格または免状交付後、実務経験5年以上
5-2	第一種電気工事士試験合格または免状交付後、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上

具体的には、2級合格後5年以上の実務経験で1級の第二次検定を受験できるようになり、学歴による受験資格のハードルが下がるのです。また、1級の第一次検定のみであれば、2級合格者は実務経験不要で受験可能になります。

第一種電気工事士があれば必要ないから

確かに、第一種電気工事士は500kW未満の自家用電気工作物の工事に従事できる強力な資格です。しかし、電気工事士と電気工事施工管理技士では、そもそもの役割が根本的に異なります。

電気工事士は「実際に電気工事を行う職人」としての資格であるのに対し、電気工事施工管理技士は「工事全体を管理・監督する技術者」としての資格なのです。

• 電気工事士：電気工事の実作業を行う（配線工事、機器設置など）
• 電気工事施工管理技士：工事の計画立案、進行管理、品質管理、安全管理を行う

建設業法では、一般建設業の事業所には専任技術者の配置が義務付けられており、現場ごとに主任技術者を配置する必要があります。2級電気工事施工管理技士は、この専任技術者・主任技術者になれる資格なのです。

第一種電気工事士だけでは、これらの技術者として認められません。そのため、施工管理の立場で働きたい場合や、会社の建設業許可要件を満たすためには、2級電気工事施工管理技士が必要になります。

現場で役に立たないから

確かに施工管理技士の資格は「管理・監督」のための資格であり、電気工事士の資格がなければ実作業には従事できません。しかし下記のような業務を担当することはできます。

• 施工計画の立案（工期、工程、使用材料、施工方法の決定）
• 工程管理（スケジュール通りに工事が進むよう調整）
• 品質管理（使用材料や施工方法の確認、検査）
• 安全管理（作業員の安全確保、事故防止）
• 原価管理（予算内での工事完遂）
• 他工事業者との調整（建築、内装などとの連携）

これらの業務は電気工事の現場を円滑に進めるために不可欠なものです。むしろ、現場全体を俯瞰し、多様な関係者をまとめる高度な能力が求められます。

2級電気工事施工管理技士を取得するメリットは？

2級電気工事施工管理技士を取得することで転職が有利になったり1級電気工事施工管理技士の受験資格が緩和されるなどのメリットがあります。

• 主任技術者・専任技術者になれる
• 転職を有利に進められる
• 1級電気工事施工管理技士の受験資格が緩和される

主任技術者・専任技術者になれる

2級電気工事施工管理技士を取得する最大のメリットは、主任技術者および専任技術者として認定される点です。

建設業法では、一般建設業の営業所には専任技術者を、工事現場ごとには主任技術者を配置することが義務付けられています。2級電気工事施工管理技士の資格保有者は、これらの技術者として配置できるため、企業にとって非常に価値の高い人材となります。

技術者の種類	役割	2級で可能な業務
専任技術者	営業所での契約関連業務	一般建設業の営業所に配置可能
主任技術者	現場での施工管理業務	請負金額4,500万円未満の現場を担当可能
監理技術者	大規模工事の管理業務	1級が必要（2級では不可）

2級電気工事施工管理技士は小規模から中規模の建設現場で活躍できます。一般建設業では請負金額500万円以上の工事を受注する際に建設業許可が必要となり、その許可要件として専任技術者の配置が求められるのです。

また、地方公共団体から公共工事を受注する際の経営事項審査において、2級資格保有者は1人あたり2点が企業に加算されます。企業が公共工事を受注しやすくなるため、資格保有者は企業から重宝される存在になります。

転職を有利に進められる

2級電気工事施工管理技士の資格は、転職市場において高い価値を持ちます。

建設業界では施工管理技士の人手不足が深刻化しており、資格保有者は多くの企業から求められています。電気工事はあらゆる建築物に必要不可欠であり、働く現場が尽きることはありません。

転職において2級電気工事施工管理技士が有利な理由は以下のとおりです。

• 企業の建設業許可要件を満たす人材として価値が高い
• 公共工事の入札で企業の評価点を上げられる
• 施工管理の専門知識と実務能力を客観的に証明できる
• 慢性的な人材不足により、資格保有者の需要が高い

1級電気工事施工管理技士の受験資格が緩和される

2級電気工事施工管理技士を取得することで、1級電気工事施工管理技士の受験資格が大幅に緩和されます。

区分	必要実務経験 (※1)
【区分1】1級第一次検定合格者
1-1	1級電気工事第一次検定合格後、実務経験5年以上
1-2	1級電気工事第一次検定合格後、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
1-3	1級電気工事第一次検定合格後、監理技術者補佐 (※3) としての実務経験1年以上
【区分2】1級第一次検定、および2級第二次検定合格者 (※4)
2-1	2級電気工事第二次検定合格後 (※4)、実務経験5年以上
2-2	2級電気工事第二次検定合格後 (※4)、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
【区分3】1級第一次検定受検予定、および2級第二次検定合格者 (※4)
3-1	2級電気工事第二次検定合格後 (※4)、実務経験5年以上
3-2	2級電気工事第二次検定合格後 (※4)、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
【区分4】1級第一次検定、および第一種電気工事士試験合格または免状交付者
4-1	第一種電気工事士試験合格または免状交付後、実務経験5年以上
4-2	第一種電気工事士試験合格または免状交付後、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上
【区分5】1級第一次検定受検予定、および第一種電気工事士試験合格または免状交付者
5-1	第一種電気工事士試験合格または免状交付後、実務経験5年以上
5-2	第一種電気工事士試験合格または免状交付後、特定実務経験 (※2) 1年以上を含む実務経験3年以上

1級電気工事施工管理技士は実務経験のハードルが非常に高く、高卒の場合は通常10年以上の実務経験が必要です。しかし、2級の第二次検定に合格していれば、この期間が5年以上に短縮されます。

さらに、2021年の制度改正により、2級電気工事施工管理技士の第一次検定は満17歳以上であれば誰でも受験できるようになりました。若いうちから資格取得のチャレンジが可能になり、キャリア形成の選択肢が広がったのです。

2級電気工事施工管理技士の就職先・転職先

2級電気工事施工管理技士の就職先・転職先として電気工事会社や建設会社が挙げられます。

施工管理の専門知識と技術を活かせる職場は多岐にわたり、自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせて最適な転職先を選ぶことができます。

電気工事会社・建設会社

2級電気工事施工管理技士の最も一般的な就職先は、電気工事会社や建設会社です。

電気工事はあらゆる建物に必要な工事であり、住宅、店舗、オフィスビル、工場、公共施設など、幅広い現場で施工管理業務に携わることができます。会社にとって資格保有者がいることで受注できる工事が増えるため、給与面での優遇が期待できるでしょう。

特に大手ゼネコンでは、工事全体の取りまとめを行う立場として活躍でき、大規模プロジェクトに参画する機会も豊富です。ゼネコンでの平均年収は700万円程度、スーパーゼネコン（清水建設、大林組、鹿島建設、竹中工務店、大成建設）では950万円近くになることもあります。

• 多様な建築プロジェクトに関われる
• 資格手当や昇給による収入アップが期待できる
• 実務経験を積んで1級取得を目指せる環境
• 大手企業では福利厚生が充実している

ただし、大規模な工事を担当する場合は業務が多忙になりやすく、工期に合わせた長時間労働が発生する可能性もあります。企業選びの際は、労働環境や働き方改革への取り組みも確認することをおすすめします。

ビルメンテナンス・設備管理会社

ビルメンテナンスや設備管理会社も、2級電気工事施工管理技士の有力な転職先です。

これらの企業での役割は、既存建物に設置されている電気設備や空調設備の保守・点検を行うことです。新規工事よりも維持管理業務が中心となるため、比較的安定した働き方ができるのが特徴といえます。

年齢を重ねても働きやすい職場環境が整っていることが多く、長期的なキャリアプランを考える上で魅力的な選択肢といえるでしょう。

再生可能エネルギー分野の会社

近年注目されている転職先として、再生可能エネルギー分野の会社があります。

環境問題への関心が世界的に高まる中、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギー施設の建設・管理には、電気工事施工管理技士のスキルと知識が不可欠です。この分野は今後も成長が見込まれており、将来性の高い転職先として注目されています。

再生可能エネルギー分野での具体的な業務内容は以下のとおりです。

• 太陽光発電システムの設置工事の施工管理
• 風力発電設備の電気工事の監督
• 発電設備の保守管理と定期点検
• 電力系統への連系工事の管理
• 省エネルギー設備の設計・施工管理

再生可能エネルギー事業は国の政策的支援もあり、市場規模が拡大し続けています。脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速する中、この分野の専門技術者の需要は今後さらに高まっていくでしょう。

まとめ

2級電気工事施工管理技士は「意味ない」という意見がある一方で、実際には多くのメリットを持つ価値ある国家資格です。

1級への受験資格緩和、主任技術者・専任技術者としての活躍、転職市場での高い評価など、キャリア形成において確実に役立ちます。年収アップやキャリアアップを目指すなら、まずは2級の取得から始めましょう。

建設業界の人材不足が続く中、2級電気工事施工管理技士の需要は今後も高まり続けます。資格取得を検討されている方は、ぜひ積極的にチャレンジしてください。