電気工事の現場に欠かせない電気工事施工管理技士。

令和6年に大幅な試験制度の改定が行われたことでより受験しやすくなり、「受験してみたいけど難易度が気になる」という方も多いでしょう。

当コラムでは電気工事施工管理技士の合格難易度について、例年の合格率や他資格との比較などを通して詳しく解説します。

有効な勉強方法についても併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

電気工事施工管理技士の合格難易度は？

合格率・他資格との比較・受験資格から見た難易度は、1級は難しく2級はさほど難しくない結果となりました。

電気工事施工管理技士の合格難易度について、以下の項目で比較します。

• 合格率から見た難易度
• 他資格と比較した難易度
• 受験資格から見た難易度

合格率から見た難易度

電気工事施工管理技士の例年の最終合格率は、1級で20〜30%・2級で20〜40%ほどです。

1級電気工事施工管理技士

1級電気工事施工管理技士の合格率は例年の合格率は一次検定で35〜50％・二次検定で40〜60％ほどとなっており難易度は「やや高い」です。

	一次検定	二次検定	最終合格率（推定）
令和6年	36.7%	49.6%	18.2%
令和5年	40.6%	53.0%	21.5%
令和4年	38.3%	59.0%	22.6%
令和3年	53.3%	58.8%	31.3%
令和2年	38.1%	72.7%	27.7%

最新の令和6年度試験では一次検定で36.7%・二次検定で49.6%を記録しており、推定値ですが最終合格率は18%程度と考えられます。

1級電気工事施工管理技士は一般の建設現場だけでなく、特定建設業の現場にも専任技術者や監理技術者として就任できる資格です。

大規模な建設現場に責任者として従事できる分、資格取得も容易ではありません。

2級電気工事施工管理技士

2級電気工事施工管理技士の例年の合格率は一次検定で40〜60%・二次検定で60%ほどであり難易度は「普通〜やや高い」といえます。

	一次検定	二次検定	最終合格率（推定）
令和6年	47.5%	51.4%	24.4%
令和5年	43.8%	43.0%	18.8%
令和4年	55.6%	61.8%	34.4%
令和3年	57.1%	68.7%	39.2%
令和2年	58.5%	64.1%	37.5%

最新の令和6年試験では一次検定が47.5%・二次検定が51.4%で、推定される最終合格率は24.4%となります。

2級電気工事施工管理技士は従事できる業務規模に制限があるため、難易度の設定は1級ほどタイトではありません。

一次検定は17歳以上から受験することができ、若年層を含めた多くの人にとって挑戦しやすい試験といえるでしょう。

他資格と比較した難易度

電気工事施工管理技士の難易度を他資格と比較すると下記になります。

• 電験三種：電験三種のほうが難しい
• 電気工事士：電気工事士のほうがやや易しい

電験三種

電験三種（第三種電気主任技術者）と電気工事施工管理技士では、電験三種の方が「難しい」です。

電気工事施工管理技士の最終合格率が20〜40%ほどの一方、電験三種の合格率は15〜20％ほどとよりタイト。

4科目すべてに合格するための科目合格制度が導入されているなど、何年もかけて合格を目指すことが前提の難しい資格といえます。

電気工事士

電気工事士と電気工事施工管理技士では、電気工事士の方が「やや易しい」といえます。

電気工事士の例年の最終合格率は、一種で35%・二種で40%ほど。

筆記試験のほかに技能試験が課されるなど、電気工事の「技術面」に特化した試験です。

一方の電気工事施工管理技士の資格範囲は技術面のみならず「施工管理」にまで及ぶため、試験範囲の広さによって難易度が上がっている可能性があるでしょう。

受験資格から見た難易度

電気工事施工管理技士の受験資格から見た難易度は下記になります。

• 第一次検定：年齢のみなので難しくない
• 第二次検定：実務経験が必要なので難しい

第一次検定

2025年現在、電気工事施工管理技士の第一次検定の受験資格は1級・2級ともに「年齢」のみです。

1級は満19歳以上、2級は満17歳以上で受験可能で実務経験も必要なく、学生でも挑戦できます。

「試験実施年度に満◯歳以上となる者」という規定のため、受験時点で19歳・17歳になっていなくても問題ありません。

例えば、令和7（2025）年度試験を受験できる人は「平成19（2007）年4月1日以前に生まれた人」となります。

第二次検定

第二次検定の受験には1級・2級ともに所定の実務経験が必要なため、初学者や他業種の方にはやや難易度が高いでしょう。

• 一次検定に合格した場合
• 1級の一次検定と2級の二次検定に合格した場合
• 一次検定と第一種電気工事士に合格した場合

など受験者の状況に応じて細かい区分があり、それぞれ1〜5年以上の実務経験が設定されています。

例として、一次検定の合格のみを条件に二次検定に進みたい場合、各級で以下の実務経験が必要です。

【1級二次検定（区分1）】

• 実務経験5年以上
• 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
• 監理技術者補佐としての実務経験1年以上

【2級二次検定（区分1）】

• 実務経験3年以上

出典：令和7年度 1級 電気工事施工管理技士検定のご案内
出典：令和7年度 2級 電気工事施工管理技士検定のご案内

電気工事施工管理技士に合格するためには？

電気工事施工管理技士に合格するためには適切な勉強時間を確保し、通信講座・講習会等を活用することをおすすめします。また過去問を繰り返し復習することで独学での合格も可能です。

電気工事施工管理技士の合格に必要な勉強時間を確保する

電気工事施工管理技士の合格までに必要な勉強時間の目安は200時間ほどとされています。

試験日から逆算して無理なく勉強時間を確保できるスタート時期を見極め、少しずつでも確実に知識を深めましょう。

学習期間による1日分の学習時間の目安は以下の通りです。

• 1か月：200時間÷30日＝約6時間30分／日
• 3か月：200時間÷90日＝約2時間10分／日
• 6か月：200時間÷180日＝約1時間5分／日

実際に必要な勉強時間は前提知識や経験の有無、学習以外のスケジュールにも左右されます。

初学者や多忙な方の場合は3か月以上前から勉強を始めれば、ある程度余裕をもって合格を目指せるでしょう。

学習を進める

勉強時間を確保したら通信講座・講習会を活用するか、独学で勉強を進めます。

• 通信講座
• 講習会
• 独学

通信講座を受講する

通信講座の受講は、学習効率やサポートの面で優れた学習方法といえます。

専用のカリキュラムや教材を提供してもらえるため、初学者や未経験者の方には特におすすめ。

質問制度が導入されている講座であれば、疑問点もすぐに解消できます。

電気工事施工管理技士試験では記述式の問題も出題され、単純な暗記だけでは対策しきれません。

通信講座では添削指導を受けることができるため、「作文は苦手・書き方がわからない」といった方でも自信をつけられるでしょう。

なかには、受講生の状況に応じた学習スケジュールを組んでくれる通信講座も。

自分では計画が立てにくい場合は相談してみるとよいでしょう。

講習会へ参加する

自宅ではモチベーションが続かない・一気に知識をつけたいといった場合は、講習会への参加を検討してみましょう。

地域の工業組合や資格系の研修センター、予備校などで随時実施されており、会場・WEBなど受講形態が選べることもあります。

数日間の講義プログラムで短期的に知識を習得する学習方法のため、学習期間を短く抑えたい方におすすめです。

ただし、受講終了後は自力で学習を進める必要があるなど、サポート面ではやや手薄といえます。

独学で学習する

独学で学習を進める場合、スケジューリングや勉強のタイミング調整などはすべて自分の裁量で行う必要があります。

すでに受験を経験している方や電気業界である程度経験がある方であれば、独学で必要な部分だけを重点的に学習してもよいでしょう。

独学では教材も自分で選べるため、新しいテキストや参考書が必要なければ学習コストを抑えることができます。

一方、初学者や未経験者は教材の選択からつまずく可能性が高いため、初期投資を惜しまず通信講座や講習会を利用した方がよいでしょう。

教材代を抑えようとして適当にテキストを選んだ結果、時間をかけてもうまく勉強が進まないという事態もあり得ます。

自分に合うものを探して何冊も教材を買い込み、最終的な出費が通信講座と変わらなくなってしまう可能性もあるでしょう。

まとめ

当コラムでは、電気工事施工管理技士の取得難易度について以下の内容で解説しました。

• 電気工事施工管理技士の例年の最終合格率は、1級で20〜30%・2級で20〜40%ほどと推定できる。難易度としては、1級は「やや高い」・2級は「普通〜やや高い」。
• 電験三種・電気工事士と比較すると、難しい順に電験三種＞電気工事施工管理技士＞電気工事士。
• 試験フェーズごとの受験資格では、一次検定は年齢制限のみのため学生でも挑戦できる。二次検定は一定以上の実務経験が求められるため、初学者や業界未経験者にとってはやや難しい。
• 電気工事施工管理技士合格に必要な勉強時間の目安は200時間ほど。半年間の学習期間を取れば、1日約1時間の学習で取得を目指せる。

電気工事施工管理技士は電気系の国家資格の中では中程度の難易度で、高校生から挑戦できる資格です。

二次検定の受験には一定以上の実務経験が必要などハードルが高い部分もありますが、適切な勉強方法を選べば合格は難しくありません。

特に初学者・未経験者であれば、通信講座を利用した学習がおすすめ。

効率のよいカリキュラムと学習サポートによって、知識ゼロからでも無理なく合格を目指せるでしょう。