今回は、大阪教育大学で准教授を務めている尾崎拓郎先生へインタビューを行いました。

高校教員から大学教員へと進まれた歩みや、学習管理システムに残る学習ログから学習者の学習行動を分析する研究、大阪教育大学の次世代教育専攻・ICT教育コースならではの学びについてお話しいただいています。

先生が現在の専門分野・研究テーマを選ばれたのは、どのようなきっかけがありましたか?

私はもともと高校教員を志望しており、教員養成大学に入学しました。情報技術に興味関心があり、ユーザーのアクションに応じてシステムが応答するWebシステムの構築や運用を行っていました。

その経験もあり、大学院生のときには学習管理システムの運営に携わる取組をさせていただきました。この経験が、今の研究テーマにつながっています。

具体的には、学習管理システムで取得できる様々な学習ログがあるのですが、そのログの組み合わせによって、学習者の学習行動改善ができるのではないかと考えて、今もそのような研究を行っています。

研究者・教育者を志されたのはいつ頃でしょうか?そのきっかけとなった出来事や人物がいれば教えてください。

私はもともと高校教員を志望していたこともあり、大学院修士課程を修了後、高校教員として教壇に立っていました。その経験を踏まえて、情報通信技術を活用した教育の改善により強く携わってみたいと思ったことが、大学教員を志したきっかけです。

とくに、大学院修士課程のときにお世話になっていた先生が大学の情報処理センターの専任教員であり、情報通信技術を活用した大学の情報システムの構築や運用に携わっていたことや、教育の情報化を推進していこうとしていた黎明期に私自身が大学院生ながらもその推進に微力ながら参画していたこともあり、そこでの経験を活かして、社会に還元したいという気持ちもあって、今の業務に至ります。

現在取り組まれている研究テーマについて、高校生にもわかりやすくご説明いただけますか?

学習管理システムから得られた記録(テストの点数や課題の提出日時、資料の閲覧記録等)から学習者の学習行動を分析し、学習者のどのような学習行動によって、学習効果の大小への影響を観察することを行っています。

たとえば、繰り返しチャレンジ可能なオンラインテストがあって、それを多くこなしたほうがテストの点数も良くなりそうという直感的な関係がありますが、それに加えて、そのオンラインテストにチャレンジする時期の違いによる学習効果の影響等を、記録をもとに分析するような取組を行っています。

その研究は、私たちの社会や日常生活とどのようにつながっていますか?

「たくさん勉強すればそれだけ学力が定着する」ことはなんとなく直感的にわかりそうなものですが、その勉強の程度や時期によって差が出ることが実証実験から明らかになっています。

そのため、少しでも勉強する時間を確保して学びに向かう姿勢を確保することで、学力定着につながるような学習行動の促進につなげていきたいと考えています。

研究を進める中で、最もやりがいを感じる瞬間はどのような時ですか?

研究を行う上で、「研究の問い」を立て、それを解いていくために「このデータを組み合わせたらきっとこんな結果がでてくるはずだ」という仮説を立てて実証していくという手続きを踏んでいくのですが、その見通しがぴったりハマったときには、ものすごくやりがいを感じます。

ただし、なかなかそんなに簡単にはいかず、正反対の結果や、結果が出たとしても解釈に悩むことも多いです。

試行錯誤の繰り返しの中で、得られた結果から言えることは何かを、順を追って紐解いていきます。

貴学部では、どのような学びができますか?他大学にはない独自の強みや特色もあわせてお聞かせください。

予測困難な時代の中、ICTの活用が学校を支える基盤として必要不可欠なものになりました。

そのような背景もあり、最先端のICTを活用できる知識と素養が身に付けられるカリキュラムを設定しており、情報教育の素養を深く持つ教員輩出につながる学びを提供します。

専門の演習室の活用や、学校現場へのフィールドワークやインターンシップ、教育実習を通じて、大学で学んだ理論を在学中に教育現場で実践して、理論と実践を備えた教員養成を行っています。

先生の授業やゼミでは、学生にどのようなことを大切にしてほしいと考えていますか?

大学生になると、高校以上に自分で自由に過ごせる時間が増えます。ただし、「自由」は「自己責任」の裏返しです。

学ぶ意欲がある学生はどんどん成長しますし、他のことに興味関心があればそちらに時間を注ぐこともできます。

基本的には、学生の「知りたい」「やってみたい」気持ちを尊重し、その意欲を確実な力として引き延ばすサポートを行うことを心がけています。

貴学部に在籍する学生の特徴や雰囲気を教えてください。どのような学生が多いですか?

本学は教員養成大学であり、教師志望の学生が全国から集まります。大学としては単科大学でありながら、学科やコースを横断した学生が一同に集い、多様な意見を交わす授業が多くあります。

そのため、様々な考え方に触れながら、目指すべき教員像とは何かについて深く考えることができます。

また、専攻やコースの人数も少人数で、専攻・コース内での学生らの仲がとても良く、一致団結してひとつの目標に向かっていく力強い絆があります。

貴学部への進学を考えている高校生に対して、今のうちに経験・学習しておくとよいことはありますか?

学校教育におけるICT活用は日進月歩です。近年ですと、GIGAスクール構想、教育DX、生成AI等、数年前には耳にしなかったキーワードが次々と出てきています。

そのため、いちはやく情報通信技術のトレンドをキャッチしておく必要があります。日頃からの新聞やニュースで、「教育とICT」の分野には目を通しておくことをおすすめします。

また、普段学校で利用しているICT機器やシステムの活用について、生徒側の利用視点に加えて、「先生たちがどう使っているのだろう?」「どうやったら便利に・効率的に活用できるのだろう?」といった視点を持ってみてもらいたいです。

また、そのような技術がどのように社会に役に立っているのかといった視点を広く持ってみてほしいです。

進路選択に迷っている高校生へ、メッセージをお願いします。

大学はみなさんの「知りたい・学びたい・究めたい」といった興味関心を最大限に深めてくれる場所です。

本学の次世代教育専攻・ICT教育コースでは、その名の通り、次世代の教員養成を行うべく、専門の実習室やカリキュラムを整えて、理論と実践を備えた教員輩出を行っています。

本学で、ぜひ最先端の知識や技術を身に付けた先生を目指しましょう。