今回は、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部グローバル経営学科で教授を務めておられる大原達朗先生へインタビューを行いました。

公認会計士・経営者として実務の第一線に立ち続けてこられたご経験や、不確実な状況でよりよい判断を下すための「判断OS」という研究テーマ、100%オンラインで学ぶビジネス・ブレークスルー大学ならではの学びについてお話しいただいています。

先生が現在の専門分野・研究テーマを選ばれたのは、どのようなきっかけがありましたか?

私の専門分野は、会計・ファイナンス、M&A、企業経営です。

大学卒業後は公認会計士として監査法人に勤務し、企業の監査や株式上場支援、M&Aに関する調査などに携わりました。

その後独立し、自ら会社や業界団体を立ち上げるとともに、複数の企業で経営やガバナンスに関わってきました。

こうした経験を通じて感じたのは、会計やファイナンスは単なる計算技術ではなく、経営者が意思決定をするための道具だということです。

同じ数字を見ても、置かれた状況や目的によって判断は変わります。

そこで、数字を正しく理解するだけでなく、それをどのように経営判断や行動につなげるかを考えるようになりました。

研究者・教育者を志されたのはいつ頃でしょうか?そのきっかけとなった出来事や人物がいれば教えてください。

最初から教育者を目指していたわけではありません。

公認会計士として実務に携わり、独立後に企業経営やM&Aの現場を経験する中で、自分が学んできたことを体系化して伝える機会が増えていきました。

2008年頃から大学院で教えるようになり、2010年からビジネス・ブレークスルー大学で本格的に教育に携わっています。

実務では、正解が最初から用意されていることはほとんどありません。

限られた情報の中で仮説を立て、自分で判断し、その結果に責任を持つ必要があります。

その力を学生に身につけてもらいたいと思ったことが、教育に力を入れるようになった大きなきっかけです。

現在取り組まれている研究テーマについて、高校生にもわかりやすくご説明いただけますか?

現在は、企業や人が不確実な状況でどのように判断し、行動すべきかを研究しています。

私はこれを「判断OS」と呼んでいます。

例えば、企業が新しい事業を始めるとき、将来必ず成功するかどうかは誰にも分かりません。

それでも、経営者は決断しなければなりません。

その際には、まず何を目的とするのかを明確にし、置かれている制約を確認し、複数の選択肢を比較します。

さらに、「どのような状態になれば成功なのか」「どの時点で撤退するのか」という出口、つまりExitも考える必要があります。

実際の企業事例や財務データ、M&A事例などを分析しながら、正解のない問題に対してよりよい判断をするための方法を考えています。

その研究は、私たちの社会や日常生活とどのようにつながっていますか?

判断は、経営者だけが行うものではありません。進学先を選ぶ、就職先を決める、何に時間やお金を使うかを考えることも、すべて判断です。

私たちは、つい他人の評価や「一般的な正解」に頼ってしまいます。

しかし、他人にとって正しい選択が、自分にとっても正しいとは限りません。

AIが多くの答えを提示してくれる時代になるほど、「何のためにそれを行うのか」「最後に決めるのは誰か」が重要になります。

私の研究は、企業経営だけでなく、一人ひとりが自分の人生を選ぶことにもつながっています。

研究を進める中で、最もやりがいを感じる瞬間はどのような時ですか?

それまで別々に見えていた問題が、実は同じ構造を持っていると分かった瞬間です。

企業のM&A、国の政策、大学教育、個人の進路選択は、まったく違うテーマに見えます。

しかし、目的を決め、制約を確認し、選択肢を比較し、成功のExitを考えるという点では共通しています。

その構造を見つけ、自分なりの言葉で説明できたときに、学ぶことの面白さを感じます。

また、学生が私の説明を覚えるだけでなく、自分自身の問題に応用し、実際に行動を変えたときにも大きなやりがいを感じます。

貴学部では、どのような学びができますか?他大学にはない独自の強みや特色もあわせてお聞かせください。

ビジネス・ブレークスルー大学経営学部では、会計、ファイナンス、マーケティング、経営戦略、IT、英語、リーダーシップ、問題解決など、経営に必要な分野を基礎から実践まで一貫して学ぶことができます。

大きな特色は、100%オンラインで学べることと、企業経営者やコンサルタントなど、実務の第一線で活動する教員が多いことです。

学生も10代から社会人まで幅広く、異なる業種や経験を持つ人たちが一緒に学びます。

授業では知識を覚えるだけではなく、「あなたが経営者ならどうするか」という正解のない問題を扱います。

オンライン上の議論を通じて、自分の考えを言葉にし、他の学生の意見と比較しながら、考えを深めていきます。

AIから答えを得ることは簡単になりました。

だからこそ、ビジネス・ブレークスルー大学では、自分で問いを立て、AIも活用しながら、最後は自分で判断して実行する力を重視しています。

先生の授業やゼミでは、学生にどのようなことを大切にしてほしいと考えていますか?

私が大切にしているのは、教員やAIが示した答えをそのまま受け入れないことです。

まず自分で仮説を立て、その仮説が本当に正しいのかを、数字や事実を使って検証してほしいと思っています。

同時に、仮説が間違っていると分かったときには、無理に守ろうとせず、考えを修正する姿勢も重要です。

授業では、結論そのものよりも、「何を目的としたのか」「どのような前提で考えたのか」「なぜその選択肢を選んだのか」を重視しています。

議論して終わるのではなく、最後に何を実行するのかまで考えてもらいます。

貴学部に在籍する学生の特徴や雰囲気を教えてください。どのような学生が多いですか?

ビジネス・ブレークスルー大学には、高校を卒業してすぐ入学する学生だけでなく、仕事をしながら学ぶ社会人、経営者、海外在住者など、多様な学生が在籍しています。

年齢や職業、生活する地域が違うため、一つの問題に対してもさまざまな意見が出ます。

高校を卒業したばかりの学生の素直な疑問が、経験豊富な社会人の考えを変えることもあります。

一般的なキャンパスのように毎日同じ場所に集まるわけではありませんが、オンライン上では年齢や立場にかかわらず、考えの中身を中心に議論できます。

自分から発言し、他者の意見を受け止める学生ほど、多くのものを得られる環境です。

貴学部への進学を考えている高校生に対して、今のうちに経験・学習しておくとよいことはありますか?

特定の専門知識を先取りすることよりも、世の中で起きていることに関心を持ち、「なぜそうなっているのか」を自分で考える習慣を身につけてほしいと思います。

ニュースを読んだときにも、内容を覚えるのではなく、「自分が経営者や当事者だったらどうするか」を考えてみてください。

そして、最初から正しい答えを出そうとせず、まず自分の仮説を言葉にしてみることが大切です。

文章を書くこと、数字を読むこと、人の話を聞くことも重要です。AIは積極的に使って構いません。

ただし、AIの回答をそのまま自分の答えや考えとせず、事実を確認し、自分が納得できるまで考えてください。

進路選択に迷っている高校生へ、メッセージをお願いします。

高校生の段階で、将来の目標や進むべき道が明確に決まっていなくても問題ありません。

私自身も、最初から現在の仕事や立場を目標にしていたわけではありません。

大切なのは、誰かに正解を決めてもらうことではなく、その時点で得られる情報を使って自分で判断し、実行してみることです。

うまくいかなければ、そこで得た経験を使って次の判断をすればよいのです。

大学は、すでにある答えを覚えるだけの場所ではありません。

自分で問いをつくり、異なる考えを持つ人と議論し、自分の判断基準を育てる場所です。

進路選択は、人生を一度で決める最終決定ではありません。

自分で選び、行動し、必要に応じて選び直す。その積み重ねが、やがて自分の道になります。