総合型選抜(旧AO入試)の課題レポートは、論理的に構成すれば評価されやすい書類です。

書き方がわからず悩む受験生も多いですが、ポイントを押さえれば十分な対策を行えるでしょう。

本コラムでは、課題レポートの基本から具体的な書き方、注意点までを例文付きで解説します。

課題レポートの書き方で迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

総合型選抜(旧AO入試)の課題レポートとは?

総合型選抜(旧AO入試)の課題レポートとは?

課題レポートとは、与えられたテーマや問いに対し、調査・分析にもとづいて自分の考えを論理的にまとめた文書です。

大学が総合型選抜で課題レポートを課す目的は、学びへの姿勢や能力を確認するためです。

学力試験の点数では見えにくい、思考力・分析力・表現力を確認する手段として活用されています。

課題レポートで評価される主な能力は、以下の通りです。

  • 問いの本質を正確に読み取る読解力
  • データや事実を根拠に自分の主張を組み立てる論理的思考力
  • 読み手に伝わる文章を構成する表現力

これらの能力は、大学での研究で求められる力と直結しています。

つまり、課題レポートは「研究への適性」を測る手段といえるでしょう。

課題レポートと混同されやすい書類として、小論文と志望理由書があります。

それぞれの違いは、以下の通りです。

書類主な目的書き方の特徴
課題レポート研究・探究力の評価問いへの答えを根拠とともに論証
小論文論理的思考・表現力の評価テーマへの意見を論理的に展開
志望理由書志望動機・人物像の評価自己の経験や目標を記述

小論文はテーマに対する意見を論理的に展開する書類であり、志望理由書は、自身の経験や目標をもとに志望動機を伝える書類です。

一方、課題レポートは調査やデータ収集を前提とし、客観的な根拠を用いて主張を組み立てる必要があります。

感想中心の文章では評価されにくく、論証の過程が重視される点が特徴です。

また、課題レポートは、主に2つの形式に分類されます。

1つ目は、出願前に自宅などで作成して提出する「提出型」、2つ目は入試当日に大学の講義を受講した後でその場で書く「会場型」です。

提出型は事前にテーマが与えられるため、調査やデータ収集を十分に行えます。

会場型は、当日の講義内容にもとづいてレポートを作成する形式です。

課題レポートの字数は、2,000〜3,000文字程度が一般的です。

ただし、大学や学部によって異なり、理系学部では1,000文字前後、文系の一部学部では4,000文字を超える場合もあります。

提出時期は大学によって異なりますが、出願書類と同時提出が求められるケースが多いでしょう。

総合型選抜の課題レポートの書き方

総合型選抜の課題レポートの書き方は、以下の通りです。

書き出しで「答えるべき問い」に答える

総合型選抜の課題レポートでは、書き出しで答えを明示することが重要です。

冒頭で「この課題で自分が答えるべき問い」を宣言することで文章の方向性が伝わり、論理的な印象を与えられるでしょう。

書き出しのNG例とOK例は、以下の通りです。

【NG例:背景説明から始めてしまうケース】

「近年、AI技術は急速に発展しており、さまざまな産業での活用が広がっています。そのような背景を踏まえ、本レポートではAI技術の課題について考えていきたいと思います。」


【OK例:問いを先に宣言するケース】

「本レポートで答えるべき問いは、『AI技術が雇用に与える負の影響をどう緩和すべきか』である。現状のデータを踏まえると、最も有効な解決策はリスキリング支援の制度化だと考える。」

NG例の書き方は主張したい内容が不明確であり、結局何が言いたいのかが伝わりにくくなっています。

対して、OK例では問いと答えの両方が冒頭で示されており、本論に至る道筋が明確です。

このように、書き出しで問いを宣言することで、論理的に整理された印象を与えられます。

総合型選抜のレポートでは「結論ファースト」の書き方ができているかが評価の分岐点になるでしょう。

主張を裏付けるデータや文献を先に集める

課題レポートを書く際は、自分の主張を支える根拠を準備しましょう。

まず自分の意見を準備し、次に意見の裏付けとなるソースを準備すると良いでしょう。

準備段階から上記の流れを意識することで、感想文ではなく論証型のレポートに仕上がります

具体的なソースの種類と探し方の目安は、以下の通りです。

  • 統計データ:政府の白書や省庁の統計ページを「テーマ名+統計」で検索
  • 新聞記事:電子版・デジタル版の新聞記事で「テーマ名+最新動向」を検索
  • 書籍・論文:図書館のデータベースやデジタルコレクションを活用
  • 学術論文:CiNii(サイニィ)にテーマの専門用語を入力する

データを集める際は「自分の主張のどの部分を裏付けるためのデータか」を先に明確にしておくことが肝心です。

やみくもに情報を集めると本論が散漫になり、採点者に論旨が伝わりにくくなります。

また、会場型(講義受講型)の場合は事前に資料を準備できません。

講義の内容を聞きながらメモをとり、重要なポイントを整理しておきましょう。

「講義者の主張」「根拠として示されたデータ」「自分が感じた疑問点」の3点を整理することで、レポート執筆に必要な材料を確保できます。

引用元と自分の考えを明確に区別して書く

課題レポートは、引用元と自分の考えを区別して書く必要があります。

両者が混在した文章は減点の対象となるため、注意しましょう。

事実と意見が混ざった文章の例と、修正する方法は以下の通りです。

【事実と意見が混ざった文章の例】

「厚生労働省のデータでは、若者の就業率は○○%に達している。この問題は社会全体で解決しなければならない。」

上記の文章は後半部分が主観的な断定表現であり、根拠なしに自分の意見が記述されています。

このような文章を修正するためには、以下のような表現を取り入れると良いでしょう。

  • 引用を示す表現:「○○によれば〜」「XXの統計では〜」
  • 自分の意見を示す表現:「これを踏まえて私は〜と考える」「以上の点から、私は〜と判断する」

修正後の文章は、以下の通りです。

【修正後】

「厚生労働省のデータによれば、若者の就業率は○○%に達している。このデータが示す就業率の低さは、教育と雇用の接続機能が十分でないことを示唆していると私は考える。」

修正後の文章は引用と自分の考えが明確に区別されており、主張の根拠がはっきりと伝わります。

「事実の記述」と「自分の意見」が混在しないよう、書いた後に一文ずつ確認する習慣をつけましょう。

文末の参考文献リストは本文中の引用と対応させる

課題レポートでは、文末の参考文献リストと本文中の引用を対応させましょう。

参考文献の記載は、引用のルールを守ることで初めて評価されます。

本文中で引用した文献は、必ず文末の参考文献リストに記載されている必要があります。

また、本文で一切触れていない文献をリストに並べるだけでは適切な引用とは見なされません。

文末に記載する参考文献リストの基本的なフォーマットは、以下の通りです。

【書籍の場合】

著者名(出版年)『書名』出版社名.
例:山田太郎(2022)『AI時代の雇用問題』○○書房.


【ウェブサイトの場合】

著者名または組織名(更新年または閲覧年)「ページタイトル」URL,閲覧日:○○○○年○月○日.
例:厚生労働省(2023)「若者の雇用に関する統計」https://www.○○/○○,閲覧日:2024年9月1日.

本文に著者名や出版年を記載した場合は、必ず文末のリストにも同じ文献が含まれているかをチェックしましょう。

総合型選抜の課題レポート出題例

総合型選抜における課題レポートの出題例は、以下の通りです。

総合型選抜の課題レポート出題例

文教大学 国際学部

以下の3つの課題図書の中から選んだ本を読み、2000字程度のレポートを書いてください(1期)。

  • a) 本田由紀『「日本」ってどんな国?国際比較データで社会が見えてくる』(筑摩書房、2021年)[ちくまプリマー新書]
  • b) 平賀緑『食べものから学ぶ世界史――人も自然も壊さない経済とは?』(岩波書店、2021年)[岩波ジュニア新書]
  • c) 久保田竜子『英語教育幻想』(筑摩書房、2018年)[ちくま新書]
引用:文教大学 総合型選抜対策講座②

東京女子大学 文理学部

アニメ、マンガにかぎらず 20 世紀のサブカルチャーはどれも、女性や子供=「おんなこども」、アフリカ系市民=「黒人」、若者=「半人前」の文化などが、商品化され、消費されるようになったことで生まれた。

これを、アニメ、マンガが広く享受され、さらに「オタク文化」が創られていったことを例にして説明した。

結果として、「ヘン」と差別されていたものが価値づけられ、「ふつう」に享受されるようになったことがポイントである。社会科学における対抗文化論、資源動員論、価値創造論などと関連づけて、サブカルチャーを説明する試みである。

出題の意図は、サブカルチャーの背景としての工業化、商業化、消費社会を見据え、多様な価値を尊重することの大切さとリスクを自分のことばで考えて議論を深めることができるかであった。

講義の要点を自分のことばで整理し、400 字程度でまとめなさい。

引用:知のかけはし入学試験 過去の出題内容

まとめ

総合型選抜の課題レポートは、問いに対する結論を明確に示し、根拠のある理論を展開することが重要です。

書き出しで問いと答えを提示し、データや文献で主張を補強することで、説得力のある文章に仕上がるでしょう。

また、引用と自分の意見を区別し、参考文献と本文の対応関係を整えることも重要なポイントです。

本コラムを参考に十分な事前準備を行い、課題レポートの完成度を高めていきましょう。