医学部受験で多浪は不利?3浪4浪5浪から合格を目指す3つのポイント
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大学入試において合格難易度が最も高い学部のひとつが医学部です。
本コラムでは、医学部合格を目指して複数年の浪人をする、いわゆる「多浪」について紹介します。
「多浪からでも医学部への合格は可能?」
そんな疑問を解決して、多浪からの医学部合格を掴み取るための知識を蓄えていきましょう。
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医学部は多浪してしまう人も多い
医学部受験は難易度が非常に高く、各学部の中でも最難関とされています。
そのため、多浪する受験生は非常に多いのが実情です。
例年の多浪生の割合を、全医学部の年齢別受験者数データから確認してみましょう。
公開されている最新年度より過去4年間の推移を確認します。
■全医学部における各年度の年齢別受験者数と年齢別割合
18歳 | 19歳 | 20歳 | 21歳 | 22歳以上 | |
2018年度 | 37,634名 | 36,353名 | 20,230名 | 10,247名 | 20,709名 |
2017年度 | 37,224名 | 35,779名 | 20,192名 | 9,937名 | 22,085名 |
2016年度 | 36,488名 | 35,909名 | 19,661名 | 10,612名 | 21,839名 |
2015年度 | 36,687名 | 33,891名 | 20,510名 | 10,624名 | 21,506名 |
年齢別割合(平均)※ | 30.8% | 29.6% | 13.0% | 8.6% | 17.9% |
※小数点第2位を四捨五入
考察にあたっては以上の受験者数データのうち18歳を現役生、19歳を1浪、20歳を2浪、21歳を3浪、22歳以上を4浪以上と考えます。
医学部受験者のうち現役生は30.8%と、3名に1名以下に留まっています。
1浪生についても29.6%となっており、現役生と合わせても全体の60.4%です。
つまり、複数年の浪人をする多浪生が受験生全体の約4割もいると考えられます。
医学部合格のために多浪を選択する浪人生は非常に多いことが理解できます。
医学部受験で多浪生は不利?
続いては、多浪して合格することの難易度について整理します。
多浪して医学部に合格するのは難しいのか、実際に合格している多浪生はいるのかなどを確認していきましょう。
①成績は伸びるものなのか?
多浪をすることで成績が伸びるかどうかは、受験生次第というのが結論です。
つまり、多浪して成績を伸ばしている多浪生も存在していると言えます。
全医学部の中で東京大学、京都大学、慶応義塾大学に次ぐ偏差値70.0-72.5を誇る「産業医科大学医学部」を例に挙げ、合格者内訳を確認してみます。
■産業医科大学医学部合格者の現役・浪人内訳
現役 | 1浪 | 2浪 | 3浪 | 4浪以上 | |
2023年度 | 38名 | 48名 | 23名 | 4名 | 10名 |
2022年度 | 40名 | 51名 | 22名 | 5名 | 8名 |
2021年度 | 26名 | 63名 | 23名 | 16名 | 9名 |
参考:産業医科大学 入試データ
毎年、3浪以上の受験生が一定数合格を勝ち取っていることが読み取れます。
最上位の医学部への合格を掴んだ多浪生には、現役時代や1〜2浪時代に比べて成績を伸ばした受験生が一定数含まれていると考えられます。
誰もが浪人を重ねるほど成績が伸びるわけではありません。
しかし、医学部合格に向けた適切で十分な対策を行うことで、多浪して成績を伸ばすことは十分に可能と言えます。
②3浪や4浪5浪など多浪で合格する人の割合は?
多浪して医学部に合格した受験生の割合は、全医学部の合格者データから確認できます。
■全医学部における各年度の3浪以上の多浪生合格者数と合格率
21歳(3浪) | 22歳以上(4浪以上) | |||
合格者数 | 合格率 | 合格者数 | 合格率 | |
2018年度 | 769名 | 7.5% | 983名 | 4.7% |
2017年度 | 757名 | 7.6% | 1,089名 | 4.9% |
2016年度 | 820名 | 7.7% | 1,232名 | 5.6% |
2015年度 | 822名 | 7.7% | 1,234名 | 5.7% |
※合格率は小数点第2位を四捨五入
例年、3浪や4浪以上で医学部合格を掴み取る受験生は一定数いることが読み取れます。
また、それぞれの受験者数に対する合格者数の割合にも一定の傾向が見られます。
3浪生の合格率は7.5%程度、およそ14名に1名です。
4浪以上では5.0%前後、およそ20名に1名の割合で医学部に合格しています。
決して高い割合ではないものの、多浪して合格する受験生は毎年少なからず医学部への進学を果たしていると結論付けられます。
③多浪だと受験に不利にならないか?
多浪すること自体が医学部受験で不利になることはありません。
ただし、多浪生の合格実績が少ない大学はいくつかあります。
国公立大学医学部では京都大学や筑波大学など、私立大学医学部では慶応義塾大学や東京慈恵会医科大学などで多浪生の合格率が例年低くなっています。
これまでの多浪生の合格者数や割合を参考にして志望校選びを行うことがポイントです。
④医学部受験で女性は不利?
医学部受験で女性が不利とされるケースが過去には存在していましたが、最近ではこのような差別は大きく批判され、多くの大学が性別に基づく差別を撤廃する方向に進んでいます。
性別によるバイアスが完全になくなったわけではないですが、 近年女性の医学部の合格者数が増加していることから、性別による不利益は少なくなってきていると言えるでしょう。
医学部受験で多浪してしまう人にありがちな原因
続いては、医学部受験で合格を掴めず多浪してしまう原因を整理します。
①学力アップにつながる勉強法を実施できていない
勉強時間を十分に確保しているにもかかわらず、思うように学力が伸びないというパターンは非常に多いです。
せっかくの勉強時間も、医学部受験において得点に直結する学力をつける勉強法ができていないと非効率になってしまいます。
勉強の「量と質」いずれも十分に担保できて、初めて医学部合格という高い目標に到達することができます。
②独自の理論に頼りすぎている
浪人生として受験勉強の期間が長くなると、入試の法則性を掴んだ気になりやすくなります。
「こういった問題は出づらい」「この単元は優先度が高くない」といった、独自の考えや価値観が無意識にできあがっていくことがあります。
医学部に精通した先生や講師のアドバイス、過去問を何年ぶんも解いて感じた傾向など、根拠が明確であれば問題はありません。
しかし、根拠がない理論は自分の苦手科目・単元から逃げるために生まれてしまうことが非常に多いです。
医学部合格を目指して必死に努力しなければならない現実を受け止めて、経験豊富な先生や講師からのアドバイスに耳を傾けることで解消されます。
③自力に頼りきっている
医学部合格のためには、個別学力検査や二次試験で必須になる面接対策が欠かせません。
また、科目学習においても記述対策が必要になりますが、いずれも自分だけでやっているととても非効率になってしまいます。
多浪すればするほど必要になるのは、客観的な視点でのアドバイスです。
全ての対策を自力でやってしまうのではなく、自力でやれる部分と、誰かに助けてもらう部分を明確に理解したうえで受験勉強をスケジューリングすることがポイントです。
医学部受験の多浪から合格するためのポイント
本章では、多浪から医学部合格を達成するためのポイントを3つ紹介します。
合格するまでの道のりを明確にして、モチベーションを高めていきましょう。
①「合格できなかった理由」を緻密に分析する
とにかく量をこなすことも大切ですが、多浪の場合は勉強時間の質を高めることが最優先です。
これまで合格できなかったという事実には、必ずいくつかの理由が存在しています。
単純な実力不足や面接でのミスという表面的な理由より、さらに深い理由を探ってみてください。
「長文読解に時間がかかりすぎて、答案作成後に見直しができなかった」
このケースは英語の速読・精読力が医学部レベルに達していないということです。
「小論文で結論をうまく整理できないまま提出してしまった」
このケースでは、小論文の対策不足が考えられます。
不合格になった理由をしっかり受け止め、次の受験までに必要な対策を綿密に設定することからスタートしましょう。
これまでの努力を無駄にせず、さらに実力を上乗せして医学部に合格できるよう、理由の分析をじっくり行ってください。
②先生・講師から積極的に指導を受ける
多浪すればするほど、同じ境遇の仲間も減っていきます。
そのため、現役や1浪のときよりも気軽に受験相談をできる仲間も少なくなりやすいです。
だからこそ、意識的に先生・講師からの指導を受けるようにしてください。
科目に関する質問はもちろん、面接練習や小論文の添削も、プロから指導を受けることで成長スピードが加速します。
また、第三者との定期的なコミュニケーションがあれば、学習スケジュールの方向性の検討や進捗管理もしやすくなります。
医学部受験のプロである先生・講師からの指導を真摯に受け止める姿勢を維持してくださいね。
③オンライン予備校を活用する
勉強の質を高めることができれば、あとは勉強時間を十分に確保することが大切です。
オンライン予備校を活用すれば、移動時間を気にする必要がなく、質の高い勉強を行うことができます。
また、場所を問わない全国各地の多浪生の指導実績があることから、多浪ならではの合格戦略をサポートしてもらえるのがオンライン予備校のメリットの一つです。
医学部の多浪まとめ
本コラムでは、医学部合格を目指す多浪について紹介しました。
医学部を目指す多浪生は少なくないこと、そして多浪を経て合格を勝ち取る受験生が一定数いることが分かりました。
これまで積み重ねた勉強の集大成を発揮できれば、多浪からの医学部合格は可能です。
多浪から合格するために必要なポイントを理解して、医学部入学に向けたスタートを切りましょう。
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▶資料請求して特典を受け取るこの記事の監修者 山崎 敬太
筑波大学人間学群心理学類 卒業。
大学卒業後、英語講師として、難関大・医学部・看護学部・看護学校の志望者計300名以上に指導経験をもつ。
その後、小中高生向けキャリア教育事業の施設長として、生徒やご家族へ進路の相談援助を実施。
現在は医学部・看護学部・看護学校受験向けメディアのライターとしても活動中。
医学部や看護学部・看護学校の受験生に向けて、役立つ入試情報等を発信。