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行政書士試験コラム | 行政書士の仕事

行政書士とは - 行政書士の仕事

 数年前,行政書士を主人公にした漫画やテレビドラマが大ヒットしたこともあって,最近では「行政書士」という資格の名前は,多くの人が知るようになりました。しかし,では行政書士とは一体どんな仕事をする資格(職業)なのかということになると,「役所に提出する書類を作成する仕事らしい」といった感じで,抽象的・断片的にしか知らない人がほとんどではないでしょうか?

行政書士の仕事

1 役所に提出する許認可等の申請書類の作成と提出手続の代理

 ビジネスを始めるためには,あらかじめ国や自治体から許可・認可を受けなければならないという業種は,とてもたくさんあります。たとえば,建設業,運送業,バーや居酒屋・ゲームセンターなどの風俗営業,タクシー,旅館・ホテル,廃棄物処理,リサイクルショップなど挙げたらきりがないほどです。
また,ビジネス以外でも,たとえば日本にいる外国人が在留資格(VISA)を更新・変更したり,日本に帰化したりする場合も国の許可が必要,農家が自分の農地を農業以外の目的に使用する場合にも許可が必要です。

 皆さんも「規制大国 日本」という言葉を聞いたことがあると思いますが,このように許認可が必要な事項というのは,日本には1万以上あるといわれており,その全てで許認可を受けるための申請書や申請書に添付する書類が必要です。そして,依頼人に代わってこれらの書類を作成したり,申請したりするのが行政書士の仕事です。

 そして,この仕事は行政書士の「独占業務」,つまり法律で認められた場合を除いて,行政書士の資格を持っていない人が,報酬を得てこの仕事をすることは禁じられています。

2 遺言書等の権利義務または事実証明に関する書類の作成

 行政書士の試験は,そのほとんどが法律科目ですので,行政書士は法律の専門知識を持っています。そのため,許認可申請書類の作成以外にも,契約書や会社設立に必要な書面など,以下のような書面を作成するのも行政書士の仕事です。これらの書面の作成は,弁護士や司法書士などにも認められています(むしろイメージ的にはこちらがメインなのかもしれません)。

 しかし,とくに中小零細企業では弁護士や司法書士とお付き合いのある会社というのは決して多くはありません。むしろ,実際には,許認可申請や免許の更新などで定期的にお世話になっている行政書士に,こういった書類も合わせてお願いするというケースが多いのです。たとえば,個人で居酒屋を営んでいる人が,居酒屋を会社組織にしようと思った場合(これを法人成りといいます)などは,見ず知らずの弁護士や司法書士に依頼するより,居酒屋の許認可申請や免許の更新でいつもお世話になっている行政書士に会社の設立関係の書類の作成をお願いするなどということは,よくあるケースです。

・権利義務に関する書類
権利義務に関する書類には,遺産分割協議書,各種契約書,念書,示談書,協議書,内容証明,告訴状,告発状,嘆願書,請願書,陳情書,上申書,始末書,定款等があります。
・事実証明に関する書類
「事実証明に関する書類」には,実地調査に基づく各種図面類(位置図,案内図,現況測量図等),各種議事録,会計帳簿,申述書等があります。
これらの権利義務または事実証明に関する書類は数千種類にも上るといわれています。依頼人からの依頼で,これらの書類を作成するのも行政書士の仕事です。そして,許認可申請業務と同じく,これも行政書士の「独占業務」です。

3 その他の新しいサービス

 以上は,行政書士のもっともオーソドックスな仕事ですが,行政書士の仕事は,法律的な専門知識や書類作成の能力を生かして,成年後見(加齢や病気などにより,判断能力が不十分な方を生活面・法律面でサポートすること),ADR(裁判によらない紛争解決方法のこと)といった分野にも広がりつつあります。

行政書士の実務能力を身につけるには

 試験に合格しただけでは実務はできない

 実は一生懸命勉強して行政書士試験に合格しても,行政書士の実務をする能力は身につかないのです。このことは,行政書士試験の試験科目をご覧いただければ一目瞭然です。行政書士のもっとも大切な収入源は,許認可申請書類の作成や手続ですが,試験科目は主要な法律科目と一般知識だけで,肝心の許認可申請の実務に関する試験科目は1つもありません。

 どんな資格試験でも,多かれ少なかれこういう資格試験の勉強では学べない実務知識というものはあるものです。けれども,行政書士の場合,この試験科目と実務知識とのズレがとても極端です。ですから,行政書士として「食う(稼ぐ)」ためには,実務知識をしっかりと身につける必要があります。

 事務所勤務だけでなく,書籍・役所のホームページなどで実務を身につける

 行政書士試験合格後に行政書士事務所などに就職して実務を学んだり,またはそういった事務所で働き実務も学びながら行政書士試験を目指したりするというのが,1つの選択肢です。もっとも,行政書士を目指す方には,独立志向が強い方が多く,むしろ独立開業できるから行政書士を目指すという方も少なくありません。実際,事務所勤務からスタートする方はそれほど多くはないようです。

 合格後すぐ独立開業する場合は,当然,営業活動をしながら,並行して実務を学ぶ形になります。許認可申請書類の作成や手続は,素人にはかなり難しいものですが,法律的な専門知識のある行政書士にとっては,それほど難しいものではありません。きちんと調べれば,それほどの時間もかからず書類の作成・申請までこぎつけることができる場合が多いといわれています。実際,依頼の多い許認可手続きや書面については,その手続だけでなく書類の書き方やひな型(見本)まで詳しく解説してくれる書籍がたくさん出ています。

 また,最近では,役所のホームページでも,許認可の手続や必要な書類などについて,詳しく情報公開しているところも増えています。それでも,わからない時には,役所の申請窓口にいって担当者に教えてもらうという方法もあります。きちんと調べた上で分からないところを尋ねるのであれば,ほとんどの役所の担当窓口の方は,親切丁寧に対応してくれるようです。
また,その許認可手続きごとに,手続や申請書類の見本などをまとめて「申請キット」という形で,インターネットで比較的安価で販売している行政書士の方もいるので,そういったキットを購入するというのも一つの手でしょう。

 合格後すぐに独立開業して,1,2年の比較的短期間で事務所の経営を軌道に乗せることのできた行政書士の方には,営業活動と並行して実務を勉強される方が多いようです。つまり,まずは,色々と頑張って営業し,めでたく依頼を受けることができたら,その許認可手続きについて調べて書類を作成するのです。行政書士の取り扱う許認可は非常に幅が広く,ある許認可を勉強したからといって,その許認可の依頼がすぐに来るとは限りません。それより,依頼のあった許認可申請について,その都度一つ一つ学んでいくのは,比較的効率のよい方法です。