【司法試験予備試験】短答式試験における行政法の特徴

出題範囲

短答式試験の行政法では,行政手続法,行政事件訴訟法,行政不服審査法,情報公開法,国家賠償法など幅広い分野から出題されます。

また条文に関する問題に加え,リーディングケースとなった判例の知識を問う問題が出題されます。

出題形式

短答式試験行政法の特徴としては , 消去法が使えない問題が多いことがあげられます。

例えば予R01-13は以下のような問題でした。

行政上の法律関係に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ア.国家公務員の災害補償について国家公務員法や国家公務員災害補償法等に詳細な定めが置かれていることからすると,国が国家公務員に対して,安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を負うとはいえない。

イ.公営住宅の使用関係については,事業主体と入居者との間の法律関係が,基本的には私人間の家屋賃貸借関係と異なるところはないとしても,民法及び借地借家法は適用されない。

ウ.国税滞納処分における国の地位は,民事上の強制執行における差押債権者の地位に類するものであるから,国税滞納処分による差押えの関係においても民法第177条の適用がある。

1.ア〇 イ 〇 ウ○ 2.ア〇 イ〇 ウ× 3.ア〇 イ× ウ○ 4.ア〇 イ × ウ× 5.ア× イ〇 ウ○ 6.ア× イ〇 ウ× 7.ア× イ × ウ○ 8.ア× イ× ウ×

この形式の出題はすべての肢の正誤を判断しなければ正解に辿り着くことができません。

そのため消去法が使える科目よりも正解までのハードルが高くなっています。

【司法試験予備試験】短答式試験における行政法の勉強法

条文問題の取り組み方

短答式試験の行政法では 、 条文を知っていれば容易に正解に辿り着ける肢が出題されます。

例えば、司H21-22のイの肢は以下のようなものでした。

申請に対する処分について,行政庁は審査基準を定めるよう努めなければならず,審査基準を定めるに当たっては,許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

この肢は×です。
その理由は、行政手続法5条1項は,「行政庁は,審査基準を定めるものとする」と規定しており,審査基準の設定は法的義務であるためです。

このタイプの問題については、「どこが引っかけのポイントとして狙われるのか」を六法にマークをするなどしたうえで、なぜ「行政手続法5条1項は審査基準を定めることを努力義務ではなく法的義務としているのか」を自分なりに理由をつけて説明できるようになれば、次第に記憶ができるはずです。

判例問題の取り組み方

判例に関する問題は、結論だけでなく、理由(判例の言い回しを含む)まで押さえておく必要があります。

論文との関係では判例の言い回しを正確に押さえるというよりは「自分なりに書ける形でインプット」していることが多いと思います。

しかし短答式試験では、「判例は何と言っていたか」が問われるので、「判例がどのような言い回しで結論を導いていたか」まで押さえておくとよいでしょう。

例えば、予H29-19のアの肢は以下のようなものでした。

条例の制定は,普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するが,条例の内容によっては,その制定行為が行政庁の処分と実質的に同視し得るものとして取消訴訟の対象となる。

この肢は〇なのですが、肢の素材となっている判例(最判平21.11.26)が「・・・その制定行為は,行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる」と判断したことを正確に記憶していなければ自信をもって正誤判断をすることができません。

このタイプの問題については、理由部分に着目して判例を読むことで判例の言い回しを押さえていくことが王道の勉強法になると思います。

※関連コラム:司法試験・予備試験の短答式試験の勉強法(総論)

まとめ

上記のとおり行政法の短答は条文と判例が出題の中心となります(他の科目もほぼ同様ですが)。

条文の問題は比較的取り組みやすいので、まずは条文問題から学習をスタートとするとスムーズに勉強が開始できると思います。

これに対して判例学習は事案が複雑なことなどが原因で負担になりがちです。

ただ、短答の行政法を乗り越えるために判例学習は避けてはとおれないため、主観的に読みやすい判例集を探すなどして、少しでも判例学習に対して負担を感じないようにする工夫をして頂きたいと思います。

司法試験・予備試験の合格を
目指している方へ

  • 司法試験・予備試験・法科大学院試験に合格できるか不安
  • 勉強をどう進めて良いかわからない
  • 勉強時間も費用も抑えたい

アガルートの司法試験・予備試験・法科大学院試験講座を
無料体験してみませんか?

合格者の声の累計641名!

追加購入不要!これだけで合格できるカリキュラム

充実のサポート体制だから安心

予備試験合格で全額返金あり!

5月30日までの申込で10%OFF!                         

5月30日までの申込で10%OFF!

▶司法試験・予備試験・法科大学院の講座を見る

約13時間分の民法講義が20日間見放題!

実際に勉強できる!司法試験・予備試験・法科大学院入試対策のフルカラーテキスト

合格者の勉強法が満載の合格体験記!

司法試験・予備試験・法科大学院入試試験の全てがわかる!
司法試験/予備試験/法科大学院試験ガイドブック

1分で簡単!無料

▶資料請求して特典を受け取る

この記事の著者 富川 純樹 講師

富川 純樹 講師


関西学院大学法科大学院(未修)を卒業後,平成27年に司法試験に合格(69期)。


アガルートアカデミーでは,ラウンジ(個別指導)や受験生の受講相談も担当している。


富川講師の紹介はこちら

Twitter:@dsx79079

 

司法試験講座を見る