【司法試験・予備試験】論文式試験の商法・会社法で問われること

大きく分けて3つの分野から出題される

商法・会社法は,大きく分けて,①商法総則・商行為,②手形法,③会社法の3つの分野から出題されます。

しかし,司法試験・予備試験では会社法を中心に問われるため,商法総則・商行為と手形法の勉強に時間をかけないことが重要です。
実際に,商法総則商行為は,予備試験で1度問われただけであり,司法試験では出題されていません。

また,手形法については,予備試験では2回問われただけであり,司法試験では出題されていません。

会社法上の論点

平成28年司法試験の採点実感には,司法試験の商法・会社法では「事実関係を読み,分析し,会社法上の論点を的確に抽出して各設問に答えるという過程を通じ,事例解析能力,論理的思考力,会社法に関する基本的な理解並びに法解釈及び適用能力等」が問われていると書かれています。

司法試験で問われる「会社法上の論点」は比較的限られており,例えば,法律上履践されるべき手続がなされているかを検討するものや取締役等に対して損害賠償を請求できるかを検討するものがあります。

基本的に,民法と同じ発想を持っておけば足りるものと思われます。
即ち,会社法においても,登場人物の誰かが不利益を受けていますので,その不利益を除去するための法的手段の選択や,法的な根拠に基づく請求を答案の冒頭に示し,その要件充足性が問われることがほとんどです。

【司法試験・予備試験】論文式試験における商法・会社法の勉強法①~条文中心の勉強~

条文操作に慣れる

商法・会社法の勉強を始めると,条文の多さに加え,条文の引きにくさに苦労する人が少なくありません。

なぜなら,条文が1つ1つ長い上に,様々な場面で準用等がなされているため,条文の意味が読み取りにくいからです。

そのため,商法・会社法を勉強する際は,後で述べるように制度趣旨を意識しながら,辛抱強く条文を参照することが重要です。

また,これは全ての法律に妥当することですが,特に会社法においては,「目次」を有効活用しましょう。
「目次」は,個別の法律の収納ケースだと考えてください。

ある条文を引いたら,それは目次の中のどの引き出しに収納されているのかということを都度確認していくと,アウトプットの際に求められる「条文検索能力」が飛躍的に向上します。

制度趣旨から具体的な手続をイメージする

先ほども述べたように,条文が複雑であることや仕組みの具体的なイメージがしにくいことから,商法・会社法に対して苦手意識を持つ人が少なくありません。

そこで,条文の制度趣旨から商法・会社法の仕組みを具体的にイメージすることが大切です。

制度趣旨とは,簡単に言うとその法律が作られた理由です。
法律は,これを制定する理由があって初めて作られるものです。

法律の制度趣旨を理解していれば,複雑に見える条文の仕組みを理解することができます。

判例の重要性

司法試験の出題趣旨には,判例を意識して論じることが求められていると書いてあります。
さらに,平成29年の試験では,判例の立場とその当否を検討させる問題が出ています。

このことから,司法試験の商法・会社法では,判例が重視されているといえるでしょう。

判例を学習する際は,①どの条文との関係で議論がされているのか,②何が問題となっているのか,③学説の対立点,④判例の立場を意識することが大切です。

※関連コラム:司法試験・予備試験の論文式試験の勉強法(総論)

【司法試験・予備試験】論文式試験における商法・会社法の勉強法②~アウトプットは早めに~

アウトプットの重要性

商法・会社法は,先ほども述べたように,条文が読みにくいことに加え,実務経験のない学生にとって具体的にイメージしにくい科目であるため,基本書を読んでいて退屈と感じる人が少なくありません。

そこで,問題演習をするなど,アウトプットを早い段階で行うことをお勧めします。

アウトプットをすることで,何が問題となるかを意識することができるため,効率よくインプットできるようになりますし,ひたすら基本書を読んでいるよりも退屈に感じることはないと思います。

アウトプットの際に意識すること

先ほども述べたように,商法・会社法は条文が大切です。
そのため,アウトプットをする際は,まず条文がどこにあるのかを確認しましょう。

条文を探すくせを付けておかないと,試験本番で条文を見つけられず,相当焦ることになります。
以下では,本番での条文の探し方について少しだけ説明をいたします。

予備試験,司法試験の過去問には,まず,手掛かりとなる条文を検索するキーワードが,「設問」部分や,「事例」部分に隠されています。

例えば,「新株発行の効力を否定するために採ることのできる法的手段を論ぜよ」という問題が出題された場合には,「新株発行の効力を否定」というところに注目する必要があります。

普段から条文の学習をしていると,会社法828条や829条が浮かぶでしょう。
そうすると,この問題は,これらの条文の要件充足性で形作られることが分かります。

次に,無効となるためには,「重大な法令定款違反」がなければならないと言われています。

そのような目線から問題文を読んでいくと,例えば,問題となる会社が非公開会社であること,それにもかかわらず,新株発行手続で求められる株主総会特別決議が存在しないという事実が示されています。

あとは,199条を示し,法令違反があることを確認した上で,それが重大な法令違反であるかについて,判例を中心に論述をしていくことになります。

このように,会社法では,事実→条文→事実→条文→事実・・・結論という分析パターンが多いです。
いかに普段から条文を中心とした学習を心がけて置くことが重要であるかがわかるかと思います。

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この記事の監修者 谷山 政司 講師

谷山 政司 講師

平成23年度に(新)司法試験に合格後、伊藤塾にて主に予備試験ゼミを中心とした受験指導業務を担当。
谷山ゼミ受講者のうち、およそ70名ほどが予備試験に合格。谷山ゼミ出身者で、最終的な予備試験の合格率は7割を超える。

自身の受験経験だけでなく、答案の徹底的な分析やゼミ生への丁寧なカウンセリングの結果確立した論文作成ノウハウをもとに、アウトプットの仕方はもちろん、インプットの仕方までをも指導するスタイルは、ゼミ生の圧倒的支持を受けた。

また、期をまたいだゼミ生の交流会等を定期的に行うなど、実務に出た後のフォローも積極的に行っている。

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ブログ:「谷山政司のブログ」
Twitter:@taniyan0924

 

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