国家試験である社会保険労務士試験(以降、社労士試験)は誰でも受験できる試験ではなく受験資格があります。

受験資格は、主に『学歴』『実務経験』『厚生労働大臣の認めた国家試験合格』の3つに分けられ、いずれか1つを満たしている必要があります。

また申し込み時には、満たしている受験資格に合わせて『受験資格証明書』を提出しなければなりません。

例年、申込みの段階になって初めて受験資格の存在を知り、受験することができませんでした……という方が、いらっしゃいます。

そこで、社労士試験の勉強を始める前に、社労士試験に設けられている『受験資格』『受験資格証明書』について確認しましょう。

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社会保険労務士試験の受験資格は3つのいずれかが必要

社会保険労務士試験を受験するためには、下記の3つのうち、いずれか1つの要件を満たしている必要があります。

①学歴要件
②実務経験
③厚生労働大臣の認めた国家試験合格

※出典:受験資格について | 社会保険労務士試験オフィシャルサイト

1.学歴による受験資格

社労士試験を受験するための学歴要件は、大学、短大、専門職大学、専門職短大、5年制の高等専門学校のいずれかを卒業する必要があります。
大学の場合は、62単位以上修得している場合は受験資格を満たします。また短大や専修学校の場合も一定の要件を満たした場合は受給資格が与えられます。

  • 大学・短大・高専等卒業
  • 大学(短期大学を除く)における修得単位数(62単位以上)
  • 専門学校卒業
  • 厚生労働大臣が認めた学校卒業
  • 各種学校など卒業
  • 専門職大学、専門職短期大学卒業
  • 高等専門学校(5年制)卒業

社会保険労務士試験の受験資格を証明するためには、学歴を証明する書類の提出が必要です。

大学生(大学在学中)でも社会保険労務士試験を受験できる?

大学在学中でも社会保険労務士試験を受験することができます。ただし、必要な単位を修得する必要があります。

  • 62単位以上の卒業要件を満たした単位を修得している
  • 一般教養科目36単位以上を修得、専門教育科目を含めて48単位以上の卒業要件を満たした単位を修得

大学を中退していても、上記単位を修得していれば社会保険労務士試験を受験することが可能です。

高卒でも社労士試験を受験できますか?

「高等学校の卒業(高卒)」のままでは受験資格を満たさないため、受験はできません

高卒で社会保険労務士試験を受験する場合は、事前に「実務経験」や「国家試験合格」など、別の受験資格を取得することをご検討ください。

高卒の方だと、「行政書士」を取得後に社労士を受験するケースが多く見られます。

※関連コラム:社労士と行政書士の違いとダブルライセンスのメリットを解説

2.実務経験による受験資格

以下の実務経験がある場合は社労士の受給要件を満たします。

  • 公務員として3年以上従事
  • 社会保険労務士や弁護士の補助に3年以上従事
  • 事業を営む個人として労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事

実務経験が社労士の受給要件を満たすものなのかの判断は容易ではありません。
そのような場合は全国社会保険労務士連合会にて受給資格の有無の確認が可能です。

そのほか、行政事務や社会保険諸法令などの実施事務に従事した期間が通算して3年以上になる者にも受験資格があります。

それぞれ受験資格の内容が異なるため、事前に確認を行いましょう。

  • 日本郵政公社の役員又は職員
  • 全国健康保険協会又は日本年金機構の役員又は従業員
  • 労働組合の専従役員
  • 会社その他の法人(法人でない社団又は財団を含む)の労務担当役員
  • 労働組合の職員又は法人等若しくは事業を営む個人の従業者

3.試験合格による受験資格

厚生労働大臣が認めた以下の国家試験の合格者にも社労士試験の受験資格があります。

  • 社労士試験以外の国家試験合格
  • 司法試験予備試験等の合格
  • 行政書士試験の合格

社会保険労務士試験以外の国家資格合格には、主に下記のような資格があります。

  • 弁護士(司法試験予備試験)
  • 公認会計士(旧公認会計士試験第1次、第2次試験を含む)
  • 不動産鑑定士(旧不動産鑑定士試験第1次、第2次試験を含む)

そのほかの国家資格は、厚生労働大臣の認めた国家試験合格をご確認ください。

学歴要件と提出書類(受験資格証明書)

社労士試験の受験資格の中で、最も分かり易いのは「学歴による受験資格」です。

大学、短大、高専等卒業

■学校教育法による大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学若しくは高等専門学校(5年制)を卒業した者又は専門職大学の前期課程を修了した者

専攻している学部や学科による条件はありません。

【受験資格証明書】
(1)卒業証明書若しくは修了証明書又はその写し
(2)卒業証書の写し
(3)学位記の写し
※上記のいずれか

大学(短期大学を除く)における修得単位

■大学(※短期大学は除く)を卒業をしていない在学中の方、または大学を中退された方の場合、下記を満たしていれば、受験資格があります。

  • 大学(短期大学を除く)において62単位以上の卒業要件単位を修得した者
  • 大学(短期大学を除く)において一般教養科目と専門教育科目等との区分けをしているものにおいて一般教養科目36単位以上を修得し、かつ、専門教育科目等の単位を加えて合計48単位以上の卒業要件単位を修得した者

ご自分の大学に履修状況を確認してみてください。

【受験資格証明書】
大学の成績証明書又はその写し

専門学校卒業

■修業年限が2年以上で、かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が、1700時間(62単位)以上の専修学校の専門課程を修了した者

併せて下記(A)(B)のどちらかを満たしていれば、受験資格があります。

(A)卒業時に授与された「卒業証書」又は「称号授与書」に「専門士」又は「高度専門士」の 記載がある。(専門学校を平成7年以降に卒業した方が対象)

(B)修業年限が2年以上かつ課程の修了に必要な総授業時間数が1,700 時間(62単位)以上かつ専修学校の「専門課程」を修了した。(専門学校を平成6年以前に卒業した方、(A)を満たしていない方が対象)

【受験資格証明書】
(A)「卒業証書」又は「称号授与書」の写し
(B)「社会保険労務士試験 専修学校修了者 受験資格証明書」 又はその写し
※社会保険労務士試験オフィシャルサイトに用紙がPDFでありますので、卒業した専門学校から発行して貰ってください。試験センターでは確認をしてくれません。

実務経験と提出書類(受験資格証明書)

一定の職業に従事している方であれば、その職歴によって、社労士試験の受験資格を得ることも可能です。

国家公務員・地方公務員

■国又は地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間及び行政執行法人(旧特定独立行政法人)、特定地方独立行政法人又は日本郵政公社の役員又は職員として行政事務に相当する事務に従事した期間が通算して3年以上になる者(普通に公務員としてお仕事をされていらっしゃる方)は社労士試験を受験することができます。

【受験資格証明書】
【試験センター様式】実務経験証明書又はその写し
※社会保険労務士試験オフィシャルサイトに用紙(PDF)があります。
※実務経験証明書の記載例も載っていますので、確認してみてください。

社会保険労務士または弁護士業務の補助に従事した者

社会保険労務士又は弁護士の補助者は、社労士法人、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。

■社会保険労務士法人、弁護士法人の業務の補助の事務に従事した期間が通算して3年以上になる方も社労士試験を受験することができます。

【受験資格証明書】
【試験センター様式】実務経験証明書又はその写し
※社会保険労務士試験オフィシャルサイトに用紙(PDF)があります。
※実務経験証明書の記載例も載っていますので、確認してみてください。

国家試験合格の要件と提出書類(受験資格証明書)

「学歴」も「実務経験」も満たしていない方は、「国家試験合格」によって社労士試験の「受験資格」を満たすことができます。

社労士試験以外の国家試験・司法試験予備試験等の合格者

■司法試験予備試験、税理士試験、公認会計士試験、弁理士試験など(その他、約80の国家試験)に合格した方は、社労士試験の受験資格があります。

【受験資格証明書】
当該試験に合格したことを証する書面又はその写し

行政書士試験の合格者

■「行政書士となる資格を有する方」も、受験資格があります。こちらは実際に行政書士として業務を行っている必要はなく、行政書士試験に合格しさえすれば問題ありません。なお、同じ法律系資格試験ということもあり、社労士と相性の良い行政書士試験に合格して、受験資格を満たすという方は多いです。

【受験資格証明書】
行政書士となる資格を有することを証する書面又はその写し

実務経験がない人が受験資格を得る3つの方法

ここからは、社労士になりたいけど実務経験がないため受験資格が無いという場合の対処法について説明します。

受給資格を得るための方法としては以下の3つがおすすめです。

実務経験を3年以上積む

受給資格を得るおすすめの方法の一つ目は実務経験を3年以上積むことです。

社労士事務所によっては、社労士の資格取得を目指している人の採用を行っているケースも少なくありません
実際に社労士の業務を行いながら資格の勉強を続け、社労士の資格取得を行っている方も多数いらっしゃいます。

実務経験で受験要件を満たすためには時間がかかりますが、社労士の資格取得に向け、社労士に関わる業務を続けながら社労士の受給資格を得られるのがメリットです。

行政書士の資格取得

受給資格を得るおすすめの方法の二つ目は行政書士の資格取得です。

社労士として活躍されている方の中には行政書士とのダブルライセンスを活かして活動されている方もいらっしゃいます。
行政書士の業務にも関心がある、将来ダブルライセンスを活かして活動していきたいという場合は、行政書士の資格取得から目指すという方法もおすすめです。

通信制短大を卒業する

社労士の受給資格の学歴要件を満たすためには、短大や大学の卒業が必要です。

通信制短大であれば通学や学費の面での負担も抑えることが可能です。
社労士として独立を考えるのであれば法学部や経営学部での学びは役に立つでしょう。

社労士試験の受験資格によくある質問

社会保険労務士試験は誰でも受験できる?パートでも可能?

社会保険労務士は誰でも受験可能です。また、社会保険労務士はパートやアルバイトの方でも受験可能です。

受験するには受験資格を満たしているか確認しましょう。

宅建士試験に合格しているのですが、社労士試験を受験できますか?

「宅地建物取引士試験(宅建試験)」の合格は、社労士試験の受験資格の中には含まれていません。

「学歴」や「実務経験」、他の「国家試験合格」など、別の受験資格を取得することをご検討ください。

日本国籍を持っていない(外国籍)が、社労士試験を受験できますか?

社労士試験を受験するにあたっては、日本国籍を有していることは求められていません。

つまり、日本国籍を有していない方(外国人の方)であっても、「受験資格」を有していれば、社労士試験を受験することができます。

外国人であっても受験することができるのは、社労士試験の特徴と言ってもいいかもしれません。

※関連コラム:社会保険労務士(社労士)試験の概要

社会保険労務士に関する実務経験がないが受験できる?

社会保険労務士試験は実務経験がなくても受験できます。試験合格後、社会保険労務士として登録するときは2年以上の実務経験が必要になります。

ただし、実務経験がなくても事務指定講習を履修することで社会保険労務士として登録することが可能です。

これから社労士を目指す方へ

既に受験資格を有している方であれば、『受験資格証明書』を準備しつつ、合格に向けて社労士試験の勉強を開始してください。

受験資格を有してない方であれば、まずは受験資格を得る必要があります。

今からでも取得することのできる受験資格をご確認いただき、最終目標である「社労士試験の合格」まで頑張ってください

※本ページを参考にして頂きながらも、詳細は『社会保険労務士試験オフィシャルサイト』で必ず確認をしてください。

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この記事の監修者 池田 光兵講師

池田 光兵講師

広告代理店で、自らデザインやコピーも考えるマルチな営業を経験後、大手人材紹介会社で長年キャリアアドバイザーを経験、転職サポートを行う。

面接対策のノウハウや数々の自作資料は現在でも使用されている。

その後、研修講師や社外セミナーの講師などを数多く経験。

相手が何に困って何を聞きたがっているのかをすばやく察知し、ユニークに分かりやすく講義をすることが得意。

ほぼ独学で就業しながらも毎日コツコツと勉強し、三度目の社労士試験で合格した苦労談も面白く、また、三度やったからこそ教えられる「やっていいことと駄目なこと」も熟知している。

合格のノウハウをより多くの受講生に提供するため,株式会社アガルートへ入社。

自らの受験経験で培った合格のノウハウを余すところなく提供する。

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