衛生管理者の資格取得を目指す人は年々増加しています。受験を検討する時、まず気になるのが試験の難易度ですよね。

このコラムでは、衛生管理者試験の難易度について、試験概要、合格率、勉強時間、他資格との比較などを使い詳しく解説していきます。受験を検討中の人はぜひともご参考としてお役立てください。

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衛生管理者とは

衛生管理者とは国家資格のひとつで、職場の衛生環境や労働者の健康を管理する役割を担う人です。

常時50人以上の労働者がいる事業場では、衛生管理者を1人以上選任しなければならないと法律で定められています。会社にとっての必置資格ということです。

選任する人員は、衛生管理者試験に合格した者である必要があります。逆にいうと衛生管理者試験に合格した人が、会社の衛生管理者になれるということです。

第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の違い

衛生管理者は「有害業務を扱えるかどうか」で、第一種衛生管理者と第二種衛生管理者に分けられます。

有害業務とは、適切に管理しなければ労働者の健康に悪影響を及ぼす恐れがある業務のことです。例えば、ガスや放射線、有害な粉末などが発生する環境で行う業務を指します。そして、第一種ではこれら有害業務を扱えます。

衛生管理者としての業務内容は第一種と第二種で同じですが、両者では選任できる業種に違いがあります。第一種では全業種、第二種では有害業務を除く業種でのみ選任可能です。具体的な業種は次表に整理しました。

選任可能な業種
第一種衛生管理者農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業
第二種衛生管理者その他の業種(金融業、情報通信業、サービス業など)

労働安全衛生規則第四条三項に基づき作成)

衛生管理者試験の内容とは

衛生管理者の試験では「関係法令」「労働衛生」「労働生理」の3分野を学ぶ必要があります。

ただし、第二種では「有害業務」が出題範囲に含まれないため、第一種の方が出題範囲・出題数ともに多いです。

具体的な試験科目と配点を次表に整理しました。

試験科目第一種第二種
関係法令(有害業務)10問(80点)
関係法令(有害業務を除く)7問(70点)10問(100点)
労働衛生(有害業務)10問(80点)
労働衛生(有害業務を除く)7問(70点)10問(100点)
労働生理10問(100点)10問(100点)
問題数(得点)44問(400点)30問(300点)

出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会

つまり、第一種では有害業務を含めて5科目、第二種では有害業務を除く3科目を学ぶ必要があります。

衛生管理者の難易度

衛生管理者試験は合格率が第一種が40%強、第二種が50%前後の難易度が低い試験です。

必要な対策さえすれば、合格できる試験だといえます。

一つずつ根拠を示していきます。

衛生管理者の合格率

令和3年(2021年)度の衛生管理者試験の合格率は、第一種が42.7%、第二種が49.7%でした。過去の合格率は次表のように推移しています。

第一種の合格率推移

開催年度受験者数合格者数合格率
令和4(2022)年度 68,066名31,207名45.8%
令和3(2021)年度68,210名29,113名42.7%
令和2(2020)年度43,157名18,916名43.8%
令和元(2019)年度68,498名32,026名46.8%
平成30(2018)年度67,080名29,631名44.2%
平成29(2017)年度65,821名29,636名45.0%
平成28(2016)年度61,500名28,003名45.5%
平成27(2015)年度55,129名30,587名55.5%
平成26(2014)年度53,111名29,922名56.3%
平成25(2013)年度54,499名29,800名54.7%
平成24(2012)年度55,080名29,666名53.9%
平成23(2011)年度54,169名27,203名 50.2%

第二種の合格率推移

開催年度受験者数合格者数合格率
令和4(2022)年度 35,199名18,089名51.4%
令和3(2021)年度36,057名17,922名49.7%
令和2(2020)年度22,220名11,729名52.8%
令和元(2019)年度33,559名18,511名55.2%
平成30(2018)年度32,985名17,271名52.4%
平成29(2017)年度31,537名17,302名54.9%
平成28(2016)年度29,186名16,189名 55.5%
平成27(2015)年度25,716名16,983名66.0%
平成26(2014)年度25,069名17,365名 69.3%
平成25(2013)年度26,555名17,878名67.3%
平成24(2012)年度26,960名17,835名66.2%
平成23(2011)年度25,950名16,140名62.2%

出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会

第一種と第二種ともに、受験者数は増加傾向にあり、合格率は下降傾向にあります。また、2015年から2016年にかけて10ポイント近く合格率が低下しました。要因は、出題傾向の変化だと考えられます。

ただ、合格率だけ見れば、10人受験したら4〜5人が合格できる資格であることに違いはありません。他の難関国家資格に比べたら、難しくはないでしょう。

合格までに必要な勉強時間は第一種100時間、第二種60時間が目安

衛生管理者試験合格に必要な勉強時間は、第一種が100時間、第二種が60時間とされています。

例えば、1日1時間コンスタントに学習できるなら、学習期間は第一種が3か月強、第二種が約2か月です。

平日は仕事や家事で時間が取れない方も、休日に集中して学習する、あるいはスキマ時間を有効活用することで、週平均7時間の勉強時間を確保できれば、第一種が3か月強、第二種が約2か月の学習期間で済みます。

したがって、衛生管理者試験は「毎日夜中まで勉強する」「試験範囲を理解するのに1年間必要」というほどの難易度ではないのです。

ただし、100時間や60時間という勉強時間は合格を約束するものではないため、あくまで目安としてご理解ください。初学者はもっと多く学習する必要があるかもしれませんし、予備知識や基礎知識を持っている人ならもっと少ない時間で十分だと考えられます。

衛生管理者の難易度を他の資格試験と比較

衛生管理者の難易度を客観的に捉えるために、その他資格について合格率と合格に必要とされる勉強時間を比較してみましょう。

試験・資格合格率勉強時間(目安)
第一種衛生管理者45%前後100時間
第二種衛生管理者55%前後60時間
衛生工学衛生管理者非公開2〜5日の講習受講
労働衛生コンサルタント30%前後80〜100時間
宅建15〜17%300〜400時間
行政書士8〜15%600〜1,000時間
社労士6〜7%800〜1,000時間
司法書士3〜4%3,000時間~

各資格との比較からわかるとおり、衛生管理者の難易度は相対的に高くないといえます。

最近の衛生管理者試験は難化傾向?

他の国家資格に比べて合格が困難なわけではありませんが、最近の衛生管理者試験は難化傾向にあります

以前の衛生管理者試験では、過去問を反復学習すれば合格ラインに達することができました。ところが、現在は過去問だけでは対応できない問題も出題されるようになりました。

例えば、以下のような問題です。

  • 社会の関心が高く、時事に絡む問題
  • 社会情勢を加味した問題
  • 法律改正に関係する問題

近年では、メンタルヘルス不調や休職に対する社会的関心の高まりから、実際にストレスチェック制度に関連する問題も出題されています。

労働安全衛生法に基づく心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)及びその結果等に応じて実施される医師による面接指導に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。
(1)常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、6か月以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを行わなければならない。
(2)事業者は、ストレスチェックの結果が、衛生管理者及びストレスチェックを受けた労働者に通知されるようにしなければならない。
(3)労働者に対するストレスチェックの事項は、「職場における当該労働者の心理的な負担の原因」、「当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状」及び「職場における他の労働者による当該労働者への支援」に関する項目である。
(4)事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者全員に対し、医師による面接指導を行わなければならない。
(5)事業者は、医師による面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを3年間保存しなければならない。
(3)

出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会令和3年10月度掲載の公表試験問題

このように出題傾向が変化し、試験は難化傾向にあるとわかります。受験するなら、早めに受験しておいた方がいいかもしれません。

関連コラム:衛生管理者試験は難しくなった?合格するための注意点

衛生管理者は誰でも合格できる?

衛生管理者は受験資格さえ満たせば誰でも受験できますが、対策せずに誰でも簡単に合格できる試験ではありません。

関連コラム:衛生管理者の受験資格は中卒・高卒で違う?資格要件をわかりやすく解説!

合格には対策が必須

合格するためには十分な対策が必要です。対策せずに受験しても合格できない可能性は非常に高いです。

「基礎知識があるから、一夜漬けで大丈夫」

「過去問だけを反復学習すれば合格できる」

と、出題傾向の変化やトレンドをリサーチせずに試験に臨んでしまうと、試験問題に対応できず不合格で終わってしまいます。再受験は手続きも面倒ですし、無駄なコストと時間を費やすことになります。

試験日から逆算した学習スケジュールで対策を

ビジネスパーソンとして仕事をしながら、あるいは、学生として学業をこなしながら資格試験の勉強をするのは想像以上に大変です。

そのため、余裕をもって学習期間を設け、試験日から逆算して学習スケジュールを立てることが重要です。計画通りに学習することが苦手な場合や初学者で不安な場合は、少し早めに学習をスタートさせるといった工夫も必要かもしれません。

繰り返しになりますが、転職やキャリアアップを目的に資格取得を目指しているのであれば、近年の出題傾向をリサーチし、計画的な学習スケジュールに沿って学習範囲の理解に努めましょう。

衛生管理者の勉強方法3つ

衛生管理者の合格を目指す人におすすめの試験対策・勉強方法は次の3つです。

  • 独学で合格を目指す
  • 講習を受ける(オフライン)
  • 通信講座を利用する

学習スタイルは各自で異なるため、自分に合った試験対策・勉強方法を選べるように、それぞれのメリットやデメリットもお伝えします。

1.独学で合格を目指す

独学には下記のようなメリット・デメリットがあります。

独学のメリット

  • 費用がリーズナブル
  • 自分のペースで進められる
  • 好きなテキストや参考書を選べる

独学のデメリット

  • 自分で教材を選ぶ・用意する必要がある
  • モチベーションの維持が大変
  • 要点やポイントを間違えると不合格になりやすい

独学が向いているのはこんな人

衛生管理者は独学でも合格可能です。ただ、第一種では100時間、第二種では60時間の勉強を地道に続ける必要があります。したがって、独学は根気よく継続的に学習できる人に向いている勉強方法といえます。

また、テキストと参考書などを用意すれば勉強できるため、他の勉強方法に比べてお金がかかりません。ただし自分に合うテキストを自分で探す必要があります。

2.講習を受ける(オフライン)

衛生管理者対策として、オフラインで3日前後の講習を受けるという方法があります。

講習のメリット

  • 経験豊富な講師陣から丁寧に学べる
  • わからないところをすぐに質問できる

講習のデメリット

  • 費用が高いことがある
  • 1日の拘束時間が長い

講習が向いていつのはこんな人

資格取得に特化した短期集中型の講習を受講すると、経験と知識が豊富な講師陣から学べます。また、すぐに質問できるため、疑問や不明点を解消しながら学習を進めたい人や短期集中が得意な人に向いています。

1日あたりの拘束時間が長いケースが多いため、時間的に負担が大きいと感じる人にはあまりおすすめできません。

3.通信講座を利用する

気軽に利用できる、通信講座を上手に使えば、短期で合格できる可能性が上がります。

通信講座のメリット

  • 費用がリーズナブル
  • 出題傾向やトレンドのカバー率が高い
  • 添削や質問などのサポートが受けられる
  • スキマ時間を有効活用できて、効率的に勉強できる

通信講座のデメリット

  • オンラインに慣れない人はやりづらさを感じることがある

通信講座が向いているのはこんな人

通信講座では、出題傾向のカバー率が高いテキストを使い、添削や質問などサポート体制も充実しているため、初学者や苦手意識を持つ人でも安心して学習を進められます。

また、移動中や就寝前などのスキマ時間でも効率的な学習が可能です。

ただしオンラインの場合、映像授業に慣れていないなど、やりづらさを感じる人もいるようです。

まずは資料請求や無料体験などをしてみて、大丈夫そうであれば利用してみるとよいでしょう。

まとめ

衛生管理者は合格率から見ても、難易度が高くない国家資格です。

「独学が不安」「勉強が苦手」という方は通信講座などを検討し、効率よく合格を目指してみてはいかがでしょうか。

このコラムのまとめ

  • 第一種衛生管理者試験の合格率は40%強
  • 第一種合格には100時間程度の勉強時間が必要
  • 第二種衛生管理者試験の合格率は50%前後
  • 第二種合格には60時間程度の勉強時間が必要

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監修者情報

この記事の監修者

山浦 寛貴

従業員規模800名企業の総務部門に勤務。
企業内の広報雑誌発行など多岐にわたる業務を遂行しながら第一種衛生管理者免許ほか多数の資格を取得。

(保有資格例)
2015年 第一種衛生管理者(一発合格)
2020年 FP2級
2021年 危険物乙種4類

現在も総務部門に勤務し社員の安心安全の労働環境実現に努めながら、労務や福利厚生、資格取得関連などさまざまな記事を執筆および監修を行い、ビジネスに関連するノウハウを提供している。

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